【SWOT分析と事業再構築】新規事業・多角化事業戦略の持続性を維持するマネジメント1
今ある「企業の強み」を伸ばす 中小企業SWOT分析コンサルタントの嶋田です
質問 中小企業の新規事業の成功率って、ご存知ですか?
実は、中小企業庁のデータでも30%程度。
3社に1社しか成功してない事実。
何故か?
中小企業庁の事業再構築補助金のケース事例がいくつか掲載されています。
こういう事業再構築で新分野への挑戦、業態転換に対して掛かる費用を補助しようとする事例です。
ここで注意したいのは、それぞれのケースは一般論としては「事業再構築」に該当している事例です。
問題は、「その事業再構築の持続性」です。
補助金で経費負担のリスクは軽減されたとしても、その結果成長をする事が条件になっています。
新規事業・多角化が失敗しない為には、どの分野に参入するかと同じくらい、参入前後の計画の思想やマネジメントが重要になります。
実は、「目の付け所は良い」が「マネジメント」の失敗で、「新規事業・多角化戦略」が失敗したケースもたくさんあるのです。
そこで、これまで「新規事業・多角化戦略のコンサルティング」をしてきた経験から、「新規事業を失敗させない22のマネジメント」について、2回シリーズで紹介します。
1,「小さく生んで、大きく育てる」をベースに、当初計画から大きな投資や多額の固定費が発生しないようにする
今回は補助金が認定されれば、初期投資や経費の補助があるのである程度のリスクは取れます。
しかし、そういう支援がなくて中小零細企業が新規事業・多角化に取り組むには、よほど財務に余裕がない限り「一か八か」の投資はやってはいけません。
「小さく生んで大きく育てる」発想が大事です。
2,初期投資の回収期間の計算をシビアに行う
最低でも3年以内に単年度黒字が見えない事業計画ならしない方が良い。
補助金の指定が「3~5年後付加価値が年率3%増加」などとあるように持続性が要求されています。
補助金を使えば、初期投資をある程度思い切ってできるので、以前よりは可能性はあるでしょう。
しかし、投資回収はシビアに見ないと後から厳しい状況になります。
3,収益と投資のバランスの基準があり、ズルズル費用を掛けて、本業の足を引っ張る事はない
普通の新規事業・多角化なら「これ以上赤字なら凍結又は撤退」を明確にしておけば、最悪の事態は回避できます。
この判断基準を持ち、感傷に流されない経営判断が必要です。
4,1人複数役、多能工を原則としたモデルであり、1人当り付加価値が高い
1人当り付加価値基準は、3年後には新規事業に関わる人件費の最低2倍の粗利を稼ぐモデルのする位の計算をします。
例えば、3名の人件費(福利込み)総額が2000万円としたら、4000万円の粗利で、粗利率が30%なら、売上で1.2億円のビジネスです。
という事は、多くの新規事業・多角化では最初から多能工で取り組み、必要に応じて外注費や委託費をふた
5,とにかく固定費を掛けないよう初期はローコストマネジメントを徹底する
「新品を買わず中古を使う」
「必要な物は手作りでも自分達で作成する」
「業者に頼まず自分達で行う」等、徹底したローコストオペレーションは成功の共通要素です。
仮に補助金が出たとしても、戦略投資にカネを使っても、事務系費用は抑える事です。
6,本業の顧客や仕入先等の経営資源が使えて、比較的短期間に売上を上げる
新規事業の売上が出るまで時間のかかるモノは、多くのTOPは待てない場合が多いです。
今回の事業再構築補助金では、今の経営資源や強みの有効活用した新規事業・多角化戦略だと定義されています。
だから、本業の強みとシナジーがない分野をターゲットにしない事です。
そうしないと1年2年で数値が改善する事は難しいでしょう。
7,商品開発費用、広告費用、人件費が大きく、投資回収のイメージが湧かないものは取り組まない
戦略投資、償却費や固定経費が大きい場合は、それだけ粗利をあげなければなりません。
良く計算してムリなら、そのビジネスはムリと判断する事も大事です。
「補助金ありき」で無理やり参入しても、その後の投資がかさみ、経営を圧迫してはいけません。
イメージが沸かないものは、おそらく無理なんでしょう。
8,「こうなったら撤退する」と言う撤退基準を先につくっている
計数指標や商材指標、市場での指標等、何らかの撤退基準が必要です。
「これだけ投資したんだから、簡単には止められない」と更に泥沼投資をして、本業が傾く事は防がなければなりません。
「ズルズル投資」でも芽が出るのは、財務力のバックボーンがあっての事です。
9,末端関係者まで、赤字と黒字が明確に分かる仕組みを作り、新規事業チームの危機感と意識を高める
新規事業は部門損益を明確にして、皆で売上アップ、経費ダウンを考えるチームにしましょう。
他人事のチームではうまく行くものも、失敗する可能性が高いです。
10、新規事業の成否の基準を作成している
「やってみなくちゃ分からない」ではなく、最初から「成功ライン」を決めれば、次の展開や投資もできます。
例えば、
●単年度黒字が3年以内に実現
●7年以内の累積赤字解消
●赤字でも本業の売上、顧客開拓に貢献する 等々
新規事業・多角化戦略は育てるもので、最初から高い業績貢献を求めていると、責任者はプレッシャーで挫折する事になります。
次回、残りの12項目を紹介します。
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