KPI監査現場で効果の違いがでる、大事な5つの思考とは?
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、経営理念浸透型人事評価コンサル、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
KPI監査で経営支援をする時に大事な思考、考え方があります。
この考え方を持たないとKPI監査自体が継続しないし、結果業績改善が進まない事を私は経験的に分かっています。
そこでこれから紹介する5つの思考を持ちながら「KPI監査」の指導やモニタリングをして欲しいと思いご紹介します。
とにかく、Web上やSNSで出されている、「KPI監査をしたことがない素人の一般論」に惑わされて、「中小企業に不釣り合いなKPI監査」をしない為に、この考え方を公開します。
1,いきなりKPIを決めない
KGI,KSF,KPIを聞きかじったら、早速経営者、幹部などからヒアリングしてKPI設定をしたくなります。
しかし、よく考えてから取り組まないと失敗する確率が高くなることを指摘しておきます。
何故なら多くのKPI設定は「弱み改善」「MUST」から設定したくなるからです。
これは指導するコンサルタント、税理士もその傾向があるし、KPI監査の理論を聞いた経営者役員もそういう発想になりがちな傾向があるからでしょう。
しかし、KPI監査士検定で紹介している「KPI監査理論」は「強みを伸ばすKPI設定とKPI監査」です。
だから、KPI監査士検定で提唱している3つのアプローチ(クロスSWOT分析、業績の公式、ボトルネック)を念頭に置いた支援をしないと、「社員が自信を持ったKPI経営」にならないのです。
2,KSF、KPIもコーチングしながら相手に考えさせる
KGI,KSF,KPIを設定する時、頭のまわるコンサルタント、税理士は自らアドバイスする傾向があります。
KGI,KSF,KPI設定と行動計画、KPI監査モニタリングで大事な事は、相手(経営者、幹部)に具体的に且つ深く行動できるレベルまで考えてもらい「言語化」する事だと忘れてはいけません。
我々KPI監査推進者は、それを即時5W2Hで文字に落とし込み、相手も意見や想いを「見える化」していくのが仕事。
だからコーチングメソッドを使った支援がベースになります。
「KPI監査」はKPI設定から監査モニタリングまで指導せず、相手に具体的に言語化させる支援である事を肝に命じましょう。
3,KSFもKPIもヒントの出し方次第
コーチングメソッドが大事だから、コンサルタント、税理士等は「自分の答え」をバシバシ言って、悦に入ってはいけません。
もし相手(経営者幹部)の思考が整理されず、沈黙やピント外れの意見を言うなら、コンサルタント、税理士等はいかに検討しやすいヒントを出して思考整理を進めてもらうかを考えましょう。
ヒントには大きく2つあります。
1つは「誘導ヒント」です。
「誘導ヒント」とは相手が話した言葉を更に具体化するコーチングメソッドだと理解してください。
- このKGIを達成する為に、社長が優先的に取り組みたい具体策や社内の行動はどこか?
- その具体策は社内の行動を誰が何をどうして欲しいのか?⇒KSFへの誘導
- これをKSFにした時、その重点行動は何か?⇒KPI落とし込みの誘導
- その重点行動をする為には、どういう準備や段取りが必要か?⇒KPI行動の絞り込みの誘導
- その重点行動の準備や実践を行動数量で結果を見るとすると、どういう行動数量を上げる必要があるか?⇒KPI設定への誘導
上記のような誘導ヒントを心がけます。
ヒントのもう一つは「異業種事例」です。
これは日ごろから経営情報や業種事例を学んだり、経営者や仲間から聞き出した事でしか手に入りません。
ただ最近はその場で生成AIを使って、固有のヒント出しもできるし、何なら適切なプロンプトさえ入力すれば独自のKPIまで提案してくれるようです。
ただし、AIが出したKPIをそのまま使用せず、行動数量のレベルにまで落とし込むChatリレーをした方が良いでしょう。
AI活用はあくまでもコンサルタント、税理士等のKPIヒントとしての裏の取り組みです。
生成AIでのKPIを経営者幹部に見せたら、そこで「思考停止」になり、出来たような気になり、その後のアクションプランも思考が浅くなりがちだからです。
大事な事は「しっかり思考する」ことだから、KPI設定の場で生成AIをフル活用する事は、自分なりに制限した方が良いと考えます。
4,KPI監査モニタリングはPDCAの連続
KPIを決めてKPI監査として定期的にモニタリングをしていきます。
KPI監査モニタリングとは「決めたKPIの進捗を確認し、その達成のための行動計画を5W2Hで修正していくヒアリングと文字化の作業」です。
一度決めたKPIもそれに対する行動も、一朝一夕には進まない事も多いでしょう。
決めたKPIの未達が続き、そこで決めた修正行動計画も実行されない場合も多々あるはずです。
しかし諦めずに毎回PDCAを回し維持していくのが本来の「KPI監査士」です。
KPI監査をする人が「この会社は決まった事を決まったようにしないからダメだ。KPI監査をしても効果ない」と諦めたら、我々の負け。
経営者が自らチェックやモニタリングできないKPIのPDCAを何とか回すのが外部の「KPI監査士」なのだから、先方経営者から「KPI監査の効果がないから止めたい」と言われない限り、こちらから止める事は避けたいですね。
5,実行されないKPIはより小さく分解する
ところが一度決めたKPIが毎回未達になり、その未達理由も「仕方ない」と言うケースもあります。
例えば
「社員が辞めて、あるKPIを推進担当者がいなくなった」とか
「他の優先度の高い業務に追われ、KPI行動数量にまで手が回らない」
等です。
そこで毎回チェックしてもKPIの行動ができない時には、その要因としてKPIやアクションプランが少し大きい場合が多いです。
その場合はもっと小さいKPIに落とし込んだり、アクションプラン(修正行動計画))ももっと小さな一歩に変える方が現実的になります。
この5つの思考はKPI監査の前段階であるKPI設定から、我々が意識しておかなければならない事です。