【SWOT分析と事業再構築】また「使えないSWOT分析」を見てしまった
先週ある企業経営者と後継者と面談をしました。
日本の技術を支える中小製造加工業です。
経営状態はかなり厳しい状況で、地元の会計事務所からも支援をもらっています。
その会計事務所からSWOT分析の指導をしてもらったそうです。
そこで、そのSWOT分析を見させて頂きました。
そのSWOT分析を見ると、「SWOT分析の間違いのあるある」がふんだんに盛り込まれていました。
その経営者と後継者も
「SWOT分析はしたけど、何の気づきも今後の対策も見えなかった。無駄だった」
と回顧されてました。
実践的なSWOT分析のノウハウとスキルのない人が、SWOT分析を軽々しく使用しても、「SWOT分析自体が否定される」結末を有無という悲しい現実です。
では、その会計事務所が指導した「SWOT分析」は何が間違っていたのでしょうか?
1,複数事業部があるので、経営SWOT分析だけの愚
その企業には、主要な製品分野が3つあります。
当然、客先も違うし、製造している中核技術も異なります。
客先が違うという事は「機会」「脅威」が異なるという事です。
無論「強み」「弱み」もそれぞれ違います。
なのに、1つの経営SWOT分析で行うとどうなるか?
●「機会」がフォーカスされず、マクロ分析みたいな表現になる
●各事業部の「強み」が表面的に羅列されるだけで、強みの深掘りがない
●クロスの「積極戦略」が、概念的になり人・組織に関する戦略を書き出す始末
多くの「SWOT分析素人」が間違う箇所です。
複数事業がある場合は、事業ごとSWOT分析が大原則です。
当然、時間もかかりますが、事業再構築経営計画書を立てるならその労力は必須ですね。
2,「強み」の内容に差別化の記載がない
もう一つは「強み」が表面的なので、「強み」の内容に差別化の記載がないのです。
「強み」の差別化とは、経営者や幹部が言う「強み」の背景、その「強み」を欲しがる顧客はどんな特性があるか、どんなニーズがあるか、の検討がないのです。
すると、「機会」から生まれた顧客属性別のニッチニーズに何をどう対処するのか、ぶつける武器も、プロモーションも見えません。
何故「強みの深掘り」をしないのでしょうか?
●その強みはどこが同業者と違うのか
●その強みを欲しがる顧客はどんなニーズがあるから、欲しがるのか
●その強みはどうアピールすれば、顧客開拓に役立つか 等々
「強み」だけでも聞くことはたくさんあります。
そうやって聞き出した「強み」こそ、本当の経営資源なんですね。
3,「積極戦略」が抽象論
「積極戦略」にこんな表現がありました。
●「〇〇技術を具体的にパンフに記載し、部品問屋に紹介依頼する」
●「技術の共有を図るため、生産管理者同士の研修を行い、見える化する」
それっぽい表現ですが、ここから「商品名」「顧客名」「売り方」「見せ方」「大体の数量」「行動プロセス」のイメージが沸くでしょうか。
これで「クロスSWOT分析」をしたとその会計事務所は思っているのです。
しかも、顧問先経営者は納得してないのに。
ここにも「掘り下げ不足」のその会計事務所のスキルの実態が見えてきます。
「我々プロコンサルタントの知識とかノウハウがないから、会計事務所のSWOT分析指導はダメなんだ」
と言っているのではありません。
そんな知識はそう簡単にはつきません。
それより、「質問があまりにも浅い」という技術や意識について、ダメ出しをしているのです。
先方が発した言葉に疑問を持たないのでしょうか?
●何故そうなのか?
●誰が言ったのか?
●何故、その人はそういったのか?
●何がその人の背景があるのだろうか?
他にも同じような課題を持っている人は誰だろう?
一つの事を複数回掘り下げるだけで、顧問先の専門技術は知らなくてもいろいろ見えてきます。
でも、それをしないからいつまで経っても、表面的な情報しか入手できない、それが会計事務所の実態なんでしょう。
だから「捨てられる会計事務所」が増えていくだろうな。
今懸念しているのは「事業再構築補助金」が始まり、SWOT分析を使って事業計画書を書くところも多い事です。
聞き方が浅ければ「形式ばかりの事業再構築補助金申請書」になり、本当の意味でも「持続的な事業再構築」経営得計画書」とはならないでしょう。
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