嶋田利広ブログ

会計事務所の職員教育

いつものMAS業務だと、最近解約が増えている?

SWOT分析、KPI監査、求職者が増える採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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会計事務所の中で、付加価値や差別化を目指す事務所が長らく取り組んできた「MAS業務」。

その姿がやっと変革の時に来たようです。

簡単に言うと、

「予実チェック中心のMASでは業績が上がらない事は分かっているのに、自分達でできる他の手法を知らないし、顧問先も文句を言ってこないから続けている」

そんなMAS業務がダメになっているのです。

それはコロナ禍で財務が痛み、まだまだ業績回復の途上にある顧問先にとって「効果がないMAS指導料」の負担が大きくなっているからです。

その証拠に、私の関係筋の会計事務所でもMAS業務指導の解約や減額要請がここ最近増えています。

税務顧問はそう簡単に解約されませんが、MAS契約は即解約の憂き目にあいます。

更に、既に高額のMAS指導料を貰っている会計事務所では、「予実チェックとアクションプランチェック」だけのMAS監査が限界を迎え、もっと経営者に付加価値を感じてもらう指導をしないと、不信感を持たれる事態に陥っています。

では、どんなMAS業務が良いのか?

1,今のMAS業務では3年目まで続かない

MAS業務をされている多くの会計事務所所長から言われたことがあります。

「1年目は収支や資金繰りまで数値で『見える化』し、その予実チェックに感動される」

「2年目も同じように予実チェックをしていくが、毎回同じような話になり、具体的な新たな行動が進まない」

「3年目を迎える前に、MAS指導に不満を感じた顧問先から、一度お休みしたいと」

実は、収支や資金中心の予実チェックだけでは、当初は喜ばれても経営は改善しないというのが実感のようです。

ある事務所の所長はそこで

「SWOT分析を学習したい」

と当社の門を叩かれました。

それは「もう少し具体策に踏み込まないと、経営者が納得しない」

という危機感からです。

 

2,行動計画の予実チェックも限界

予実チェックだけから、少し進んだ会計事務所のMAS指導でが、毎回の会議の結果を議事録にとり、次のアクションを整理しそれをモニタリングしています。

これはかなり進んだ方です。

行動計画と今後の行動予定を聞き出し、次月にはその結果をモニタリングして、更に修正行動計画を決めていく手法です。

実はこの「アクションプラン監査」も指導の限界が来やすいのです。

それは多くの中小零細企業では、なかなか新たな行動を進める事が難しく、毎回同じ話しの繰り返しになりがち。

昨今では

「決定事項の担当者が経営者だと、ほとんど実行しない」

「人手不足で、経営陣も現場業務に追われ、会議で決まっても手つかず」

「受け身の仕事に慣れた会社の風土から、なかなか抜け出せない」

こんな事情のもとでは、新たな決定事項が出ても実行されない。

実行しないのは経営者や社員なのに、結果がでないし決定事項が進まないから「会議の決定事項が負担」になって解約になるケースも。

実は、会計事務所のMAS指導では、こんなことが日常茶飯事に起こっているのです。

 

3,行動プロセスを指標化した「KPI監査」なら新たな視点に

ところが、これらのMAS指導を我々が進めている「KPI監査」に変えると違った景色が見えてきます。

KPIは業績に直結するKSF(重要成功要因)を特定し、そのKSFの行動プロセスを指標化してモニタリングをする事です。

モニタリングでは、KPIのチェックと何故できなかったのか、次月までにこのKPI目標を達成する為に何をどうするか?

これを経営者、幹部本人に考えさせます。

収支結果ではなく、KPI結果と行動対策なので、かなり絞られた議論になります。

またKPIはかなり小さな行動項目なので、MAS指導者がいない時に自社内会議でもチェックしてもらいます。

 KPIチェック結果を次月のMAS会議時に報告してもらい、その行動対策(修正アクションプラン)の妥当性をヒアリングします。

大事な事は

「本当に行動できるか」

「そういう段取りやプロセスで動けるのか」

「目論見通り、準備ができなかったり、違う反応が出た場合、どんな代替策があるのか」

等をKPI監査時に聞き出し、「議事録化」する事です。

 

4,KPI監査が成果を出す最大の理由

KPIのもとになるKSF(重要成功要因)をどう確定するかで、KPIやアクションプランは変わってきます。

我々はその進め方を、大きく3つのアプローチから入ります。

⑴クロスSWOT分析からのKSF捻出

⑵ボトルネックからのKSF捻出

⑶業界・部門の業績の公式からのKSF捻出

です。

⑴クロスSWOT分析からのKSF捻出

クロスSWOT分析で、「強み」「機会」「積極戦略」「致命傷回避撤退縮小戦略」「改善戦略」から必要なKSFを複数導き出し、その行動プロセスを指標化します。

SWOT分析が良いのは、「積極戦略」の中身は即効性のあるKSFが出てくるので、そこを重点的にKPI化すれば、成果が出やすい事です。

 

⑵ボトルネックからのKSF捻出

ボトルネックとは、その部門の課題全体に影響している制約条件です。

これは当事者である経営者や幹部が分かっているから、それをフレームに沿って聞き出し、KSFにしてKPI化します。

 

⑶業界・部門の業績の公式からのKSF捻出

どの業界、部門にも成功の方程式があります。

それが「業績の公式」

それらを小さく聞き出し、フレーム入れます。

その中でも優先度の高いものがKSFになり、その後KPI化していきます。

 

「業績の公式」からのKPI設定のアプローチについての解説は下記 

https://re-keiei.com/consulting/74-kpi/1760-kpi-ksf-kpi-swot.html

 

このように「KPI監査」の前段階である「KPI設定」はリアルな現場実情を反映し、その行動プロセスの指標化を行う事です。

毎回の「KPI監査」でも、一般論や世間話になる暇はなく、徹底してファクトファインディングで議論を進めます。

だから「超具体的な決定事項」が毎回出てくるわけです。

 

KPI監査では、顧問先の業績プロセスの中身にまで介入し、その議論や決定事項をファシリテートしていくので、即売上や利益にならなくても、少しずつ進化していくことを経営者も感じる事でしょう。

その延長線上に業績がある事をどの経営者も分かっているので。

 

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