事業再構築計画書 審査官を説得する「事業の売上予測と市場規模積算」のコツ

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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事業再構築補助金の採択に影響する事業計画書の中で、中小企業庁担当部長も指摘していたのが「売上市場積算の読みと根拠」でした。

実際にマーケット分析をする際にも、この「読み」が具体的で、可能性あるものかが重要になってきます。

では、実際の「売上市場積算の仕方」とは、どういうものでしょうか。

下記に示す「売上市場規模の積算根拠」が乏しいと、新規事業自体の計画も「検討不足のそしり」を免れません。

徐々に採択が厳しくなる事業再構築補助金でも、重要なファクターになっていくと考えられます。

1,TOP企業の売上・シェアから市場全体の売上を予測

新規事業で参入する分野の業界のTOP企業があるはず。

どんなにニッチ市場でも、必ず関連業界としてガリバー企業があるので、その企業(主に上場企業)の売上と有価証券報告書やネット記事に掛かれている大体のシェアを引っ張り出します。

そうすると、そのTOP企業が売上1000億円でシェアが20%なら、5000億円市場という事になります。

またTOP企業を探す方法として、新規事業としての商品の仕入先や関連産業を調査する事でも、だいたいの目論見をつけます。

 

2,全国売上規模から、地域売上を割り出す(人口比)

大体の全国市場規模が分かったら、新規事業の地域での市場規模を出します。

これは単純に人口比で出します。

仮に全国市場規模5000億円なら、九州は10%経済なので500億円市場。

そのうち熊本県は15%位なので、75億円市場という事になります。

これがこんなでかい市場ではなく、全国でも100億円位なら、熊本県市場は、1.5億円が最大の売上規模となります。

しかも、そこには同業者が既にいる訳なので、後発組としてシェアを10%でも1500万円。

しかし、そのシェアだけでなく今回の新規事業では従来品より付加価値があるとして、新たなに顧客創造が可能なら獲得できるシェア率20%にして3000万円の可能性があるという事にします。

 

3,全国の該当商品の顧客数(年齢、性別、属性別など業界団体発表資料)から割り出す。その後、地域市場を割り出す

ここでは、新規事業の見込み客数が全国にどれくらいいるかを割り出します。

ターゲットとしている顧客の属性と業界団体などが発表している資料類から類推します。

例えば、ターゲットの顧客数はGoogle検索で「該当属性」を」入れると大体のデータが出てきます。

そのデータから、使用頻度、購入割合、消費者データ(例 〇%の人が▲の使用をしている等)などから、全国での市場規模を類推します。

後は2で述べたように、地域市場割で、該当営業地域での見込み客購入客を出します。

 

5,地域での競合先と新規事業である自社の目標シェア

見込み購入客の潜在的な物量が分かれば、後発企業として、付加価値を見せてマーケティング戦略をとることで、全体のシェアをどれくらいとるかを考えます。

仮に競合企業が10数社あるなら、いきなり地域TOP企業と同等の売上を目指すのは荒唐無稽な目標と映ります。

すると、業界下位企業のシェアを先ず目標にして、年度ごとに徐々に増やす方が現実的です。

大事な事は商品の付加価値とターゲティング、そしてマーケティング戦略が有機的に機能してこそ、地域シェアが上がるという事です。

 

6,地域見込み客数×シェア率×平均購入頻度×平均単価

地域シェアと地域での見込み客のキャパシティーが分かれば、それに商品の年間購入頻度と平均単価を掛け合わせて年間の売上が出てきます。

この売上規模が「売上10%要件」に満たない場合は、シェア取りの対策や見込み客の設定、頻度、単価のどれかが少ないという事になります。

地域見込み客数が少ないなら、地域を広げるか、またはWeb販売で全国への販売見込みを入れます。但しその場合、販促費やWeb関連経費をしっかり入れましょう。

更に地域シェアを業界最下位クラスから、下位クラスに格上げしてシェア率を若干増やします。

購入頻度を増やすなら、サブスクビジネスを取り入れたり、関連商品アイテムを追加して、購入頻度を増やす対策を出します。

単価を増やすなら下記に述べる「周辺商品のバリエーション」を増やしたり、まとめ買いのメリットを打ち出すなどの対策を考えます。

 

7,参入するメイン商品の市場規模が分かれば、周辺商品の比率を掛けて、周辺商品市場を計算

新規事業の市場規模が分かり、大体の売上予測もついたとして、その後5年間安定成長の売上維持を考えるなら「商品バリエーション拡大」は必須です。

メイン商品の販売時やフォローの段階で「アップセル」「クロスセル」の周辺商品を2年目以降に販売を増やす戦略を立てる事で、一度購入した顧客にも「飽きずに継続購入」する機会を増やします。

です。

周辺商品に購入率を20%と仮定すれば、1回購入当たりの平均単価も膨れるし、周辺商品をどんどん増やす事で売上増が見込めます。

「メイン商品を買えば、ついでに他の関連商品も欲しくなるし、提案があれば購入するハードルが低くなる」という購買心理です。

 

売上規模の積算根拠は採択でも重要な要素のようです。

大企業でも新企画の事業計画の投資を役員に認めさせるには、この市場積算が重視されます。

今回の事業再構築補助金は公費ですので、当然要求されるのは当たり前です。

こういう根拠を「新規事業の事業計画の売上積算根拠」として取り入れてみましょう。

 

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