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KPI監査 中小零細企業でも活用できるKGI、KSF、KPIの関係と体系図

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

 KPI監査中小企業で活用できるKGIKSFKPIの関係と体系図.jpg

KPI監査を推奨していると、こんな質問がきます。

「KGI(重要目標達成指標)とKSF(重要成功要因)、KPI(重要業績指標)の関係が今いち理解していない。

どう考えて、それぞれ紐づけしていけばいいのか?」

ここで誤解が生まれるのは、指標設定についてWeb上の情報が錯そうして、「何が正しいのか不明」だからです。

そこで、中小零細企業にKPI監査を進める上でKGI,KSF、KPIの関係性と中身についてポイントを解説します。

1、KGI(重要到達目標指標)は売上利益ではない

KGIを売上や利益、または部門利益などに入れてしまうケースがあります。

そうすると、KSFもKPIも抽象的な戦略や指標になってしまいます。

KSF(重要成功要因)とKPI(重要業績評価指標)が抽象的で数値対策のイメージが湧かないと、モニタリングをした時、議論が総花的になってしまうのを防ぐ為にも、KGIを掘り下げることが必要です。

あくまでもKGIは目標売上・目標利益につながるKGIにしなければなりません。

だから、例えば「売上5億円、経常利益1000万円」の経営計画の企業なら、

⑴「売上5億円、経常利益1000万円」を実現する為に重要な「営業KGI」は何か?

例えば、A当商品のシェアやインストアカバレッジ、代理店網羅数、新規取引先数、マーケットチャネル別の顧客リスト数などの売上に直結するKGIになる

⑵「売上5億円、経常利益1000万円」を実現する為に重要な「製造KGI」は何か?

例えば、外注に出している業務の内製化率やリードタイム短縮時間、価格アップ商品の付加価値と販売数、使用原材料の変更割合増加による粗利改善、時間外業務削減数や労務費圧縮など、粗利確保につながるものが「製造KGI」になる。

 

このようにKGI自体を具体的にした方がKSFがしやすくなります。

 

2、KSF(重要成功要因)はSWOT分析と業績の公式から生まれる

KGIを実現する為にKSFの掘り下げは「SWOT分析の積極戦略」から生まれるケースと、「業績の公式」から生まれるケースがあります。

それぞれ、議論の仕方が異なります。

「SWOT分析」の場合は自社の「具体的な強み」から「ニッチな市場などの機会」を掘り下げ、その掛け合わせから生まれる独自の「積極戦略」をKSFにします。

例えば「営業KGI」が「A商品のB地域での取引先数200社」とした場合、自社の「強み」とこのA商品に関連する事や購入する顧客、市場においてどんなニッチニーズがあるかを議論します。

そして、その掛け合わせである「積極戦略」にはどんなプロモーションや仕掛け、営業展開が良いか、それがKSFとして具体化します。

 

「業績の公式」は、この業界業種なら、どのような掛け算で売上ができているのか、業界共通の慣習から設定していきます。

一般的には小売業の「売上の公式」の場合

売上=購入顧客数×単価です。

この購入顧客を更に詳細化(来店率、販促、リストフォローなど)したり、単価も主力商品、補完商品、アップセル、クロスセルなどの詳細な内容に掘り下げます。

「利益の公式」も粗利なら、材料比率、外注率、労務費、現場経費や生産効率、ムダ削減などをベースにKSFを出していきます。

「業績の公式」は同じ業種なら同じような「公式」になります。

 

 

 

3、KPI(重要業績指標)は、KSFの行動プロセスを指標化したもの

そして、「SWOT分析から出したKSF」「業績の公式から出したKSF」であれ、それらの行動プロセスで数値化できるものをKPIに設定します。

KSFは具体的な戦略行動になっているので、その戦略行動が確実に前進する為には「特定行動プロセスの数値目標」が必要です。

分かりやすい例として、「ダイエット」をKGI,KSF,KPIにして整理しましょう。

221125_KGIKSFKPI体系図ダイエット.jpg

目標は70kgで現在(75kg)から5kgのダイエットだとします。

その為のKGIが「運動によるカロリー制限」「食事制限によるカロリーコントロール」「基礎代謝アップによるカロリーコントロール」

そして、各KSFがその具体的な行動内容です。

そして、KPIがその行動に対して、どんな数値目標を持つかを決めています。

ダイエットだとかなり厳しいKPIが並びますが、そうでもしないと難しいのがダイエットですね。

 

4、事例体系図の解説 

このダイエットのKGI・KSF・KPIをフレームで、実際の企業の体系図が下記です。

221125_KGIKSFKPI体系図企業事例.jpg

差額売上と目標利益を稼ぐために、新規開拓とシェア、粗利の問題箇所にフォーカスしました。

それぞれ、KGIには2つのKSFがあり、また各KSFには2つのKPIがあります。

このKPIを見ると、何をどう行動すべきか一目瞭然です。

そして、このKPIを達成する事がそのままKGIを達成し、最終的には売上・利益目標にも大きく貢献する事が分かると思います。

 

5、KGI、KSF、KPIの言葉を相手からどう引き出すか

ダイエットの体系図事例なら、一般論として分かるけど、上記のケース事例を見てもKGI、KSFの2つ、KPIの各2つを見て疑問に思う事でしょう。

●こんなKSF、KPIのアイデアは出せない

●どうやってそんなKSF,KPIをひきだすか

●どんな質問なら、聴きだせるのか

●どんなヒントを与えれば、聴きだせるのか?

 

 その答えは経営者、幹部から聴きだすコーチング質問につきます。

こちらから「こんなKSF、KPIが良いですよ」とアドバイスする事は極力控えたいものです。

むしろ、相手(経営者、幹部)がアイデアを出すように仕向けます。

その時の重要な質問ワードが下記です。

●このKGIを実現する為に、近道(即成果が出そうな対策)と思われるものをKSFを2,3点上げてください。

●このKGIを実現する為に、時間が掛かっても効果が大きい対策を2,3点あげてください。

●そのKSFを実現する為に、どんな具体的な行動が必要ですか?

●KSFの実行度が分かる行動を時間、数、%、個数で目標設定するとどんな感じになりますか?

こんな表現の質問で深堀していくと、相手からいろいろ出てきます。

そして、その言葉に対して、「何故そうなのか」「もっと具体的にいうなら」「後から検証できる数値目標は何」などを聞き出して、文字化していきます。

 

KGI、KSF、KPIはフレームを渡し「後は自分達で書いて下さい」とクライアントや顧問先に依頼しても、求める内容のものは返ってきません。

根掘り葉掘り、コーチング質問しながら聴きだし、こちらが記入していくから、「検証可能な具体的なKPI」が出てくるのです。

 

 

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