10年経営顧問として長年、経営者や後継者から重宝されている最大の要素は、矛盾していますが 「教えないコンサルティング」を徹底する事です。
- 何でも、教えたがり
- すぐ、知識を披露する
- 提案と称して、自分の考えを押し付けようとする
これらは、「教えないコンサルティング」の対極の姿で、 こういう方は、先ず10年経営顧問は無理と言えます。
この「教えないコンサルティング」を進める重要な要素の 一つに、「文字化技術」があります。
経営者や役員幹部の面談や会議で、議論は考えをどんどん 文字化して、相手の潜在意識や思いを「言葉」としてアウトプット するという事です。
1、会議・面談での「文字化」のイメージとは?
「文字化」とは、経営者、役員幹部の言葉から出たものを文字入力 していくことです。
「なんだ、そんなことなら誰だってできるよ」 と思った方、そうそう簡単な事ではありません。
それは単に議事録を書き、後から提出する事ととは違い、リアルタ イムで、面談・議論状況を文字入力し、それをモニターやプロジェクター で見せながら、進めていく手法です。
しかも、ただダラダラと文字入力をするのではなく、瞬時に 大目次、中目次、小目次に議論を分類し、先方(経営者、役員幹部)に 分かりやすいように表示します。
そして、先方の口頭表現を、文書として「要約」「置き換え」していきます。
先方は、その文字入力状況を見ながら、議論を更に進めていきます。
2、会議・面談の「文字化」に必要な技術と行動
文字化に必要な技術は、PCへの入力スピードも重要ですが、それ以上に 先方が言った言葉を、質問しながら「要約」「置き換え」をするヒアリング 技術です。
そして、常に念頭に置くのが、「その議論と文字化の行方」です。
単なる情報共有の議論なのか、それとも何らかも決定事項にもっていくのか 我々コンサルタントが議事を取るのは「決定事項」にもっていくためです。
だから、「具体的内容」「期限」「担当」をいつも聴きだし、次回の会議で モニタリングできるレベルの内容まで落とし込んで聴きだします。
抽象的な内容の決定事項では、次回のモニタリングがやりづらくなるから です。
3、アイデアをその場で「文字化」する
経営者面談や会議をしていると、
- 「○○の具体的な取り決めが必要だ。どこかの会議でやろうか」
- 「そのうち、マニュアルを作らせないと・・」
- 「○○の為に、どんな項目が必要か、一度現場に考えさせよう・・」
こういう議論になる事があります。 すると、その議論のけじめとして、
- 「では、その取り決めはどの会議で、議論するか」
- 「そのマニュアルが誰に、いつ作成させるか」
- 「現場にいつまでに議論した目次を提出させるか」
と「決定事項」に導くはずです。 実は、そこでもう一つ深掘り質問をして、その場で「文字化」すると、 先方は大変喜ぶのです。
例えば、
- 「その取り決めって、どんな事をイメージしていますか?いくつか箇条書きに 今、しましょうね」
- 「そのマニュアルには、どんな事を記載する事を望みますか?最初の何を書いて 欲しいですか?今、大きな目次だけでも書きましょう」
- 「現場で必要な項目を考えてもらいますが、経営者が求める内容とは、どんな イメージですか?いくつか書いてみましょう」
こう深掘り質問して、その答えを「大目次中目次小目次」に箇条書きにしていく のです。
そうする事で、指示された幹部や現場は、書きやすくなりイメージも沸いてきます。
もし、この会議で、白紙状態の決定事項を指示されても、困るのは現場です。
4、「マニュアルづくりコンサルティング」を請け負う
こういう「文字化技術」を使う事で、いろいろなアウトプットが出てきます。
マニュアルや規定、職務基準、職能要件書、キャリアパス、チェックリスト、手順書 仕様書等々 こういうものを作成する為に、別途コンサルティング提案(できれば有料)をして コンサルタントが主導的立場で進めていきます。
私の経験でも、中途半端に現場に任せた結果、出来上がったアウトプットは 、
「使えないマニュアル」
「抽象的な職務基準、職能要件書」
などになりがちです。
彼らはマニュアルづくりのプロではないし、職務基準づくりのプロでもないから当然です。
中途半端に現場に任せたアウトプットを経営者に見せても「うーん、こんなものか」と あまり感動されません。
それよりプロのコンサルタントが作成した方が、書式、表現力、見映えなどが上手になり ます。
しかも別途料金ですから、生産性にも寄与します。
それ以上に、実例のアウトプットがどんどんコンサルタントのPCに蓄積されます。
それを10年位続けると、いつでも取り出せる実例データである「ドラえもんのポケット」 の出来上がりです。