嶋田利広ブログ

事業承継のコンサルティング

これからの有望分野:事業承継の「見える化」

事業承継分野のコンサルティングに多くの会計事務所やコンサルタント会社が照準を絞って、いろいろな提案をしています。これから成長する分野、ニーズの多いカテゴリーと皆が思っているのでしょう。しかし、会計事務所での「事業承継」の業務は、主に

  1. 事業承継税制
  2. M&A仲介
  3. 相続税対策

この3つが多いようです。

言葉は悪いが、それでは「うちの会計事務所は他とは違う」とは、言えないし、目立つUSP(独自のウリ)もないですね。実は、私たちも長年コンサルティングをしていると、事業承継期間にかかわり、「経営のバトンタッチ」を幾度となく、橋渡し機能や仲介調整機能をはたしてきました。その経験の中で、強く感じたことが「事業承継の『見える化』の重要性」でした。「事業承継の見える化」を、会計事務所やコンサルタントも含めて、提案する事は「カタチに残る仕事」と言えます。では、どんなものが「事業承継の見える化」と言えるのでしょうか?

1、事業承継カレンダーの作成

一番オーソドックスなのが、「事業承継カレンダー」です。これから10か年の間に行うことを時系列で記したものです。(ここでは一般の税理士事務所が作成する相続贈与税資金、経営者退職金等の資金関連は外して書いてます)しかし、私たちが作成してきたものは、一般の会計事務所の作成する事業承継カレンダーとはだいぶ異なります。

「事業承継カレンダー」では下記のことを時系列化します。

  1. 経営者、後継者、同族又は関係者の年齢(代表交代時期)
  2. 役職の変更予定
  3. 事業ドメイン予定(戦略的強化分野、差別化事業、拠点展開、新事業展開等)
  4. 次世代の内閣組織(後継者を支える幕閣人事予定、昇格者予定等)
  5. 中期事業計画(5か年収支計画)
  6. 中期事業計画の根拠政策・戦略(設備投資、資金投入計画等)
  7. ロードマップ(中期工程表)

です。特に事業ドメインや中期事業計画の戦略は、SWOT分析を経営者や後継者と行い、先にイメージを付けておきます。この「事業承継カレンダー」を「見える化」することで、経営者も後継者も将来のイメージが沸きモチベーションアップにつなげていきます。

2、経営者、後継者、役員の業務分担・職務責任の明確化

経営責任というのは、結構あいまいなものです。中小企業において、CEOとCOOは何が違うのか?副社長と専務は何が違うのか?会長は社長の仕事は全くしないのか?社長は全責任を認識しているのか?とにかく曖昧なのです。

そこで、我々が過去からコンサルティングしているものは、事業承継カレンダー作成後に「役員の業務分担・職務責任を明文化」するように指導します。当然、ヒアリングしながら、会議などで議論しながら周知の下で作成していきます。この「役員の業務分担・職務責任の明文化」があると、経営会議などの責任の追及がしやすくなり、物事が迅速に動きます。

3、会長、社長の職務権限移譲計画作成

中小企業でも普通に院政がまかり取っています。それをありがたいと思う後継者もいれば、「いつまでも権限が与えられない」と不満を抱く後継者もいます。特に中小企業の経営者(会長)には「権限を取り上げているつもりはない。社長(後継者)が積極的にやらないし、気づくのが遅いからやっているだけだ」と行動が遅い経営者の責任だと思っている場合があります。

一部は正しいのですが、それだけでは後継者はいつまで経っても、被害者意識を持ってしまう。そこで、会長が社長時代に実際にしている権限を一覧化して、その一つ一つを何年に移譲するかを「見える化」したのが「職務権限移譲計画」です。これを、会長、社長と一緒に協議しながら作成する事で、コンサルタントや会計事務所職員が生き証人になります。

後継者にしてみれば、権限移譲が「見える化」したことでモチベーションアップが図れ、会長にしてみれば「俺が口出す前に、動けよ」と後継者への暗黙のプレッシャーとなります。いずれにしても、コンサルタントや会計事務所職員が証人な訳です。

4、後継者時代の生き残り戦略を決める「SWOT分析」の実施

一番大事な「見える化」は、生き残る為の戦略を決めることです。

  • どの分野でUSPを作るか?
  • 自社の勝ちパターンをどうあるべきか?
  • どんな商品開発が差別化になるか?
  • どんなニッチでNO1を取るか?

こういうことを決める為に「SWOT分析」があります。SWOT分析の定義はここでは解説しませんが、後継者時代の独自戦略を一緒に構築する事は重要なコンサルティングであり、顧問先への貢献だと思います。だから、SWOT分析スキルとファシリテーション技術を持つことが重要だといろいろな場面で提案しているわけです。

先代経営者と後継者が腹を割って議論しますが、議論の一致がなるとはがぎりません。どうしても認識の違いによる議論の平行戦もあり、こちらを立てればあちらが立たずのケースもあります。会長の考えもごもっとも、後継者の考えもごもっともの場合、コンサルタントや会計事務所職員は「会長、社長にやってもらいましょう」と会長の了解を取り付けます。

そして社長にも「会長が承諾したから、思い切って結果を出しましょう」と奮起を促します。基本的には、後継者を育成するスタンスに立つことが事業承継コンサルティングだと思っています。

 このように『事業承継の見える化』を進めることで、経営管理がスムーズにいく可能性があるので是非、コンサルタントも会計事務所職員も、一般的な相続税関連だけでなく取り組んでほしいものです。


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