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経営者が自信を持った「KPI監査の為のKPI設定コーチングメソッド」とは?

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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先日、クライアントである大阪の会計事務所でその顧問先の金属加工業の経営者を招き、所長、税理士、監査担当者と先方の経営者、後継者で「KPI監査の為のKPI設定とアクションプラン」の作成を半日かけて行いました。

目的は監査担当者が「月次監査の際に収支の予実チェックだけでなく、収支結果につながる「行動プロセスを指標化」したKPI(重要業績指標)をモニタリングする仕組みにする為」です。

この会計事務所では「SWOT分析」「根拠ある経営計画書」「KPI監査」「事業承継10か年カレンダー」の4つのノウハウをMAS監査の差別化にすることを今後展開していきます。

その為に実際の経営者とのやり取りを体感し、一緒になって4つのノウハウと事例を積み上げて、それを事務所のノウハウ書籍(事務所指導マニュアル)として出版し、そのノウハウでMAS業務を顧問先や新規先に提供していく予定です(私が全体の監修と事例の為のコンサル協力)

執筆者は所長だけでなく、幹部監査担当者の名入りで世に出ていきます(幹部のブランディングに一役買います)

既に「クロスSWOT分析」「事業承継10か年カレンダー」の公開コンサルは済んでおり、今回は「KPI監査の為のKPI設定とアクションプランづくり」だった訳です。

実際のこのコンサルティングを受けた金属加工業の経営者、後継者は

「収益改善に不安があったが、このKPI設定で展望が開けた。自分の頭にあった潜在的な思いが固有名詞と数字が論理的に明らかになったので、会社に帰って社員幹部に説明して、経営強化していきたい」と。

本来私たちが主導する「KPI監査の為のKPI設定」は「クロスSWOT分析からの誘導」と「業界の公式からの誘導」が多いですが、今回は「ボトルネックと強み」からのアプローチにしました。

その理由は「下請けの加工業者である事」「価格決定権のある開発が難しい事」などが理由でした。

 

そして実際のコンサル風景を半日見ていた税理士や監査担当者からも

「自分達もこの顧問先の業績改善の道筋が分からず、月次監査でも同じ話題の繰り返しで、忸怩たる思いだった。しかしKPI設定とアクションプランがでたので、今後はKPI監査に軸足が移せる。ここまで具体的に論理的にKPIを掘り下げる事初めて見た。経営者も喜び、本当に良かった」と。

今回の「KPI監査の為とKPI設定とアクションプランづくり」は、「業績阻害要因」=弱みや課題と「強み」からKSF(重要成功要因)を引き出し、それを行動指標化する「KPI」とモニタリング可能な段階的アクションプラン作成までが、目標でした。

では実際にどうやって誘導し、作成したのか?

,部門単位でKGIの確認

この企業では加工業という特性から「製造部門」「営業部門」に絞り、各部門のKGI(重要到達目標)を設定。

KGIとは最終収支結果に直結する「到達数値目標」です。

一般的に「売上の商材対策」「顧客対策」「科目別粗利率対策」などの数値目標が上げられます。

製造部門のKGIは2つ

⑴各工作機械の稼働率を上げる

⑵サイズ間違い、切間違い、本数間違いによる原価アップを防ぐ

でした。

「稼働率の数字」も「間違い数字のデータ」も分からないということだったので、ここで具体的な数字のKGI設定ではなく、この言葉目標だけにしました。

また、時間の関係上「営業部門」は一つだけ

⑴新規の紹介先を増やし、新規の売上拡大

というKGIでした。

これも本来なら「〇件開拓」と書きたいところだが、こちらからの営業ではなく、顧客からの注文待ちの業界だから、この表現にとどめました。

いろいろなとらえ方がありますが、KGIはあまり小さなKPI的なものにしない方が良いでしょう。

そうしないとKSFが狭められるので。

 

2,経営要素別の業績阻害要員とボトルネックを引き出し

次に「業績阻害要因」すなわち優先課題とボトルネックを聞き出しました。

経営の要素は「ヒト」「モノ」「カネ」「カンリ」なので、各フレームにヒアリングしながら埋め込みます。

製造部門では、主に「モノ」である「機械」の問題を取り上げました。

また「受注する作業次第で付加価値が変わる」ことは「カネ」に記載しました。

どのフレームに記載するかは、後からでも修正できるので、ここではメモ欄のつもりでどの枠でも結構です。

⑴「モノ」では、

  ●多品種の加工では切替時にチョコ停が起こる

  ●切替時に待ち時間が生じる(このフロアーにある工作機械がひしめき合っているので)

⑵「カネ」では

  ●1回の単価は大きいが、受注頻度の少ない大型工作機械がフロアーを占拠している

  ●小型工作機械は熟練してなれているので、利益が取れるが、大型機は一部の幹部しかできず、効率が悪い

  ●利益率の高い飛び込み受注の小型機を増やしたいが、これ以上スペース的に増やせない

⑶「ヒト」では

  ●2024年問題で物流費が高騰する

などが上がり、その都度「何故」「何が影響しているか」どんどんロジックな質問を繰り返しました。

営業部門は「ヒト」のみに絞りました。

  ●営業責任者の高齢化で顧客フォローができてない

事に終始。

営業は課題だが、実際には営業がどうのこうのではなく、しっかりした加工生産と納期、価格なら営業がいなくても回る訳です。

ボトルネック聞き出しで大事な事は「ヒトがいない」「やる気がない」「ベテランが若手に教えない」などの「属人的な課題」はいったん無視する事です。

属人的な課題はいくら聞いても解決しないし、固有具体策がどうしても「マネジメントや管理的な具体策」に行きがち。

あくまでも「ファクトファインディングに絞る」それがKPI設定の大きなコツです。

 こういう状況を整理しつつ、その議論の過程で下記の「もっと活かすべき強み」を聞き出しました。

 

