ちぐはぐ賃金を3年間で解消する方法

ちぐはぐ賃金になった理由は前回ご紹介しました。では、ちぐはぐ賃金を解消するには、どうすべきか?間違った手法を導入すると、「ちぐはぐ賃金」解消の為に、人件費が増えたというケースも少なくありません。私たちがコンサルティング指針してやっているのは、「人件費を上げずに、不公平感の是正を3年間で行う」というものです。今回は、マル秘ノウハウ部分も公開します。

1、今の基本給レベルの職能等級を合わせる

間違った進め方の中に、「今の職員の技能で等級を決める」ことがあります。高賃金なのに、低職能だから「低等級」からスタートするということです。すると、その人は低等級で評価されるので、高賃金が下がる要素がなくなり、「低職能なのに高賃金の高止まり現象」になります。そうではなく、高賃金に相応しい高等級に指定して、その指定する高等級の技能や評価がなければ、理論的に等級ダウンを図って、是正していきます。それに3年はかかる訳です。

2、情意評価と技能貢献評価は分ける

ともすれば、年に1回の人事考課で、技能評価も一般的な情意評価も一度にやってしまい昇給判断をする事業所もあります。しかし、それでは評価の誤謬をきたします。能力評価と人間性評価を分けて考えるのが自然だと考えます。具体的に言えば、月例給に影響する昇給昇格は「技能」「職務能力」で賞与は人間性・基本動作を評価する「人事考課」でを基本に据えます。

だから3月末は「基本給評価」の為の「技能」「職務能力」評価を行い、6月と11月に人間性や基本動作の一般的な「人事評価」を行います。例えば、Aさんは人はいいけど、仕事ができないなら、賞与では評価するけど、基本給昇給は少ないということになります。またBさんは、非協力的で自分勝手だけど、技能は高いなら、基本給昇給はされるけど、人事考課では低い評価になるでしょう。職能も高い、人事考課も高いというスーパーマンだけが評価される仕組みは人材育成のバランスを欠いていると言わざる得ません。

3、新賃金体系はどれも、思ったほど下げられない

ちぐはぐ賃金の中で、昇給するのはどんどん出ますが、減給対象者への減給処置は思ったほど進みません。それは、本人へのモチベーションダウンや離職可能性などで、管理職も思い切ったことができないからです。制度や評価の結果というロジックがいかにあっても、それを受け入れる人間とそれを言い渡す人間の感情が入り込みます。更に昨今の人手不足の折に、「少しくらい評価が低い職員でも十分なスタッフ」なら余計に辞めてほしくないから。

だから、「ちぐはぐ賃金」を新賃金体系で整備すると、人件費の上昇につながりやすいのです。

4、賞与で人件費上昇圧力を是正

従業員にとって月例給の高は、生活基盤にかかわるし、求職者の基礎的条件になります。だから人件費是正策で月例給を下げるのは愚策だと考えます。それよりも、賞与から上昇分の人件費を持ってくる方が現実的ですね。そこで、賞与の基礎倍率(例 夏1.5カ月、冬2カ月)を正規としたら、それに業績倍率を掛けます。業績(収支結果)を反映して、50~150%程度です。例えば普通評価のAさんの場合、通常なら基本給(20万円)×基礎倍率(2カ月)×業績倍率(100%)×個人評価(100%)=40万円

しかし、同じ基本給でも、人件費率が上昇し収支が悪化。またAさんの評価が芳しくない場合なら

基本給(20万円)×基礎倍率(2カ月)×業績倍率(80%)×個人評価(90%)=288,000円となります。

この場合、部門業績率を掛ける場合もありますが、それは慎重にしないと人事異動が進まないようになりますので。

 まだまだ「ちぐはぐ賃金」の是正策はありますが、こういう工夫を積み上げて、賃金の適正化につなげていくわけです。

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