夫婦経営の不仲の組織は崩壊する

SWOT分析、KPI監査、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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中小零細企業の組織形態の多くは同族経営です。

その中でも難しいのが「兄弟経営」と言われます。

しかし「夫婦経営」も結構な確率で面倒な事になります。

今から10年くらい前に私が経験したある顧問先の「夫婦経営」でのドキュメントを紹介したいと思います。

この企業は奥さんが社長、ご主人が副社長というカタチです。

組織で絶大な力を持っているのは「独裁天皇」と影で言われるご主人の副社長。

奥さんの社長は組織の対外的な「顔」とある事業部の責任者を兼務しています。

夫婦で創業した企業ですが、創業後30年経っていろいろなほころびが出ていました。

1,事あるごとに社長をなじる副社長

ある経営会議の事です。

2つの事業部があるこの企業では、祖業である第1事業部を奥さんである社長が統括し、比較的新しいが規模が大きい第2事業部をご主人の副社長が管掌しています。

クレームやトラブルが第1事業部で起こると、これ見よがしにご主人の副社長は奥さんの社長を公式の場で批判します。

自分の第2事業部で起こったマイナスの事はなんだかんだ言い訳して、「悪いのは第1事業部の支援がないから」だと問題点を

すり替えて、社長だけでなく第1事業部の役員を烈火のごとく𠮟りつけます。

いつも叱られ批判されるのは第1事業部の役員であり、第2事業部の役員は副社長の庇護のもと、あまり叱られる事はありません。

当然、奥さんである社長も反論しますが、言葉では言い負かす事はできず、また第1事業部の役員もただ黙って下を向いている事が続きます。

取締役会のメンバーもは社長派は40%、副社長派は60%と社長には分が悪い。

またこの企業の持ち株でも副社長が51%、社長が30%、親族が19%と副社長の権限が強いのに、何かあったら「表に出るのは社長」という、副社長にとっては都合に良いガバメントになっています。

まだ、奥さんが社長で、ご主人が会長とか、ご主人が矢面に立つ立場なら良いのですが、この副社長は内弁慶のようでした。

 

2,新事業部設立の為、本部から人材を抜きまくる

ある時第2事業部で事業拡張の為、新工場を作る事になりました。

責任者は副社長です。

新工場は第2事業部の派生事業なので、人材確保や教育は第2事業部の仕事のはずでした。

ところが、第2事業部は社員の定着率が悪く慢性的な「人材不足」の状態です。自分の事業部から人材を出す事ができないのです。

第1事業部の責任者である社長も、人に余裕がない事で人事異動に消極的でした。

すると、副社長は第1事業部の中堅社員に一本釣りを仕掛けました。

「第1事業部の都合に関係なく新工場は全社の問題だ。第1とか第2とか言っている場合ではない」と。

これには第1事業部の社長も役員も怒り、役員会にかけますが、一本釣りされた中堅社員は「独裁天皇からのスカウトにまんざらでもない」様子だった事から

副社長は「本人も移動したがっている。キャリアアップの為に邪魔をしてはいけない」

と正論をぶっこんできます。

しかし、第1事業部が人手不足で困っている時に、第2事業部に応援依頼しても「第2事業部は人を貸せる余裕がない」と副社長以下、第2事業部の役員も協力はしません。

また、この副社長の指示命令はコロコロ変わり、その度に幹部や現場は右往左往します。

また、激しい言動や社員の容姿に対して言った言葉が「パワハラ」になり、その社員は体調不良で休職し、弁護士から「パワハラの損害賠償請求」も届く始末。

こんなことが続き、ある時いろんなトラブルの窓口で奔走していた第1事業部のある役員は体調を崩し、取締役を解任してほしいと願い出ました。

この役員はプロパーの管理部門担当役員で、この企業の総務経理の全責任を担ってきた人材です。

社長にとっては得難い腹心です。

ところが、この管理担当役員は「独裁天皇」である副社長にも「間違ったことはしっかり指摘」するので、副社長からすると遠ざけたい人材のようでした。

社長会でこの管理担当役員の辞表を報告したら、副社長は喜んだように「直ぐ辞めてもらう」と。

しかし、この管理担当役員の業務を移譲できる人材はいません。

取り敢えず「取締役」は外れるが部長職として残ってもらう事にしましたが、本人からも固辞され大事な人材を失いました。

それでも副社長は「管理担当役員なんて、どこにでもいる。うちの規模なら銀行からでも引っ張ってこれる」と役員会で豪語してました。

 

