KPI監査 KSFとKPIを見出す「SWOT分析」と「業績の公式」の2つのアプローチ
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
KPI監査を行う際、どのKSF(重要成功要因)にフォーカスするかで、KPI(重要業績指標)の内容も変わってきます。
監査担当者が、経営者に対して
「御社の業績に直結するKSF(重要成功要因)って何ですか?」
と一般的な質問をしても、こちらが求めるKSFは返ってきません。
それは、経営者自身がKPI監査の体系図を理解していないからです。
恐らく、上記の質問をすると
●人材がいれば、もっと顧客を回れるのに
●開発の時間が取れれば、売上は増えるのに
●もっと管理職がしっかりすれば…
等、KSFになりにくい言葉が返ってきます。
そこで、具体的なKSFを聞き出しKPIを設定するには、2つのアプローチが必要です。
その一つは「クロスSWOT分析からの積極戦略」をKSFとKPIにするケース
もう一つは「業界固有の業績の公式」からKSF、KPIを引っ張ってくるケースです。
1、クロスSWOT分析から割り出すKSF
先ずは、「クロスSWOT分析」により、「可能性のある機会」と「現在使える強み・細かい経営資源の一部」を整理します。
そしてその掛け合わせである「固有の積極戦略」がそのままKSFになるケースです。
「積極戦略」では、下記のようなカテゴリを具体的に記載するようにします。
こんな具体的なヒントを元に「積極戦略」を出すので、RE経営式「SWOT分析」を学んだ会計事務所は、KSFを出しやすくなるのです。
このKSFから、それを具体的な行動プロセスの中で、どんなKPIがよくなれば、このKSFの実行度が上がるかを決めていきます。
KPIは、これら具体的なKSFからプロセス数値目標を捻出しますが、KPI設定のコツは
⑴そのKSFを実現する為に、どのプロセス数値が上がれば、より早くKSFが実現できるか
⑵そのKSFを実現する為に、どのデータや数量を収集する事が必要か
⑶そのKSFを実現する為に、どんな「見て分かる数字」があれば近づくか
⑷そのKSFを実現する為に、後から検証可能な個数、時間、単位当たり、%などの数値は何か
このようなことを意識して、KSFからKPIを導き出します。
2、「業績の公式」から割り出すKSF
各業態や業種には、その業界固有の「業績の公式」があります。
売上を上げるなら「売上の公式」
粗利を上げるなら「粗利の公式」
営業利益を上げるなら「営業利益の公式」
それぞれ公式があり、それに沿ってKSFを導き出します。
⑴ある飲食業の「売上の公式」
①売上=(常連客数+新規客数)×平均客単価
②常連客数=会員登録数+リピーター(常連)
③新規客数=リピータが連れてくる新規+SNSで見た新規+ホットペッパーで見た新規
④平均客単価=メイン定食+サブディッシュ+アルコール+セットコース料理+季節メニュー
⑤常連の来店率を増やす=クーポン・スタンプ+会員制度+メールコール数+誕生日プレゼント
⑥リピータが連れてくる新規=クーポン・スタンプダブルプレゼント+新規さんへのプレゼント+コーヒーサービス
⑦SNSで見た新規=facebook、インスタグラムへの投稿を前提にしたサプライズメニュー提供
このように、各公式の主要部分を小さく掘り下げると、そのままKPIになっていきます。
⑵ある小売業の「売上の公式」
①売上=顧客単価×客数
②顧客単価=商品別販売個数×単価
③客数 =来店者数×買い上げ率
④来店者数=チラシ枚数×ポストイン枚数×DM発送数×キャンペーン案内リスト数
⑤買い上げ率=良い接客×販促POP×目玉商品×お値ごろ感×特典
⑶ある印刷会社の「売上の公式」
①売 上=有効顧客数×見積依頼数×見積決定率
②有効顧客数=新規開拓件数+既存のB客以上数
③見積依頼数=訪問回数×有効面談率×提案商材情報
④新規開拓件数=ターゲット顧客数×決定権者面談率×情報提供数×見積依頼率
⑤有効面談率=訪問数×決定権者面談率×商談時間
⑷一般的な「粗利の公式」では
①原材料率の低減=ムダ資材の撲滅(端材数量)×部材仕様統一量×合い見積もり実施数×設計変更数×VE数 等々
②労務費の低減=部署別残業平準化率×正味作業時間率×多能化スキルマップ平均率 等々
③外注費の低減=内作率増加×外注先作業指導時間×外注先からの作業効率化提案数×購入品切り替え数 等々
⑸「営業利益の公式」では
①適正人件費=ムダ残業の是正×残業平準化×多能職のスキルアップ×非正規雇用教育 等々
②効果的販促費・広告費=広告費用対反響×CV(コンバージョン率)×イベントコストと集客 等々
③効果的旅費交通費・接待費=旅費交通費対新規面談数×接待交際対新規紹介件数 等々
このように「業績の公式」を深堀すればそのままKPI設定のヒントになります。
「クロスSWOT分析」と「業績の公式」からのKSFとKPI設定は、それぞれ良いとこ取りをしながら、「効果的なKSF、KPI」を見つけ出すことです。
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