嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

思い込みと闘うSWOT分析

SWOT分析、KPI監査、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

 思い込みと闘うSWOT分析.jpg

先週も「zoomでのSWOT分析ロープレ」を3名の方と行いました。

その内2名は当社の「RE嶋田塾」のマスターコース受講者で、SWOT分析現場スキルを上げる為に定期的に参加されています。

もう一方は初めての参加の方でした。

いろいろな経営者やコンサルタント、税理士の方にSWOT分析をしてきましたが、良いSWOT分析かどうかの判断基準となるのが、「SWOT分析の結果、思い込みの牙城を崩せたかどうか」です。

これは、多くの経営者、コンサルなどが日ごろから思っている「思い込み」「フィルター」をどう外して、新たな気づきをもたらすかどうかということです。

1,成功体験が多いほど、思い込みが強い

経営者もコンサルも税理士も、とかく過去に業績を上げたり、成功体験の上で現在がある方には、自分のポリシーというか「成功法則」みたいなものがあります。

その「体験的成功法則」が「本質の定理」なら、市場、商品や顧客、社員が変わろうが応用もきくし、時代が変わっても普遍的な原理原則になります。

しかし、あまりに成功体験が強いと、市場が変化しようが、過去の具体策をそのままどのパターンにも適用させようとします。

「この方法で成功したから、間違いない」と。

他人がいろいろアイデアや提案をしても

「これで成功してきたのだから、問題ない。そんなやったことがない事をしても成功するとは思えない。」と。

この思い込みが経営を危うくするし、コンサルタントでも新たな流れに乗れず、「顧客離れ」のきっかけにもなります。

SWOT分析のすすめ方が、この「過去の思い込み」に左右されるなら、出てくる「積極戦略」も既定路線でしょう。

「強み」も「機会」も「新たな気づき」が出てくることはありません。

だから「SWOT分析は思い込みとの闘い」なのです。

 

2, 「その強みを活かせませんか?」と聞くと…

最初に「強み分析」をします。

今の「顧客の強み」を聞き出します。

ここで大事な事は「どんな顧客が今いるか」ではなく、

「その顧客がどうして生まれたか、どんなきっかけで」

「その顧客がどの方法で御社を知ったのか」

「今のようなAランクになった取引になる過程でどんな変化点があったか」

過去からの「強み」を引き出す時、ここに重点を置きます。

どの企業もすべての「強み」の原点は「顧客がいること」です。

その「顧客ができた状況や顧客の評価を横展開」することが、健全な「積極戦略」につながるからです。

SWOT分析の肝は「過去の棚卸」だということ。

やったこともない新商品を新規の市場に挑戦する「アンゾフ成長マトリックス」の「多角化」の戦略が出る事は、そうそうありません。

もし、簡単に「多角化」の議論になるなら、それは「過去の棚卸」がまだまだ不足しているからです。

 

3,「深堀機会質問」から出る、捨てていた顧客ニーズ

「機会分析」でも「顧客の声」をベースとした「原因分析」に比重を置きます。

聞き出す「機会質問」については下記に詳細を書いています。

経営改善計画書用 フルスペックのクロスSWOT分析⑶ 「深堀機会分析シート」 - SWOT分析と経営継承可視化の専門コンサルタント RE-経営 (re-keiei.com)

 

顧客の声、しかも「その声が出た背景や原因」を深く整理する事で、「潜在的な顧客ニーズ」を知る事が出来ます。

もし、「機会分析」でアイデアや議論が止まったら、是非してほしい事があります。

それは

「過去、顧客から言われた商品開発、サービスのヒントやコンプレイン(不平)」

です。

コンプレインについては自社の体制の問題も含めて、

「何故そういうコンプレインを言うのか?」

「そのコンプレインを言った顧客にはどんな困りごとがあったのか?」

昔営業会議なででクレームやコンプレイン対策を話し合った事でしょう。

しかし、ほとんどが弥縫策で本質的な課題解決の具体策は出していないかもしれません。

だから「捨てていた顧客のニーズ」には宝の鉱脈があるかもしれないのです。

 

4,「言われてみれば」「そう言われると・・」が大事

「強み分析「機会分析」もヒアリング時に「深掘質問」することで、経営者やコンサルへ「気づき」を持ってもらうことが大事だと前述しました。

この「気づき」が出た瞬間には、こんな言葉がついつい出てきます。

●「言われてみれば・・・・みたいな事があったな」

●「そういわれると、・・・とは違うニーズがあったにかも」

こんな言葉がSWOT分析参加者から出てきたときは、まさに「気づき」の入り口に入ったということです。

そんな声が出たらすかさず

●「何故、その顧客は・・みたいな事を言ったんですかね。どんな困りごとが具体的にあったんでしょうか」

●「違うニーズとはどんな事ですか?そう感じた理由とリアルな体験は何ですか」

こうやってどんどん深堀していきます。

相手が言った「気づき」のサインを見逃さず、徹底的に追及する事でSWOT分析がどんどん上達していきます。

 

「SWOT分析は思い込みとの闘い」

です。

固定概念から一皮むけるような誘導を心がけたいですね。

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