後継者の奥さんの立ち位置と将来への準備
SWOT分析、KPI監査、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
同族経営には、いろいろな感情が入り乱れて、理論では機能しない事が多々あります。
経営者夫人のスタンスは、社長を陰で支える内助の功的で、従業員にも分かりやすく、一定の権力を持つことができます。
しかし、後継者の奥さんとなるといかがでしょうか?
しかも、後継者の奥さんも同じ会社で仕事をしているとしたら、そこにはいろいろなプレッシャーや「権限なき責任」が発生し、「物言わぬ存在」に徹する事も出来ます。
しかし、いずれ後継者が経営者になり、自身が社長夫人として経営の一旦を担う事を考えれば、若いうちから用意周到な準備が必要です。
私がこれまで見てきた同族経営で「あの後継者の奥さんはしたたかで、隠れた力がある」と感じた後継者の奥さんの「適切なスタンス」や心構えを紹介しましょう。
1,後継者の奥さんは「目立たず人心収攬に努める」
現社長やその奥さんがいる中で、後継者の奥さんとは言え、あまりしゃしゃり出ると、釘を刺される傾向があります。
特に、まだ権限が強い現経営者夫婦であればなおのことです。
仮に後継者に実力と器があっても、それは後継者が認められている事であり、後継者夫人が認められている訳でありません。
中小零細企業の同族経営というのは、「身内だから権限がある」と誤解されがちですが、従業員は同族の実力を冷静に見ているものです。
そこで、後継者夫人には、「目立たず人心収攬に努める」事を意識した方がよさそうです。
どういう事か?
従業員への心配りや気遣いで、「社長の奥さんには言えないけど、ジュニアの奥さんには言いやすい」という関係性です。
どうしても従業員の本音は経営者には伝わりにくいものですが、同じ同族でも「従業員に近い立場」の後継者夫人なら、本音もぽろっと出やすいのです。
しかし、従業員から聞いたことを、「誰が何を言った」とぽろっと上に漏らせば、その時点から「あちら側の人」(あちら側とは同族側という意味)と思われ、その後本音の意見を聴ける立場にならないかも知れません。
後継者の奥さんの気持ちの上では、ご主人である後継者が経営者になった時に、ご自身が従業員との「橋渡し機能」を持つ事を意識する事です。
2, 後継者に将来像をイメージさせる
ご主人である後継者も社員との関係、親である経営者との関係で日々ストレスがあります。
そして、同族経営特有の「感情問題」で経営者とぶつかり、思うようにできず「こんな会社なんて継げない」と投げやりになることもあります。
また日々一生懸命に汗を流して働いているけれど、未来への戦略とか方向性を見いだせないまま、親の経営方針に漫然としたがっている事もあります。
後継者の奥さんには「いずれ社長になるご主人に経営の未来像を考えさせる会話」をたくさんしてほしいと思います。
心理学的にも「同じような話を何回も聴き、何回もイメージする機会があると記憶と潜在意識に残る」と言われています。(サブリミナル効果、プラセボ効果等)
そこで、一番将来のイメージをさせやすいのが「事業承継10か年カレンダー」を自分たちだけで一緒に作ることです。
10年間の自分と奥さんの年齢、子供の年齢、親の年齢、重要幹部の年齢です。
この人の年齢を見る事で、今から手を打たなければならない事がイメージできます。
更に後継者自身の年収もイメージします。
これは業績との関連で変わるので、業績予測(ここでは根拠のない将来業績)も立てておきます。
これも何回も見直す事で潜在意識に入っていきます。
経営承継10か年カレンダーのヒアリングポイント① - SWOT分析と経営継承可視化の専門コンサルタント RE-経営 (re-keiei.com)
3,社長夫人(義理の母)との上手い関係性
論理的に解決できない課題は嫁姑問題です。
普通の家でも嫁姑問題は難しいのに、家以外の会社でもこの問題が頭をもたげます。
後継者の奥さんとして、また社員として経営に携わった以上、この問題から逃げる事やトラブルになる事は、「退職」「別居」最悪「離婚」につながる可能性もあります。
私が知っている後継者の奥さんで社長夫人といい関係を保っている方の特徴は
⑴社長夫人が苦手な業務で能力を発揮している
⑵社長夫人が総務経理をしているなら、後継者の奥さんが営業や製造開発など「実務」で機能している
⑶後継者とその奥さんが「別事業」「別会社」の業務に携わり、実務の接点が少ない
⑷同じ総務経理でも、社長夫人の責任業務と違う事を責任業務としている
⑸同じ総務経理で社長夫人の補佐で、指示に沿ってルーチンだけにしている(割り切って作業者になっている)
まあ、こんな感じです。
とにかく
⑴張り合わない
⑵陰で批判否定しない(いう時はご主人だけ。絶対に社員に聞こえてはいけない)
⑶私が私がと前に出過ぎない
⑷社長夫人を事あるごとに立てて、褒める(嘘でもいいから誉める)
これは、家と同じかも知れません。
4,後継者が承継後、一気に事務効率化できる準備をする
数年か10年後かに、実際に事業承継が行われます。
社長と社長夫人がぼちぼち一線を退き、後継者夫婦が主体になる時期が来ます。
これまで社長夫人の手前できなかった事がいろいろあったと思います。
中小零細企業ではとにかく「間接部門・間接経費は低コスト」が基本です。
社長夫人から徐々に引継ぎをして、後継者の奥さんが実権を握ったら一気に事務効率化の準備を始めましょう。
言葉は悪いですが、IT化やアウトソーシング化で仕事を減らし、不要になった間接従業員には、非正規雇用なら辞めてもらうか、正規社員なら現業への配置転換を促します。
総務経理部門を完全のコントロールするなら従業員は少ない方がベターです。
また、会社規模にもよりますがオンラインビジネス、インサイドセールス、Web販売等の「営業支援業務」は若い後継者夫人が担う方がいいように思います。
すると、今のうちからその手の勉強をしておきましょう。
これまで「後継者夫人のスタンス」のノウハウについてはあまり参考になる文献もなかったでしょうが、これを参考にして自分なりの長期計画を頭にイメージすることが肝要かと思います。
「SWOT分析と事業承継、コンサルタント事務所経営」などノウハウがいっぱいのYouTubeチャンネル登録をお願いします。
YouTubeで「SWOT分析と経営承継」と検索してください。
こちらのページもいかがですか?
無料電子書籍ダウンロード
「これを無料で渡すんですか?」と同業のコンサルタントがビックリしたマニュアルをご提供!各種コンサルティングマニュアルを揃えております。
コンサルティング現場実例ノウハウ
「こんな実例ノウハウを、こんな価格で売るって正気ですか?」と仲間のコンサルタントがあきれた「コンサルティング現場で活用した実例ノウハウ」があります。クライアントとの面談や会議で、また研修時に「見せるツール」しかも記入実例付きのリアルテンプレートを豊富に掲載。