コロナ禍では多くの企業が業績不振に喘いでいます。
確かにIT系企業や在宅系企業はコロナが追い風になっている業種もあるし、インフラ系や食品、健康などコロナの有無に関係なく需要があるところは業績も安定しています。
では一般的な業種では来るべきコロナ不況からどう対応していくべきでしょうか?
そこにはビジネスモデルの変革や企業規模を大きく変える決断が必要だと考えます。
実際に各中小企業はどのように取り組むべきか、見てみましょう。
1、固定費の少ない「減収創益企業」を作る
コロナ融資の資金がまだあるなら、今のうちに事業の構造改革に取り組みましょう。
具体的には「固定費の少ない企業体制」です。
不況期で経営が厳しくても、需要がゼロになる訳ではありません。
また価格競争とは言え、利益率がゼロになる訳でもありません。
経営が苦しいのは、獲得する粗利に対して固定費が高いからです。
固定費が高ければ、直ぐ営業赤字になります。
そこで、大胆な「事業の選択と集中」で企業規模の縮小を考えます。
「減収創益経営」を目指す訳です。
売上が減るが新たなビジネスモデルで利益を捻出し、融資返済の原資を創出していきます。
当然、撤退縮小戦略が出るのは仕方ありません。
事業所の閉鎖や統合、商品、顧客のカット、それに伴う人員整理もゼロとは言いません。
ただイメージとしては、単なる人員整理ではなく「今後の戦略部門の人員をシフトしていく」という前向き思想があり、それに伴う技能教育、システム化投資も必須になります。
その戦略的なビジネスモデル移行に対して教育しても対応できない従業員は辞めていくことは覚悟しなければなりません。
固定費を減らすには細かいコスト削減も必要ですが、やはり大きいコストから検討しないと効果は望めません。
10年前にリーマンショック時のリストラのコンサルティングをいろいろ行いました。
その時トップダウンで思い切った判断(義理欠く、恥欠く、見栄欠く)をした企業のコスト構造は大きく変わりました。
しかし、役員幹部の意見に翻弄されたり、根本赤字要因にメスを入れ切らない判断をした企業はその後も、低収益や赤字構造が続くことを目の当たりにしてきました。
今回も同様の事が起こるでしょう。
戦術的なコスト対策だけでは、事業性評価を持ち出す金融機関の承認を受けられない可能性もあります。
2、戦略的リストラで「固定費削減」
戦略的リストラとは、「今後の可能性ある分野はむしろコストと人を投入し、今後は益々ダメな分野を身を引く」事です。
その為には、全社を見ながらも部門単位で、「選択と集中」をしなければなりません。
戦略的リストラをする際に実施してほしいツールが「SWOT分析」です。
SWOT分析を説明すると長くなるので、ここでは割愛しますが、外部環境「機会」と「脅威」と内部要因「強み」と「弱み」をバランスよく分析し、「伸ばす分野」と「維持する分野」「撤退縮小する分野」を事業単位、商品単位、顧客単位で整理することです。
下記にそのイメージを紹介。
このSWOT分析を活用してこれまで250事業所以上をコンサルティングしてきて、国内トップクラスの実績がありますが、
このツールは使う人、指導する人によって全く違った結果になることもよく知っています。
しかし、それでも客観分析ツールとして有効なことは証明されているし、事業性評価にこのSWOT分析が推奨されていることから、このツールで事業の選択と集中を行うことはとても大事なことだと思います。
話はさておき、このSWOT分析で「事業または商品・顧客の選択と集中」を導き出します。
すると、経営資源(人、資金、設備)を重点投入すべきカテゴリーと、そうでないカテゴリーがはっきりしてきます。
これは経営者が日頃から思っていることかもしれないし、改めて「そうか」と気付いたカテゴリーかもしれません。
維持、撤退縮小カテゴリーのコストや経営資源は減らす方向で検討します。
特に課題なのが「維持」と判断されたカテゴリーです。
中途半端に維持するため、結局「伸ばすカテゴリー」に経営資源をシフトできないわけです。
そこで、その「維持カテゴリー」はITやアウトソーシング、外注、間接営業で「関係性は維持するが人員投入はしない」判断をすることがベターでしょう。
その結果、人件費コスト、販促コストを減らし、必要に応じて原価コスト(外注、アウトソーシング)とITコストを増やす戦略になるはずです。
3、部門SWOT分析でIT化、アウトソーシング化、脱人化
さて全社的な「事業の選択と集中」は中小零細企業では、比較的経営者のトップダウンの検討で可能ですが、ある程度の中堅企業や複数事業、複数部門がある企業では単純な「経営SWOT分析」ではなかなか答えが見つかりません。
そこで「部門SWOT分析」を行い、それぞれの部門の「強み」と「機会」を分析し、「コア(中核)業務」と「ノンコア(非中核)業務」に選択と集中を行います。
「コア(中核)業務」ではどんどん積極策を打ち出し、「ノンコア(非中核)業務」はIT化、外注や間接営業にシフトしていきます。
そうすることで、各部門で業務時間が理論値として削減され「人余り」が生じるようにします。
その余った人材は、経営SWOT分析で創出された「今後の戦略部門」へ異動させていきます。
下記の表はある企業で部門ごとSWOT分析をした後、各業務をコアとノンコアに分類し、ノンコアの対策を考えた一覧表です。
これをまず作成することで、各部門から「脱人(人を抜き、戦略部門へ異動)」させていきます。
次に、ノンコアと判断された各部門の業務プロセスでIT化、アウトソーシング化で削減できる時間コストを理論値で捻出します。
下記の表は、その概算値です。
こうすることで、各部門の「人余り」の理論値が出てきます。
この理論値の合わせて、「脱人」対象者と、その人の新配属業務を決めます。
その配属部門は「経営SWOT分析」で分かっている「今後の収益を期待する戦略部門」です。
こうやって、減収に相応しい事業モデルを整理し、売上ダウンでも固定費を削減し、さらに今後の戦略部門へ経営資源をシフトする考え方こそ、今回のコロナ不況での「戦略的リストラ」だと考えます。
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