嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

経営理念浸透型人事評価制度では「従業員の長所を承認する」ことにフォーカス

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、経営理念浸透型人事評価、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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つい先日も「経営理念直結型人事評価コンサル」をしているある医療法人で「賞与評価決定の為に人事考課調整会議」のコンサルティングをしてきました。

この人事考課調整会議では、各部門長が出した採点結果から、その中身や行動出来事などを精査して「S.A.B+.B.B-.C.D」の決定を行います。

一応相対結果で配分しますが、各ランクの数にはあまりこだわらないようにしています。

但し、S.A.C.Dはなかなか出てきません。

●Sと言うのは「この期間に飛んでもない成果を出したヒト」と言うことで滅多に出ません。

●Aは「皆が分かる大きな成果や貢献ある行動をした事実があるヒトと言うことで、ポチポチ出てきます(画期的な成果がなくてもB+が連続しているなら、その積み上げとしてAを出す事もある)

●B+は普通よりはよくやっているけど、Aと言うまではない上位層に出します。これもまだまだ少数派です。

●Bはいわゆる「普通に良い」と言う感じの結果で圧倒的に多いゾーン。

●B-は、そこまで悪くはないが、ちょっと努力不足や行動不足は否めないゾーン

●Cは問題行為があり、けじめが必要な時

●Dはもう辞めてもらいたいし、レッドカードを出した問題児

こういう判断基準の中で、全従業員(200名分)の人事考課調整会議を3日間にわたり行いました。

1,各幹部が出したバラバラな採点結果

どの事業所でも人事評価項目を採点した結果は部門や評価者が違えば、バラバラな結果になります。

「全体的に甘くつける幹部」

「全体的に辛くつける幹部」

「実態が分からないから真ん中評価しかしない幹部

「ちょっとえこひいきや好き嫌いが激しいと思われる幹部」

人事考課の最大の問題点は価値観の違う人間が評価する事で「正しい評価」ができない事です。

そこでKPI評価とか数値評価なら公平なのでしょうが、その成果のKPIや実績もその個人だけの努力とは言い難いとか、努力行動を数値に置き換えられない部門もあるから、「数値の絶対評価」だけごり押しするのは中小事業所には合わない訳です。

この病院では、人事考課項目の一つ一つの行動配点基準も詳細な行動の中身も幹部と一緒に決めたから、他の事業所よりは超具体的です。それでも完全にはなりません。

この行動配点基準付き人事考課とは、下記のように評価項目ごとに点数の行動内容がきまっている事。

241009_栄養人事評価基準.jpg

こういう精度の高い仕組みでも、やはり評価のばらつきは否めません。

もし、こういう行動評価配点基準もなく、5,4,3,2,1をつけて平均点を出したり、多少の加重平均を出すような制度が上手くいくはずもないのです。

 

2,点数の内容と出来事評価が連動しない事実

そして各部門長が出した点数を取り敢えずExcelに入れて高い順番からソートします。

上位から1名ずつ、この点数の内容と出来事を聞き出すのです。

だいたい1名数分、20名のスタッフがいれば直ぐに100~120分はかかります。

その間、主導する我々コンサルタント、入力する人事担当者、評価当事者の幹部、関係役員が同じ空間で評価結果を文字化していき、ランクを決めていきます。

5点満点で平均が4点とか3.5点とか、点数結果だけなら相当良い従業員のランクを議論する時、こちらからいろいろ聞き出すと、幹部から「そこまではできていないですね。普通ですね」と点数結果とは違う声が出てくる。

実はそこが本当の評価結果なのです。

だから点数だけで人事考課をしてはいけないのです。

「やっぱり普通ですね」とか「そう言えば、これもしたあれもしたので、+かもしれません」と言った具合です。

逆に平均点が2.5点とか低い評価の従業員だけど、いろいろ聞くと結構しっかりやっている事実も見えてきて、「これは+の評価が必要ですね」と、点数結果とは異なる判断をすることもあります。

だから賞与算定期間の行動や出来事(良いことも悪いことも)もしっかり評価に反映させないといけません。

すると面倒だけどこういう調整会議抜きにしては考えられないのです。

 

3,課題は把握しても、普通の従業員の長所を見つけられない幹部たち

さて一人ずつ評価ランクを決める過程で、評価結果を伝えるフィードバック面談で何を伝えるかを決め文字化します。

普通の幹部は部下の課題や問題点はある程度分かっているので発言します。

ただ概念的な言葉が多いので、我々から具体的な事象を聞き出すようにします。

また日頃からよく頑張っている部下の良い点も直ぐに出てきます。

問題は普通の部下や課題が多い部下の「良い点」 「強み」を聞くと、考え込んでしまう幹部が多いということ。

これは、日頃から「良かった事実」を記録していないから、思い出せないのです。

課題と良い点は同じ量出してもらうことを条件にしているので、こちらがいろいろヒントを出して、「良い点」を絞り出してもらいます。

この「良い点フィードバック」に拘るのは、我々の「経営理念直結型人事評価コンサル」は、人事評価と言う名の「個人別教育システム」だからです。

しかも「良い点を承認してモチベーションアップ」を目指しているのです。

どこにでもある「問題点・課題指摘型」のフィードバック面談とは異なるのです。

 

4,フィードバック面談で伝える「改善点」と同じ量の「長所」を確定作業

評価した各幹部は自分の部下の人数分、一人一人「良い点」と「次回評価時までに取り組む事」を数点書き出します。

「良い点」は文字通り、「○○さんの◇◇の行動がすごく良いと思っている」と良かった事実を伝える事です。

「次回評価時までに取り組む事」とは、当然その人固有の課題、苦手箇所の改善もありますが、それ以上に「来年夏の賞与評価までに○○の行動や結果を出してね」とハッキリ明示する事を指します。

多くの従業員にとって「課題や苦手な事」は、性格や習慣、経験、価値観に起因している事が多く、「そこが悪いから改善せよ」と言われても、多くの従業員は変えられません。

「苦手な事」ばかり指摘されるフィードバック面談や人事考課には嫌悪感を出します。

だから「長所や良かった出来事」をしっかり承認する事に力点を置きます。

そこで我々から「A部長からBさんが褒められてうれしいと思われる長所やそれに関連する行動結果がどれですか?」と問いかけます。

A部長から見て良い悪いだけでなく、Bさんから見て「これを評価されたらうれしい」と思う箇所があるはず。

そこを見つけ出しフィードバック面談で伝えると良い結果になるのです。

 

この病院でもしかり、普通の中小企業でもしかり、こういう考え方に沿った仕組みとモニタリングを回していってこそ、「経営理念浸透型人事評価」や「従業員成長型人事評価」につながっていき、その法人オリジナルの仕組みは風土づくりが構築されるのです。

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