病院・福祉施設のMBOが浸透し仕組み化する本当のノウハウ
MBO(Management By Objectives)とは目標管理制度という意味です。
いろいろな医療法人、社会福祉法人でも「目標管理」を入れて、それを何らかの評価査定に反映していると思います。
しかし、その目標管理にはいろいろな課題があります。
●目標の設定基準がきめられないので、不公平感が出る
●部門や職種で設定基準が異なり、管理者によっても軽重の判断が異なる
●目標管理というノルマ意識で逆にモチベーションダウンになる
●本来は部門で追いかける目標が個人に落とし込みすぎ
●目標管理達成の言葉が曖昧で、到達かどうかの判断ができない
●目標の中間チェックはモニタリングがないと、ただ設定するだけで形骸化してしまう 等々
「目標管理(MBO)を導入しています」と言っても、本当は浸透していない組織は多いものです。
その最たる原因は何か?
当社では「目標管理の一人歩き」だと定義しています。
1、目標管理が制度全般での連続性がない
目標管理は各部門・各職種でいろいろ設定します。その目的はモチベーションアップのはずです。
そしてその理由は大きく分けて
⑴年間事業計画書の為に設定する
⑵昇給や賞与の人事評価に反映させる為に設定する
でしょう。
ところがほとんどの事業所ではそうなっていません。
MBOの個別の問題はさておいて、組織の課題として、当社がコンサルティングしている病院や福祉施設の実情を鑑みると以下のことが言えそうです。
⑴目標管理がただの掛け声だけに終わっている
⑵評価査定の反映の仕方に統一基準がない
⑶そもそも各職員が部門、チームの目標を意識していない
⑷目標をクリアするための対策が部門長・リーダー任せ
⑸目標設定作業を通常業務以外の、新たな負担作業と思っている
いわゆる、「目標管理と各種施策の連続性」がなく、冒頭に述べたように「目標管理の一人歩き」状態な訳です。
これでは、「目標管理」が組織運営の仕組みと連動しているとは言い難いでしょう。
2、目標管理を評価の為に使うとモチベーションダウン
当社の長年のコンサルティング経験から「目標管理」を人事考課の補填作業として取り扱っても決してモチベーションアップにはならないと確信しています。
一般の人事考課では「情意評価」が多く、実績評価が反映されないことから、目標達成度を評価基準に入れます。
しかし結果というものは運も不運もあるし、今年の努力が必ずしも今年の結果には反映されません。
また状況がどんどん変化(例職員が増えた、環境が変わった、ルールが変わった、組織が変わった等)したら当初の目標設定での結果の判断はできません。
しかも一番の問題点は「目標設定」が「結果」である収入、収益、稼働率、契約数、登録数、インシデント率、コストなどです。
これらはすべて結果であり、その結果の良し悪しだけでそのチーム、個人を評価することに多くの従業員は違和感があるはずです。
違和感があり納得感のない「目標設定」に皆が協力するはずもありません。
3、結果だけの目標設定はダメ、プロセスの目標設定こそ必須
結果である収入、収益、稼働率、契約数、登録数、インシデント率、コストなどではなく、その結果に大きく影響を及ぼすKSF(key success Factor=重要成功要因)を具体的に決め、そのKFSを実現する為のKPI(key Performance Indicator=重要業績評価指標)こそ「目標設定」にすべきです。
例えば最終目標が「稼働率」だとします。
しかし稼働率80%目標と言ってもいろいろな要素の結果であり、それを実現する対策も多岐にわたります。
多岐にわたるという事はスタッフのベクトルが一致できないという事です。
ここで「稼働率」を上げる為にには何が必要か?と問い尋ねると、
介護施設の場合は「入院を減らすこと」を最初にあげます。
では「入院を減らすこと」がKFSになるかといえば、それもまだまだ大きな目標です。これは別名KGI(key Goal Indicator=最終到達目標)に近いものです。
次に「どうしたら、入院を減らせるか?」を聞きます。
すると、「転倒転落を減らすこと」といいます。実はこれがKSFです。
そこで「転倒転落を防ぐには何をどうすればいいか?」を聞きます。
すると、施設内の躓き箇所の注意喚起とか、食事中の椅子から転落防止だとかいろいろ意見が出ます。
そこで「それらを数値化してください」とさし向けます。
当然、当社の方からいろいろなヒントをいう過程で本人たちが気づいていくのですが。
例えば「躓き箇所の注意POPを貼り付けと書き換えを最低月10箇所」とか、
「過去の転倒や食事中の転落経験がある利用者の転倒転落再発ゼロ」などの目標になります。
KPIとは評価判断可能な指数、指標にすることです。
しかもこの目標は最小部門、チームで決める事で個人で決めません。
実質的に良くなる事が大事ですから。
4、KPIが決まれば「カイゼン活動」が始まる
KPIが各部署で詳細に決まれば、その数値目標を達成する為に何をどうするかの議論をします。
先程の「躓き箇所の注意喚起毎月10箇所」であれば、どのフロアーが誰が担当してどんなPOPを作るか、
「過去の転倒転落利用者の再発ゼロ」なら、全員が特定利用者への監視と確認、ずれ落ち防止のアイデアを出します。
これが「カイゼン活動」となって「アウトプット」されます。
カイゼン活動も目標KPIが決まっているので、どこにどんなアイデアやカイゼンをすれば良いか大体範囲が特定されます。
するとカイゼン活動の結果でKPI目標が達成し、その結果KGIが良くなり、最終稼働率が上がるという連続性が実現する訳です。
このようにMBOが末端従業員まで、一本の串刺しで連続する事で、成果がでる事をこれまで経験してきました。
あなたの施設ではどうですか?
こちらのページもいかがですか?
無料電子書籍ダウンロード
「これを無料で渡すんですか?」と同業のコンサルタントがビックリしたマニュアルをご提供!各種コンサルティングマニュアルを揃えております。
コンサルティング現場実例ノウハウ
「こんな実例ノウハウを、こんな価格で売るって正気ですか?」と仲間のコンサルタントがあきれた「コンサルティング現場で活用した実例ノウハウ」があります。クライアントとの面談や会議で、また研修時に「見せるツール」しかも記入実例付きのリアルテンプレートを豊富に掲載。