経営理念浸透型人事評価コンサルティング 「職種別等級ごとジョブ型職能要件書」の作り方
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、経営理念浸透型人事評価コンサル、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
これまで私達が支援している「経営理念直結型人事評価コンサル」は下記の流れです。
ここで、6の「給与昇進を決める『職種別等級ごとジョブ型職能要件書』作成」と言うのがあります。
今回はこの考え方と作成手法の一部をご紹介します。
1,巷にはびこる間違った職能要件書では、技能評価ができない
いろいろな企業や病院や施設の職能要件書を見せてもらうと、中身が浅いか逆に深すぎてスキルマップまでいっているかなどの極端なものが多いです。
中身が浅いとは、作業の技能技術の概念的な書き方で抽象的な表現になりがちな事です。
反面スキルマップまで詳しく書くと、評価が複雑になり、使い方が分からなくなります。
職能とは職務能力の略だから「○○が○○までできる」という表現が基本になります。
そして大事な事は一度教えれば誰でもできるような作業はいちいち書く必要はありません。
それより、経験差、知識差、技能差が出る作業の深さを表現する事です。
しかも、次の2で述べるように「同じ作業でも3年社員と10年社員では何がどう違うのか」を明確化するのが大事な要素です。
2,同じ作業でも3年社員と10年社員は何かが違って当たり前
各作業で3年社員と10年社員の技量や能力が同じと言うのが、賃金体系を難しくしています。
当然3年社員より10年社員の方が能力的に高いはずだし、経験も積んでいます。更に給与も高いはず。
しかしやっている事は10年社員も3年社員も同じ作業で、成果も力量もさして変わらないことが多いのです。
そこでジョブ型職能要件書では、同じ作業でも「3年社員」「7年社員」「10年社員」「管理職」では違うが出るような表現を意識します。
例えば
⑴1等級(入社後4年未満の新人又は初級レベル)の作業ごとの基本定義は
①作業の基本が分かり、マニュアルやルールに沿って作業ができる
②再現性のある反復の平均的な作業は指示された通り、自分で行える
⑵2等級(入社4年~10年未満の中堅で、一通り任せられるレベル)の作業ごとの基本定義は
①少し複雑で難しい作業も一通りこなせる
②経験も積んでいるので、新たな工夫や改善も提案できる
③作業範囲は広がり、他人のサポート業務もできる
⑶3等級(入社後10年以上のベテラン)の作業ごとの基本定義は
①ベテランとしてこの作業は何でもできる
②普通の人には難しい複雑や難しい作業も一人でこなせて時間効率も良い
③専門性が深まり匠レベルの作業ができる
④同じ作業でも気づきレベルが高く、短時間で作業が行える
⑤部下や後輩の作業の課題を気づき、アドバイスができる
⑷4等級(部門内のリーダーや職長レベル)の作業ごとの基本定義は
①自らもベテランのその作業をしながらチーム、グループのマネジメントや教育を行う
②チームに新たな工夫や改善を横展開できる
③職長の場合は更に専門性を高めて、作業者の模範の実力レベル
⑸5等級(部門の課長係長レベル)の作業ごとの基本定義は
①実作業比率が少なく、管理や指導教育が中心
②一般社員が気づかないことも数値分析で事実を出せる
③「見える化」を推進して部門内の教育効果を図る
このように「各作業」に等級ごとに違いを表現する事で作業目標が明確になります。
3,職種別等級ごとジョブ型職能要件書作業の進め方
では実際の職種別等級ごとジョブ型職能要件書はどのように作成しているのか?
⑴各部門の仕事分析を実施
①各部門の作業者、監督職、管理職が毎日、毎週、毎月、スポットでどういう仕事をしているか、「職能要件書作成用仕事分析シート」を書いてもらう
②仕事分析シートからピックアップする「作業名」をリストアップ
③作業名が分かれば、その中で「技術差」「経験差」「知識差」が生まれる、作業内容をピックアップしてもらう(誰でも1回教えればできる事はピックアップしない。例えば清掃等)
⑵事前に「職種別等級ごとジョブ型職能要件書フレーム」に作業名、作業内容を記載
仕事分析から得た情報を元に、Excelのフレームに予め作業名、作業内容を入れてヒアリングに臨みます。
⑶各部門長やその部門のNO2を入れて「種別等級ごとジョブ型職能要件書」のヒアリング
ここでは我々コンサルタントがヒアリングしながら、モニターやプロジェクターに投影されたExcelフレームに入力していきます。その時大事な事は3で述べた「等級ごとの違い」を毎回聞き出し、それを文字化する事。
もし2等級と3等級の作業レベルの違いが出たいない表現を部門長が言ってきたら
● 「ベテランはどういう視点で作業をするか」
● 「ベテランは次に作業を見て、どういう事を同時にしているか」
●「ベテランは特殊な作業をする時、どういう事を準備しているか」
ヒアリングで聞き出しながら、それを明記していきます。
⑷経営者や役員幹部から各部のジョブや役割、昇格の条件のヒアリング
作業能力は現場の幹部の意見である程度完成できるが、もう一つ経営者や役員幹部には、部門の課長係長にはやってほしいジョブがあるはずです。
これが職種ごとの4等級5等級以上に必要な「役割」「経験」が盛り込まれます。
例えば、
●4等級になるまでに3つの部門を経験して欲しい(今の部門異動をしないと昇格できない)
●5等級になるには会社の各委員会の委員長をして欲しい
