嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

社長!その経営判断で大丈夫?間違った決断をしない為の基準

SWOT分析、KPI監査、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です

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今日は、私がコンサルティングしている現場で、常に経営者へ確認している事についてお話しします。

それは、「社長の判断基準」についてです。

社長と話している時、判断基準が明確にない人は、やはり業績も上がらないし、同じ過ちを繰り返します。

社長が経営判断を間違うと、会社は大変なことになります。

例えば

  • 過大な設備投資
  • おカネを生まない本社などコストセンターへの投資
  • 利殖目的の資金使用
  • 無謀な新規事業参入
  • 脈絡のない事業展開
  • 見込のない固定費増
  • ムダな資金使途
  • 信頼してはならない人への妄信
  • 感情的な判断、情実で行った人事
  • リアル感のない組織改編
  • 辞めさせるべき人材を残して、組織がガタガタになる
  • 諫言した優秀な人財を辞めさせた
  • 社会批判を浴びかねない人との付き合い
  • クレーム、トラブルへの甘い認識      などなど。

 その時点での判断ミスが、とりかえしのつかない事になっていきます。

多くの経営者は多かれ少なかれ、判断ミスをします。

しかし、致命的な判断ミスをしないことが、企業を潰さない絶対条件です。

それでも、最近の大手企業でも、致命的な判断ミスをして、社会的に批判を浴び、大幅な業績悪化をするケースが後を絶ちません。

 

 何故、我々は他山の石のごとく学ばないのでしょうか?

 

 実は、そこに「経営理念・行動規範」の有無との因果関係があります。

経営理念・行動規範が明確で、「やってはならないこと」が創業以来脈々と遺伝子(DNA)に刷り込まれている組織は、大きな間違いをしません。

創業100年以上の老舗で、現在も手堅く存在している企業には、こういう家訓、商訓みたいなものが必ずあります。

それも単なるお題目の経営理念・行動規範ではなく、間違わない経営判断に直結する文言です。

 私は、これまで多くの企業の社外役員機能をはたしてきましたが、その中で、大事な判断基準を学びました。

今回はそれを21か条の整理してご紹介します。

1,その判断や決断は、動機は善で、私心はまったく入り込んでいないか?

⑴判断の基本は、自分の利益を優先した場合に間違いやすい

⑵後からどんなに理屈をつけても、私心の行動はどこかで見破られる。常に公共の利益、顧客の利益を優先する姿勢は、言動が一貫しやすい
 

2,その判断や決断は、顧客の利便性や都合を優先したものか?

⑴「顧客第一主義」・「顧客優先」と掲げても、その実、自社の都合で行動を優先している企業は多い。思い付き行動は、やがて社内からボロが出る

⑵当初は「顧客優先」でも、途中で自社都合の論理に変わる事が多いので、最後まで当初の経営理念を貫く姿勢が重要である
 

3,その判断や決断は、拙速に今、すべきなのか?

⑴「熟慮断行」に必要な情報を集めての判断かどうかが重要である

⑵「思いつき判断」・「成り行き判断」・「行き当たりばったり判断」は、性格や癖によるものである。
⑶しかし、「決断がとにかく遅い」と「スピード経営と慎重」は異なる
⑷同じミスを繰り返さないよう、自分を律する必要がある
 

4,その判断や決断は、時間をかけたら、良い結果が出るものか?

⑴分かっているのに「問題の放置」・「判断の先送り」が、事態を悪化させることがある

⑵遅疑逡巡はリーダーの資格がない証拠である
 

5,その判断や決断は、社会通念から見て、賛同を得られるものか?

⑴厳しい決断でも、新奇な発想でも、後から多くの人間に賛同が得られるかが重要である

⑵相手の事を軽視した、自己中心的な判断は、必ずしっぺ返しがある

6,その判断や決断は、脱法・違法などの嫌疑をかけられるものではないか?

⑴どんなに戦略的な事でも、違法行為や社会通念からコンプライアンス違反と思われる対策は愚の骨頂である

⑵刑事事件にならなくても、グレーな部分、法スレスレの行動は厳に慎む
 

7,その判断や決断は、「楽をして儲けよう」と言う意識がどこかにないか?

⑴どの商売であれ、仮にIT系であれ、「汗と努力・時間とコスト」をかけずに利益を上げる事はない。目先の急激な儲けは急激に衰退する

⑵「楽をして儲けよう」と思うこと事態、トラブルの元である
⑶「即儲かる」と紹介されるビジネスにロクなものはない
 

8,その判断や決断は、目の前の利益だけではなく、将来を見据えたものか?

⑴「決断」をするには、「決断後の姿」を見据えなければならない

⑵「決断」は、将来を見据えて正しく検討された「判断」の元で可能となる"
⑶目先の情報・利益優先だけで判断すると、将来の利益を失う事になる。「損して得を取れ」・「Give&Take」・「win-winの関係」を大事に
 

9,その判断や決断は、多方面から意見を聞いた上での判断か?

