経営顧問が出くわす懲罰委員会の現場

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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企業内で問題を起こした社員に対して、就業規則に沿って「始末書」から「懲戒解雇」まで行う事があります。

普通こういう場面に多くの人は出くわしませんが、経営顧問をしているとそういう場面や相談を受けることが多々あります。

実際に役員会や経営会議の中で「懲罰委員会」を開催し、私が司会をして経営者、役員の意見からまとめ上げていきます。

懲罰委員会なんて、そんな仰々しいと思っている方も多いでしょうが、問題を起こした人材にはしっかりけじめをつけさせないと、組織が緩んできます。

では、中小企業における「懲罰委員会」はどういうことが大事か?

1,就業規則に懲罰に関わる詳細なケースを掲の

何も事前ルールもないのに、感情に任せて懲罰動議をすることは、個人商店がやる愚行です。

小規模でも組織である以上、就業規則に懲罰規定は掲載しておかなければなりません。

しかも、考えられる詳細なケース別に書いておくのが判断基準となります。

書き方は、いまではネット上にいろいろな事例が出ているので参考にしましょう。

社労士の知り合いがいれば相談することをお勧めします。

 

2,まず始末書を現場幹部が該当者に請求

いかなる問題発生も、社員個人の間違い、トラブルによる問題発生時は、懲罰の軽重に関わらず「始末書」「顛末書」を出してもらいます。

しかし、多くの中小企業で上司が「始末書」を要求する基準が決まっておらず、始末書提出を言えない上司もいます。

確かに始末書は物事の経緯と最終的な実損などが明らかにならないと出せないというものもありますが、明らかに社員個人の問題が原因なら、ことの顛末が分かる前でも「始末書」を出すよう上司は部下に指導しなければなりません。

また同時に、上司の管理責任について上司も「管理不行き届き」として「始末書」を一緒に出す事で、問題を起こした部下も始末書が出しやすく、上司も管理責任の意識を高める効果もあります。(責任範囲を決めておかないと部長クラスは末端の責任の管理責任まで負うと、組織規模が大きいと毎週のように書く羽目になる)

いずれにしても懲罰を決める際にも、「始末書」がない状態ではなかなか決めにくいのが実情です。

 

3,役員会・経営会議の中で、また臨時に懲罰委員会開催

懲罰委員会は役員会・経営会議の一環として開催されます。

時間がない場合は臨時の懲罰委員会のみを開催するケースもあります。

参加者は経営者、役員と担当部門長、そして私のような経営顧問が出席します。

上司から提出するよう指示された始末書は、所属長、担当役員の捺印後に総務へ提出されます。

総務から、役員会前に検討事項として挙げられます。

その懲罰委員会の現場で、私は司会をしながら、過去の懲罰動議の議事録一覧をモニターに映し、議論の結果を追記していきます。

それぞれの役員の意見を聞きますが、担当役員がどう考えるかと最終的に経営者がどう判断するかを意識して議論を進めます。

 

4,過去懲罰事例から判断、新たな基準から判断

懲罰の軽重を決める基準は過去の判例になります。

当社が経営顧問をしている企業では過去の懲罰議事録をいつでも出せる文書データにしています。

それをモニターで見ながら協議をして、最終的には経営者が意思決定します。

内容によっては部門長の判断にゆだねることもあります。

昨今、懲罰で減給といっても範囲が決められており、額面も「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」となっているので、金銭的な負担はあまりありません。

しかし、減給幅以上に、その処罰に付随する事項を追加していくことは可能です。

懲罰というのは、元来「今回の件を反省して再発しないようにする為のケジメ」です。

本人に物理的精神的ダメージを与える為に行うのではありません。

しかし、度重なるトラブル、類似の事故など「反省が活かされてない」ケースもあります。

その場合は、単なる始末書から減給措置だけにとどまらず、降格に伴う措置も検討しなければなりません。

降格になれば賃金の減額幅が大きくなりますが、判例では

「降格・降職については、「職務毎に異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替によって賃金支給額が減少しても、法第91条の減給制裁規定に抵触しない」

となっているので違法とは言えません。

但し、就業規則の懲戒規定に、降職・降格の区分および懲戒該当事由が定められていることも必要です。

過去の懲罰判例から、時代の流れとともに変化しているので、新たな基準が必要な場合は懲罰規定の改定も急ぐ必要があります。

時には、3年前と同じ懲罰行為でも、ルール改正後や機器取付後などの「状況変化後の懲罰行為」は、過去の判例よりも厳しくなることもあります・

 

とにかく「経営顧問」をしていると、そういう場面も出くわすだけでなく、一定の役割を持つこともあるという話でした。

 

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