【SWOT分析と事業再構築】中小企業庁の事業再構築補助金事例から見るポイント⑴
事業再構築補助金について、中小企業庁がいくつかの事例を出しています。
もうすでにご覧の方も多いでしょう。
そこから読み取れる事、そしてこの事例からどういう戦略がないと、持続化ができないかを見ていきたいと思います。
というのは、実際にこのケース事例を見て「SWOT分析」の観点から推察すると「持続性」に疑問を持つ場合が少なくありません。
という事は「補助金申請ありき」ではなく、「新規事業・多角化の持続化」が重要なポイントだと思います。
1,ケース⑴居酒屋のオンライン宅配弁当への業態転換
今回のコロナ禍で「良く取り上げられたケース」です。
既に宅配弁当やテイクアウトがいろいろな所が行っており、後発組でありしかも、居酒屋業態で行う場合、どういう差別化をするか大事です。
普通の宅配、テイクアウトでは思うほどの売上は厳しいと容易に想像がつきます。
すると、他のライバル宅配店と比較して、「〇〇のニーズでの宅配ならA店が一番だね」と思われる売り出しが必要です。
そうするには、今ある「強み」をどこまで再分析するかです。
普通のテイクアウト・デリバリーと異なる方法で参入しない限り、持続性に疑問が出ます。
例えば
⑴調理人の技術でPRできる事
⑵これまでの人気メニューから「名物」を出す
⑶厨房施設を活用して、できる事
⑷夜間のアルバイト・スタッフが夜間にデリバリーニーズがあるところへの配送
⑸顧客リストや店舗の場所を活かした販売戦略
こういう「強み」を再分析して、「どんな商品で、どんなパッケージで、どんなイメージで、どんな顧客を対象に、どんなプロモーションや広告で、差別化できるタネはこう」と決めるべきです。
そうしないと、あまりに同業者が多いデリバリー、テイクアウトの外食で「目立つ」事はできません。
2,ケース⑵紳士服店が紳士服のネットでレンタル事業へ業態転換
紳士服は厳しい状況は良くわかります。
リモートが増え、需要そのものが減退している訳ですから。
「所有から使用」への流れで、必要な時に必要な紳士服をレンタルするという目論見です。
問題はレンタル自体にどこまで持続的な需要があるか?
しかも、地域が限られていたら見込み客の総数もかなり少なく、ビジネスとして成り立たないのではと感じます。
本当に紳士服が必要なら低価格で買えばいいし、レンタル後のクリーニング、補正、管理もかなりのコスト高が予想されます。
レンタルウエディングドレスのような高価格帯ならまだしも、おそらく低価格帯のレンタルでしょう。
ではこういう紳士服のレンタルや「強みを活かした戦略」でどんな差別化や持続化の対策が必要でしょうか。
⑴ドレス系の滅多にない場所で着る付加価値の高いセット貸し(スーツ、シャツ、タイ、靴)
⑵また青山商事が行っているような、店舗不動産を使って、店を半分にして半分を他社にまた貸しする(不動産の活用)
⑶紳士服だけでなく、族需要まで含めたレンタル商品の展開(晴れの日の家族全員の写真用衣装)
等、何らかの差別化や「強み」を活かしたビジネスでないと難しいと考えられます。
3,ケース⑶航空部品製造から医療機器製造へ新分野
このケースを見ると、生産設備や製造技術を活かして、需要が低迷した航空部品から、医療機器部品への展開となっています。
使える経営資源が転用可能ならそれもありでしょう。
実際にコロナ禍で自動車メーカーが人工呼吸器の依頼を政府からされたというニュースもありました。
製造部門ではいろいろなノウハウや技能があるので、その技術を活かした多角化や新分野のチャレンジはますます求められます。
ここで考えるべき事は、コロナ禍で供給がひっぱくしている分野への参入が、ポストコロナでどこまで持続化するかです。
このケースのようにコロナ禍で医療機器への参入で、何らかの差別化や技術的優位性があれば持続化は可能です。
しかし、需要が落ち着いたら供給がダブつくような新分野も実際には相当あると予想されます。
だからポストコロナでも「安定需要が見込めるような差別化した技術」が重要になってきます。
これら以外にもいくつかのケース事例が掲載されています。
全てに共通しているのは、新分野や多角化の是非ではなく、参入後の持続可能なビジネスモデルになるかどうかです。
その為には「強み」の深掘りと同時にUSP(独自のウリ)を見つけ出さない限り、一過性に終わる可能性が高いと言えます。
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