⑴自分だけの判断では、「独善」・「独りよがり」になりがちである

⑵様々な角度から、意見と情報を集めて判断しないと、「拙速な結果」になりかねない。目的を失ってはならない
 

10、その判断や決断は、現地・現場の生の声を聞いた上で、事実を把握してのことか?

⑴「事実に勝るものはない」。幾ら、立派な合理的な見解や仮説も、事実は異なる場合が多い。

⑵現地・現場の生の声は自らの目で把握・確認する

⑶事実をよく調査せずしての情報判断は、往々にして間違いやすい
 

11、その判断や決断は、姑息な手段で、後から弁明に苦慮する可能性はないか?

⑴大儀の無い決断、小手先のテクニックを使った対策に首尾一貫性はない
⑵後から「言い訳」・「取り繕い」・「その場しのぎ」が必要な判断は、間違った判断である
 

12、その判断や決断は、自ら正しいと思った事を曲げて、他人の意見に流された結果ではないか?

⑴経営者が納得しないまま、幹部や身内の言葉で決断しても、その責任は、やはり経営者にある。

⑵失敗を元に戻すには何倍もの労力と信頼が必要となり、時に「覆水盆に返らず」もある

⑶仮に経営者の判断が間違ったとしても、自ら信じた決断に責任をもつことが重要である
 

13、その判断や決断は、部下の担当であっても、自分が当事者として、しっかり考えた上での事か?

⑴自らの担当ではなく、幹部や社員の責任による事項でも、稟議書・報告書での「めくら印」は、後から問題になる事が多い

⑵経営者である以上、自社に関係する事は、しっかりチェックしておくことが重要である。
⑶経営者から社員まで「報連相の徹底」が基本である
 

14、その判断や決断は、感情論や風評ではなく、明確なデータや証拠に裏づけされたものか?

⑴「人の噂」は当てにならない。情報の裏を取る習慣をつけなければならない

⑵冷静さを欠いた状態、たとえば怒った状態・興奮状態・病気で弱気になっている状態で、大きな判断はしない方が良い
 

15、その判断や決断は、冷静さを失った「焦り」や「疲れ」があるときにしていないか?

⑴誰でも、焦っていたり、精神的に疲れた状態では、自分の都合の良いような解釈になりがちである

⑵客観的な事実を飲み込める状態、苦言提言も聞き入れる冷静な状態でないと、決断は偏りやすい傾向がある
 

16、その判断や決断は、「言った内容」ではなく、「誰が言ったか」に惑わされてはいないか?

⑴日ごろから信頼し影響力のある人の発言や情報・提案でも、すべてが正しいとは限らない。参考意見として聴収し判断・決断は自らが行う

⑵また、日ごろから的外れな言動や、偏った見方をする問題社員が、いつも間違った提案をするとは限らない。意見は最後まで傾聴する
 

17、その判断や決断は、実行した場合のデメリットを十分に検証した上での事か?

⑴メリットやプラス思考ばかりを考えて、物事を判断してはいけない

⑵すべての事象には、デメリットやマイナス面がある。それをトータルで判断する為には、「書き出して判断」する事が有効な方法でもある
 

18、その判断や決断は、最後には自ら責任を取る覚悟があるか?

⑴自ら責任を取らざるを得ない判断なら、誰でも真剣になる

⑵「真剣に考えた決断」を日ごろから意識して行動すべきである
 

19、その判断や決断は、企業の差別化・バリューを生むものか?

⑴「ニッチ市場」・「新規事業」・「既存商材の改革」など、事業構造に関わる経営判断は、その結果が「少し良くなる」程度では価値が少ない

⑵決断した対策が、「新たなバリューを生む」ものか、「他社との明らかな差別化」に繋がるものかをじっくり検討しなければならない
⑶経営で「選択と集中」は必須の行為であるが、自社の器を顧みず多方面に手を伸ばしすぎ、経営を肥大化させてしまうような判断は、経営破綻に繋がる要因となる
 

20、その判断や決断は、情に流されて、本来の合理的判断を狂わせていないか?

⑴「人情に厚い」経営者は多い。その人情が災いして、決断が遅れたり、間違った判断をするケースも多い

⑵合理性のない社内人事や処遇、顧客や協力企業からの要請は、冷静に判断しなければならない
 

21、その判断や決断は、途中で状況が変わったにも関わらず、当初の決定に固執してはいないか?

⑴時間の経過とともに、刻一刻と状況が変わる事がある。それにも関わらず、当初の決定を曲げずに固執し過ぎては、判断を間違える

⑵「朝令暮改」でも、判断を重ねた暮改は時に必要なこともある
⑶リーダーの条件には「臨機応変」は重要なファクターである
 
 
これらの21の基準を見直し、今の決断は妥当性があるかを毎回再確認してみましょう。
 
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