経営承継10か年カレンダーがルーチン化するコツ

「経営承継10か年カレンダー」を経営者に見せて正しく説明すれば、たいていの経営者は興味を示します。しかし、私たちがコンサルティングしている複数の会計事務所でも、なかなか継続的に、全監査担当が取り組めてないのが現実です。

多くの職員の声は

「忙しいから、そんな時間が取れない」

「そもそも社長と会えてない」

「説明しても興味を示さない」

「依頼されたら、売上ももらえないのに仕事が増える」

これらの声は、経営承継10か年カレンダーであれ、経営計画書作成であれ、だいたい「できない理由」の代表的なものです。

事業承継を重点課題にしている会計事務所は多いですが、まだまだ「おカネ」の承継が中心で、戦略承継、組織承継には首を突っ込めてないようです。

1、経営承継10か年カレンダーを作ることの抵抗感

ある事務所で、この経営承継10か年カレンダーのヒアリングロープレをしました。私が職員役になり、監査担当を顧問先の社長になったつもりで答えてもらい、30分間でこのフレームを埋めていきました。終了後、ある監査担当職員に聞きました。

嶋田「この経営承継10か年カレンダーの何が難しいかい?」

A職員「このフレームに沿って、いろいろ聴きだすのが難しそう」

嶋田「聴きだし方が難しい?」

A職員「先生みたいに上手く質問したり、誘導できるか不安。相手が話してくれない気がする」

と。この職員も「経営承継10か年カレンダー」が指導できれば、関与先でお役に立てると理解はしているのですが、どうもメンタルブロックがあるわけです。

2、ある事をすると、経営者が勝手に経営承継計画を喋り出す

経営承継10か年カレンダーの真っ新のフレームに、「では、社長、これから聞きますので、よろしくお願いします」と肩ひじ張っても、上手くはいきません。真っ新のフレームからの議論は、難しいものです。我々は慣れていますが、ブログとか企画書、パンフ作成にしても真っ新のWordの文字を打っていくのは、精神的にきつい事を誰でも経験しています。この「経営承継10か年カレンダー」も同じです。

ところが、この「経営承継10か年カレンダー」の一番上の、社長以下、役員の名前と今後10年間の年齢を入れるだけで、議論が進むという事を発見しました。人は、将来の自分の年齢、後継者の年齢、同族役員の年齢を見ると、否が応でも「何らかの手を打たなければ・・」と思うようです。だから、先に「年齢を入れた経営承継10か年カレンダー」を見せる事から始めれば、議論が進むという事です。

3、「経営承継10か年カレンダー」をルーチン化する決算報告会

これも発見でした。経営承継10か年カレンダーは、事業承継期を迎えた企業にのみ適応する、と多くの職員が誤解していました。若い社長でも、まだまだ承継が遠い未来の関与先でも、この役員の年齢を入れて、将来戦略、将来の組織・人事対策を議論する事は興味を示します。という事は、「承継期のどこかに経営承継10か年カレンダーを提案しよう」とか「このフレームに書き込むには、相当な時間と労力がいるなあ」とか限定した発想ではなく、全月次先を対象にすればいいのです。決算報告書を作成する時、簡単数値計画を毎年作っているように。

そこで、毎月何件か行われる「決算報告会」で、申告書・財務諸表の報告書にこの「経営承継10か年カレンダー」を必ず添付するようにします。しかも、年齢とか現在の役員とか、監査時に経営者から聞いた事を途中まで記載したものです。一応書き方の目安としてサンプル(記入実例)も添えておきます。そうする事で、「決算報告会」で、この続きを経営者から聞きだすことも可能だし、その場で打ち込んだり、その議論をする為に「経営会議」を提案する事もできます。要は、決算報告会を「経営承継10か年カレンダー」の議論に、経営者を巻き込む機会とするのです。

4、経営承継10か年カレンダーは毎年、少しずつ修正

経営承継10か年カレンダーは毎年、決算報告会に添付します。当然ながら、1年経てば状況が変わり、経営戦略、組織戦略、幹部該当者の名前も変わっているかもしれません。1年目には、事務所側が勝手に書いた年齢やいくつかの情報でしたが、2年目の決算報告会では、この1年間に書き込んだもの、来期を迎え変更したものがもっと多くの情報記事が記載されているはずです。

これも、「決算報告会で経営承継10か年カレンダーをルーチン化」したからできる芸当です。

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