「見えない未来」でも、何とか見出す「ロジカル中期経営計画」のフォーマットとは?
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
SWOT分析をライフワークにしていると、中期計画を立てる為のオファーを頂くことが多いですね。
今も、ある関西の生産財メーカーの中期ビジョン・中期経営戦略を部長クラス(営業、製造、開発、経営管理、海外担当者など10名)と一緒に作成中です。
この会社は、経営者が私のSWOT分析書籍を気に入り、直接オファーがきた案件で、その経営者から
「これまでは我々役員クラスをビジョンを決めてきたが、部長クラスの育成や『気づき』の為に、今回は部長クラス中心に中期ビジョンを作成させたい。そこでSWOT分析から中期戦略の検討を依頼したい」
という事でした。
4月から始まりこの8月でおおよそ骨格がまとまりました。
9月に微調整後、役員へのプレゼンをする予定です。
そのプレゼンでは各部長が担当の箇所を発表し、役員から質問を受けて応えていくものです。
プレゼン発表者だけでは答えられないものは、他の部長も支援しながらQ&Aに対応していきます。
では、どういう進め方で、この中期経営戦略が作成してきたのか?
1,見えない未来は「強み」と「ニッチニーズ・ニッチ市場分析」から
コロナになり、世界経済の見通しは益々見えなくなっています。
当然、業績予想も難しい訳です。
この会社は国内だけでなく、アジアにも営業域がある為、日本だけでなくアジア各国の動向を見つつ判断しなければなりません。
しかし、「見えない未来」は誰にも分かりません。
この企業の唯一の手掛かりは、これまで「顧客からの相談で顧客と共に開発していくスタイル」でした。
しかし、その顧客(主に大手企業)が今後どういうシフトをしていくかハッキリした事が言ってもらえず、急な戦略変更もありうる中での判断をしなければなりません。
昔の日本が欧米を目指していけばよかった時代から、ベンチマークがなく自ら未来を創らなければならない時代でモタモタしている事から「失われた30年間」が生まれ、国に勢いがなくなってきました。
もう顧客からアイデアや相談を待っていると、前にも後にも進めない状況が、ここ数年続いているのがこの企業です。
無論、商品も優位性のあるものもありますが、成長可能性があるのはアジアであり、国内ではありません。
むしろ国内はシュリンクしている中での中期計画です。
そのアジアでも「日本品質」に胡坐をかいている状況ではなく、いかに「低価格で中品質(低品質と侮れない)」の中国勢と勝負するかがカギとなります。
そんな混とんとした状況で将来を見る時、頼りになるのは「自社の具体的な強み」と、外部環境分析による「ニッチニーズ・ニッチ市場」の発掘です。
2,外部環境「機会分析」「強み分析」実施
そこで先ず外部環境である「機会分析」をしました。
「機会分析」では
⑴シェア・収益を上げる既存商品領域
⑵シェア・収益を上げる既存市場領域
⑶成長期待 商品領域
⑷成長期待 市場領域
の4つから国内、海外両面から見ていきます。
ここでは「クロスSWOT分析」の基本である
●誰が(どんな顧客)が
●どんな変化を、どんな可能性を
●何故、そう言うのか
を整理しながら進めました。
この企業のように取扱商品が多岐にわたっているので、4つに領域ごとの班分けしいろいろな議論をして、整理表にまとめて貰いました。
次に「強み分析」では、
⑴顧客資産
⑵商材資産
⑶人材・技術資産
⑷設備・機能資産
を国内、海外それぞれ固有表現で議論してもらい、整理表に落とし込みました。
3,SWOT分析の実施
そして「強み分析」「機会分析」がまとまった所で、クロスSWOT分析である「積極戦略」を班別に討議して貰いました。
「機会分析」4つの領域単位で班別に固有の「積極戦略」を抽出します。
⑴積極戦略(戦略的取組領域)の名称(商品名、ターゲット名を入れUSP名)
⑵目標とするKGI、KPI
⑶それを実現する売り方・市場の拡げ方・マーケティング戦略・コラボ戦略概要
このフォーマットの書いて貰いました。
そして各班から発表して貰い、他の部長からも指摘やアドバイスを貰いながら修正をします。
4,クロスSWOT分析「7大戦略立案」
そのクロスSWOT分析から、それぞれ
⑴シェア・収益を上げる既存商品領域
⑵シェア・収益を上げる既存市場領域
⑶成長期待 商品領域
⑷成長期待 市場領域
に沿って、9つの固有戦略が導かれました。
この9つの固有戦略から優先順位と絞る込む為に「優先順位判断シート」に沿って点数化します。
実は当初5大戦略位に納めたいと思っていたのですが、1戦略当たりの業績貢献がそう大きくない事から「優先順位判断シート」の結果、7つに増えた訳です。
優先順位判断シートとは、
こういうフレームに記載しながら点数化して、優先順位を判断します。
5,7大戦略のロジックツリーの作成
クロスSWOT分析から出た「7つの経営(市場・商品)戦略」を実現するにはどんなプロセスが必要かの確認が次の作業です。
既に「強み」×「機会」から生まれた「積極戦略」なので、実際に各戦略を実現しようとすると、どういうプロセスで行い、どんな課題やリスクがあり、それをどう解決していくのか、そういう詳細議論が必要になります。
そこでは、ロジックツリーを使って「戦略の深掘り」を進めていきます。
6,7大戦略のロードマップ作成
ロジックツリーで大まかな行動プロセスとKPIが設定され、各具体策の行動計画が埋まります。
これを年度ごとにロードマップ化します。
ロードマップ(中期行動計画)にする事で、3ヵ年、5か年の行動も見えてくるわけです。
そのフレームが下記です。
このロードマップを作ると、戦略を実現する為のプロセス、段階、目標行動が明確になります。
7,組織体制ロジックツリー作成
経営戦略はほぼ決まっても、それを実現する為のリソースがなければ、実現しません。
それもこの部長研修では「専門知識が少ない中でも考えて貰う」事にしました。
何故ならリソースのメインは「人材」の確保と育成です。
それを真剣に自ら考えない経営戦略が進みません。
総務部任せではダメだという事を知ってもらう為です。
組織体制ロジックツリーは、下記のフレームになります。
8,中期ビジョン体系作成
さて、こういう下地作りをしてきた結果、中期ビジョン体系として1枚のフォーマットに整理します。
それが下記のフレームです。
中身は見せられませんが、各種の検討を通じてこのフレームがどんどん埋まっていく訳です。
特に今回のように中小中堅規模で海外展開をしている場合は成長可能性市場を海外に求めるケースが増えます。
そうすると、議論が複雑になるので、こういったフレームワークが「論点整理」にも役立つのです。
ちょっと今回はノウハウを公開し過ぎたかもしれませんね。
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SWOT分析をする事で「見えてくる可能性」があります。
特に、経営者、後継者、役員幹部がこのノウハウを習得する事で、「先に見えない時代の中期ビジョン」づくりがしやすくなります。
この機会に是非あなたも。
https://re-kentei.com/swot-basic-online.html
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