3,経営要素別に「もっと活かすべき強み」の整理

「もっと活かすべき強み」を聞き出します。各経営要素の中に「ボトルネック」と一緒に存在しているのが「強み」です。

多くの場合、「ボトルネック」とその要因ばかり聞き出すと、少し雰囲気が暗くなりますが、必ず「強み」と同居しているので、その都度聞き出すことで議論がどんどん深くなります。

製造部門では

⑴小型機の加工は皆が慣れているのでミスも少なく利益率が高い

⑵当日依頼の特急業務でも対応でき、それが顧客から評価されている事

⑶運送業者を使わず、自社便を持っているので直納ができる事

などでした。

営業では

⑴金属加工業では珍しく、フロントや事務の女性が多く社員の半分近く女性であること

⑵専務がホームページ作成やコピーライティングが上手であること

などが上がりました。

SWOT分析でも使う手法ですが、「何故その強みがあるのか」をしっかり聞き出すことで、ボトルネック解決の糸口やこの後のKSFにつながりやすくなります。

この「強み」も相手が概念論を言ってもそのまま書かず、それの効果性の出来事とその理由を何回も聞き出し、ファクトファインディングにつなげます。

ここでもファクトファインディングが大事。

 

4, 「ボトルネック」と「強み」の掛け算で「KSF」の設定

ボトルネックと強みを整理した後、KSFの作成に誘導します。

ここで大事な事は「ボトルネック」だけの解決策を議論しても、経営者に自信が生まれないということです。

何故なら「ボトルネック」はKPI設定のコンサルをしなくても、もともと分かっている事です。

しかし、「もっと活かすべき強み」を使いながら、ボトルネックを解決しようとすると、経営者も新たな気づきがでてきます。

先ず製造部門のKSFをどう作成したか?

⑴「ヒト」では、物流経費が上がる2024年問題時に、自社便を持っている事をPRし、運送費を上げない事で「お得感」を出し営業受注や開拓が可能

⑵「モノ」では、今後も引き合いがあっても儲からない大型機を撤去し、利益率の高い小型機を増設

⑶「カネ」では、当日依頼の特急便が通常と同じ価格でしているので「受注時間帯別価格」の提示で、自社の負担と顧客の困り度合いを上手に価格に反映する事

等が具体的なKSFとしてなった。

この時、経営者も後継者も「このやり方なら収益改善できる」と自信を持ったようです。

これらは我々のアイデアではなく、多様な質問をしていく過程、潜在的に経営者、後継者が日頃感じている事でした。

多少、他業界のヒントを与えましたが、本人の気づきからのアイデアでした。

営業部門のKSFでは

⑴フロント女性を内勤しながら渉外の既存顧客回りをする(女性が営業するメリットを全面に打ち出し、男社会の盲点を突く)

⑵フロントの女性部隊が当日発注の「顧客のあるある」を助けるコンテンツと動画を掲載(当日発注は利益率を高くするので、受注が増える方が良い。そこで当日発注を誘導するコンテンツをWebページに掲載。それをメルマガで定期配信)

こういう具体的なKSFが出てきました。

このKSFを出すあたりから、これまでヒアリングしてきたバラバラの情報要素のつなぎ合わせが出てきます。

だからKPI設定も後半になるほど、熱を帯びてくるのです。

このKSFもすべてファクトファインディングです。

どこにも属人的なKマネジメントや管理的なKSFはいれません。

あくまでの固有の具体策のみで行います。

 

 

5,KSFから行動プロセスを分解し、KPI設定

KSFが決まれば、次はKPI設定です。

ここで大事な事がKSFを段階別の行動プロセスを先に確認し、その行動プロセスを指標化する事

だから、質問のイメージでは「そのKSFを実行するには、第1段階何をどうするか?いきなりできないなら、どんな準備仕掛けが必要か?」を聞き出します。

例えば

製造でのKSFでは

⑴大型機を撤去し小型機を増設するなら、どの小型機が良いか決めるなければならない。だったら顧客のニーズ調査を10件細かく聴きだす

⑵当日受注が多い2~3社に時間帯別価格表の作成する為、急な発注が生まれる顧客側の理由調査を10社聞き取り

⑶既存の2~3社以外の他の当日受注可能性のある新規顧客を開拓=10社/年為、新規先に毎月10件にFAXDM送付

などのKPI設定をしました。

KPI設定のコツは「いきなりそんな結果が出ないだろう」「そのためにはどんな段取り、順番で準備するか」などを考え、相手にヒアリングする事です。

そうして、経営者が答えた「じゃあ、〇〇をすべきですね」と言ったら

「それをするには、何がないとスムーズにいかないか?」

「それは実際に今の体制でできるのか?誰がやれるのか?いないならどこにアウトソーシングするか?」

「取り敢えず、始めるとしたら、何から手を付けるか?」

等の質問を繰り返します。

すると、経営者から行動可能な「プロセス」を引き出すことができるのです。

 

このようにKPI設定を段階別の固有名詞に沿って引き出すことで、経営者の思いが言葉と指標になって「言語化」できていきます。

しかもすべてファクトファインディングでいきます。

KSF、KPI設定が概念的管理的な事が多いコンサルや会計事務所は、このファクトファインディングが弱いのです。

 

KPIのフレームやフォーマットは正直何でもいいのです。

要は「KPIヒアリングメソッド」こそ、大事なノウハウです。

今回はこの会計事務所に対して「KPIヒアリングメソッド」を体感してもらったのでした。

 

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