●各等級でこんな資格取得や教育を受けてほしい(これはキャリアパスに書かれている)
●3等級までに社内行事やイベントの委員や窓口経験をして欲しい
こういう要望もその職種部門の該当等級に追加入力します。
こういう事を改めて聞かれる事で、先方の部門長にも新たな気づきが生まれ、職能要件書をつくる事で、教育OJTの内容のヒントにもなります。
4,職種別等級ごとジョブ型職能要件書が適切かの「等級ごと職能評価判定シート」で仮判定
この職種別等級ごとジョブ型職能要件書の内容が適切かどうかの検証をします。
その為に、職種別等級ごとジョブ型職能要件書を等級ごとの「職能評価判定シート」で取り敢えず、各部門の数人を試験的に実施します。
例えば、2等級の職能評価判定シートは職能要件書の2等級の作業名、作業内容、要件項目を別のExcelフレームに記載し、「できている」「できているとは言えない」と2択で判断します。
仮に2等級の職能要件書の作業項目が50個あったとして、「できている」と判断した結果が25個なら、該当級の職能取得率は50%となります。
50%では、該当級の基準を満たしていないので、当面昇格はないと判断できます。
仮に取得率が90%以上だと該当等級の能力は十分あるので、後は賞与評価の結果次第では、通常の滞留年数(各等級には滞留年数を決めている)をより早く昇格が可能だという事です。
この仕組みがあるから「飛び級」に制度化できるのです。
先ず、職能評価判定シートで何名か出してみて、感覚的にその人の等級と職得率の%がイメージに近いならそのまま進めます。
ただ職能要件書作業中に、各等級の細かいレベルを上げた場合、全員の取得率は少なくなる傾向があります。
その場合は、当初は教育目的だから取得率は低くても、等級維持をするようにします。
5,年1回の職能等級判定調整会議の仕方
職種別等級ごとジョブ型職能要件書の制度が導入されたら、年に1回(昇給昇格前)に「職能等級判定調整会議」を行います。
この調整会議は各部門の社員も職能評価判定シートから取得率を見て、昇格降格などの決定をする会議で、経営者、総務部長、各部門長と我々コンサルタントで行います。
規模によっては経営者は参加しない事が多いですが。
等級制度は各等級の滞留年数が決まっているので、例えば3等級で普通の評価結果なら「3等級と認定されてから7年間は3等級のまま」などと先に定義を決めています。
普通評価(賞与評価も普通、職能評価の取得率も平均的で60~80%)なら4等級に上がるのに7年は必要だという事です。
この職能等級判定調整会議では、通常判定か、飛び級(滞留年数以内での昇格)、降格予備軍(該当等級の職能取得率が低く人事考課もBーが多い等)を決めていきます。
降格予備軍はいきなり降格はしません。
「次年度での職能評価や人事考課が今年レベルだと、3等級が2等級になるかも」と事前通告はします。
等級ダウンは基本給や一部役職手当のダウンもあるので、1~数万円の月給ダウンもあり得るのです。
また飛び級では2等級社員が、例えば3等級になるのに、入社後10年必要と定義しているが、2等級取得率はハイレベルで3等級で評価しての基準取得率をクリアしているなら、10年待たず5年でも3等級にする判断をします。
但しここでも賞与評価がB以上が条件になりますけど。
こういう判断を部門別に部門管理者と協議しながら進める会議を「職能等級判定調整会議」と言い、我々コンサルタントが当初年度は主導的に推進します。
3年目には、経営者や部門役員幹部、総務部長亜中心に進めてもらい、我々コンサルタントはオブザーバーとして部分的にアドバイスするようにして、その企業は自主運営できるレベルに持っていきます。
経営理念浸透型人事評価コンサルティングでの「職種別等級ごとジョブ型職能要件書」はこのような段取りで、細かくコンサルティングをしていくので、非常に高い評価を受けています。
2025年1月18日(土)
『経営理念浸透型人事評価コンサルノウハウ専門研修会zoom』開催
この研修では今回のような細かいノウハウと実例をベースに解説します。
更に、私がヒアリングしながら入力の「一人芝居」も見せたいと思っています。
そして、本邦初公開で、既に生成AIを使って、業種に関係なく「職種別職能要件書」の作業名や等級別要件定義を出すためのプロンプトと成果物も公開します。
生成AIを使えば、職種別職能要件書が飛躍的に早く作り上げられるので、意見の出ない部門長との面談で苦労する事が極端に減ります。
詳しくは下記に詳細を書いています。高額研修ですので、本気でこの分野を開拓強化していく方以外は申込されない方が良いでしょう。
2024年12月20日までにお申込の方は25%offで受講できるので、お早めにメールでお問い合わせください。なお専用のお申込ページを今回は用意してませんので直接メールでお問い合わせください。
2025年1月18日(土)『経営理念浸透型人事評価コンサルノウハウ専門研修会zoom』開催決定 - SWOT分析と経営継承可視化の専門コンサルタント RE-経営
こちらのページもいかがですか?
無料電子書籍ダウンロード
「これを無料で渡すんですか?」と同業のコンサルタントがビックリしたマニュアルをご提供!各種コンサルティングマニュアルを揃えております。
コンサルティング現場実例ノウハウ
「こんな実例ノウハウを、こんな価格で売るって正気ですか?」と仲間のコンサルタントがあきれた「コンサルティング現場で活用した実例ノウハウ」があります。クライアントとの面談や会議で、また研修時に「見せるツール」しかも記入実例付きのリアルテンプレートを豊富に掲載。