嶋田利広ブログ

事業承継のコンサルティング

2025.12.24 後継者の人格づくりと事業承継の仕方

 

 

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これまで数多くの事業承継コンサルティングの中で後継者の人格や性格による、事業承継の難しさを経験してきました。

社長が破天荒であれ、わがままであれ、中小企業においては多くの従業員は「愛すべき社長だから付いてきた」と思っています。

後継者も人格者なら「ジュニアもしっかり応援して一緒に会社を盛り上げよう」と思います。

ところが、そういう後継者ばかりではありません。

激烈な性格やわがまま、芯のない人生観等人格に欠落がある後継者もいる訳です。

そういう場合どういうコンサルティングの仕方が有効なのか?

1,後継者に全人格を求める社長の失敗

ヒトはそれぞれ良いところも欠点も持ち合わせています。

今の社長も何らかの欠点を持っているけど、それに勝る良い点があり、何だかんだと言いながら社員もついてきています。

しかし、社長からすると後継者の一挙手一投足に「不足部分」が気になって仕方ありません。

「あれができてない、これが不足している」

「もっと〇〇すべきだ」

「俺の若いころは〇〇したもんだ」など、ついつい言いたくなることでしょう。

いつの間にか後継者に経営者自身もできてなかった「全人格」を求める言動が出てきます。

言いたい事はよくわかります。現社長から見ると後継者は企業経営でも、人生においても経験不足です。

今の社長か見るとできてない事が多々ある。

また人生経験や経営経験の多い社長は「〇〇すると〇〇になるから注意するように」と、先がある程度見える事から、転ばぬ先の杖のアドバイスをしたくなります。

ただこういうものは経営者も徐々に経験していかないと学習できません。

社長が若いころからいろいろな失敗をしながら、学習したように。

だから「後継者に全人格を求めない」ことが大事。

 

2,後継者教育に必要なのは「第3者の声」の耳の痛い事を聞かせる教育

後継者は徐々に学習して経験を積むことが大事とは言いましたが、ある事を無視すると承継後の企業も組織も瓦解していくことがあります。

それは「第3者の声を真摯に聴く姿勢」です。

社長の声だけでなく、幹部の声、社員の声、業者の声、顧客の声、地域の声等。

時としてこの第3者の声は「耳に痛い」ことが多く含まれます。

後継者の中には第3者の声に対して「実情も知らない癖に言いたい放題だ」と苦言提言を無視して、自己解釈を優先する場合があります。

これも性格や人生観に起因していますが、後継者が第3者の意見を無視するような姿勢に対して、現経営者は絶対に妥協なく教育する必要があります。

第3者の声には理由があります。

その理由と真剣に向き合わせる事こそ、真の後継者教育と言えるのです。

 

3,「その目的は何?」で育てる後継者の真意確認の問いかけ

後継者への教育に必要な質問があります。

それは「その目的な何?」といろいろな判断や行動が必要な議論の場でこの質問を繰り返すことです。

時として後継者は課題解決や問題処理に場当たり的、弥縫策に終始する事が出てきます。

そんな時「その目的は何?」と真意を確認するのです。

いわゆる「何故を5回繰り返せ」のようなものですが、「Why」ばかり言うと、責めている感じがするので、後継者には「その目的な何?」を言う方がスマートです。

「その目的は何?」に答えていく内に、手段と目的の混同を自ら気づくことあるし、方向性の間違いにたどり着くこともあります。

 

4,社長と後継者と一緒に創る「経営判断基準書」

これまでいくつかの中小企業の事業承継の場面で「経営判断基準書」というものを作成してきました。

これは下記の目的とポイントがあります。

⑴重要な意思決定をする際の自社都合の独善的な判断を避ける

⑵厳しい意思決定をする際も人心が離れない最大限の努力姿勢

⑶大事なおカネの使い方の目的と未来の確認

⑷組織を維持管理する為の基本的姿勢

⑸顧客との在り方、商品との在り方の原理原則

こういう要素に現社長の経験から生まれた価値観と後継者の姿勢のベクトルを合わせて、箇条書きで整理します。

何か条あっても構いません。

この「経営判断基準書」は小冊子やカードにして経営者役員がいつも持ち歩き、重要な意思決定の会議や面談に際、判断の間違いがないか確認をしていきます。

京セラの稲盛さんが重要視した京セラの価値観を整理した「京セラフィロソフィー」がありますが、その「自社版京セラフィロソフィー」です。

そういうものを我々コンサルタントがファシリテートしながら構築していきます。

おカネに代えがたい「価値観承継」です。

 

生成AI時代になっても最終的な経営判断はヒトの眼と心で行います。

難しい後継者教育を実直に進めるメソッドとして取り入れる事をおススメします。

 

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