3,副社長の子飼いの女性部長にどんどん権限が集中

その後、ある女性部長がめきめき力を持ってきていました。

彼女は副社長から寵愛を受けているような方で、バックに副社長がいる事で問題だらけの現場に更にいろいろな課題を押し付けてきます。

現場からは

「何故現場を見もしないのに、こんな無茶な指示ができるんだ」

「副社長の意向を振りかざして、力で押し付けようとしている」

「女性部長と副社長の不倫関係ではないのか」

「出張でも社長と一緒ではなく副社長と女性部長と二人でいくのはなぜか」

いろいろ勘ぐられる事だらけです。

この女性部長は一作業員として入社したのですが、当初から副社長のお気に入りのようで、凄いスピードで役職が高くなりました。

当然、その力量には疑問を持つ役員や幹部はいましたが、バックにいる副社長の怒りを買うことを恐れ、公に批判する事はありませんでした。

唯一の反論をする社長の声も副社長は聞く耳を持ちません。

真偽は定かではないが、この女性部長は子供もおらずご主人とは別居状態で、近々離婚するのではという情報もあるので、不倫というのは全くの偽情報ではないようです。 

問題はそこそこ従業員がいる企業で、副社長の公私混同、独裁ワンマンに誰もブレーキを掛けられない事でした。

私自身もコンサルタントとして、それとなく言ったことはありますが、相当激怒されそれ以上は介入できませんでした。

その私の諌言があってから、私と副社長の関係もおかしくなり、その数か月後顧問契約を解約されました。

 

4,いつの間にか「女性部長」が役員に、家族が複数社員に

この企業ではまだまだおかしな事が続きます。

副社長のお気に入りの女性部長の家族がどんどん入社してくるのです。

女性部長の妹が総務部に、親戚が営業部や工場に数人は入社していました。

いわゆる縁故採用です。

女性部長が力がある証拠でしょう。

また、これは私が顧問契約を解約された後の話ですが、増資をする事になり、その増資の受け入れ先にこの女性部長の名が入ったそうです。

そして同時期に取締役へ昇進。

この社長と副社長には子供さんがいない為、承継問題もありましたが、社長の甥っ子が営業部長であり、当然彼が将来の後継者であると、皆が認識していました。

ところが副社長から「同族経営では将来性がない。もっと広い視野で経営者候補を育てたい」という話が出始めました。

これには社長が猛反論しますが、ここでも社長の声は副社長の声にかき消されます。

「副社長の頭には、私(社長)を早く辞めさせて、自分が会長になり、女性部長を社長にして、思うように経営がしたいのではないか」

と社長が述懐していました。

また昇給昇格も、副社長派の幹部社員は有利で、社長派や無派閥の幹部社員には不利な状況でした。

こんな事に嫌気をさした優秀な若手人材はどんどん離職していきました。

そして離職する度に「社長の責任だ」と副社長は相変わらずなじったそうです。

 

その後この企業はどうなったか?

まだ頑張っているようですが、一時の勢いもなく、以前より企業規模は小さくなっているようです。

社長は既に引退され、副社長も病気がちで会社にはいないとの事。

女性部長も辞任し、当初の予定通り社長の甥が社長になっているそうです。

夫婦不仲、独裁ワンマンまた社内不倫など、やりたい放題して、結果自分の思いとは違った結果に対して副社長は今、何を思っているのでしょうか。

 

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