2025.6.10 病院の人事コンサルティングで「職能等級判定調整会議」を実施
2023年から取り組んだある病院の人事コンサルティングで、2025年から運用が始まりました。
既に賞与用の評価結果を決めて、部下へのフィードバック面談内容を決める「人事考課調整会議」は2024年冬に模擬経験をしていましたが、基本給を決める「職能等級判定調整会議」は幹部としては今回が初めてです。
この「職能等級判定会議」では、現在の全職員の予め設定された等級に相応しい技術、スキル、知識があるかを判断します。
では、実際にどういう感じで、「職能等級判定調整会議」を進めているのか?
1,等級は既存の基本給から設定
今回に賃金制度では、いろいろな手当ての矛盾を整理する為、基本給への集約を進めました。
そして既存の基準内賃金をベースに仮等級を設定します。
仮に仕事の評価が高くなくても、経験年数が長く、それなりの基準内賃金をもらっているなら高めの等級になります。
また仕事の評価が高くても、経験年数が短く、基準内賃金も低い場合は低めの等級に設定されます。
「仕事ができず基本給が高い職員」は、職能評価では厳しい評価になり、しかも賞与の人事考課でも平均以下の評価なら、1年の猶予期間を経て、合理的に降格ができる制度です。
逆に「仕事ができて基本給が低い職員」は、職能評価が高く、しかも賞与評価でも平均以上なら、「等級滞留年数」基準を待たず、飛び級や昇格が可能になります。
また普通の評価の職員は「等級滞留年数」通りで昇格をしていきますが、当然昇格前には「賞与評価で平均以上の結果」をとらせるような「仕掛け」や「指導」をするように責任者や管理職に依頼します。
そういう制度にして、合理的な基本給運営をしていくのです。
2,全職種で、等級別に必要技能やスキルを決めた「職種ごと等級別職能要件書」
この等級を決める「職種ごと等級別職能要件書」を2024年に時間をかけて、全部門のリーダーと個別面談をしながら作成しました。
基本的な職種ごと職能等級要件は弊社のデータベースを参考に、この病院の実態に合わせてカスタマイズします。
ここでも責任者が思っている「同じ業務でも経験年数別のアウトプットや仕事の仕方がどう違うのか?」を「言語化」させて、固有の表現に落とし込みます。
我々はこの作業を通じて、この病院の必要職能が把握したうえで、基本的な等級基準と各作業ごとの職能要件の整合性を確認しながら進めます。
この時上長に経験年数に応じた仕事の違いを見出せない場合は、ファシリテーションしながら考え出させます。
そうしないと同じ業務をしても5年職員と10年職員が同じアウトプットでは、基本給が高い意味が見いだせないからです。
これは病院にかかわらずどの企業でも作成しています。
最近はこの等級別職能要件書に「ジョブ(役割)」も追加しています。
これは「10年経験して3等級になったら、この役割をしないといけない」という具体的な職務名を入れます。
それが他部署経験とか委員会委員長経験等、上に行くためには誰でも通るべき登竜門を明文化しているのです。
3,キャリアパスと職能結果、将来の人事異動を考慮して、フィードバック面談内容が決まる
さて等級の整合性を決める「職能等級判定調整会議」では、各部門責任者を個別に呼び出し、その部門の職員一人ひとりの職能結果と今後のキャリアパスを整理します。
職能判定では、例えば急性期病棟看護職2等級で必要な職能項目が30個あったとします。
その判定は「できてる方」か「できてない方」の2択です。
そして「できている方」の数が21個以上70%以上あれば、基本的な職能はクリアしていると判断します。
また「できている方」が90%以上で、人事考課もB+なら、この方は早めの昇格予備軍と位置づけします。
仮に職能取得が70%と普通で、人事考課も普通だとしても、今後に人事異動や人の退職等で、役職をつけなければならない場合は、次回の人事考課でB+になるような課題と指導内容を見つけ、記録します。
逆に職能取得が60%以下で、人事考課もBーの場合、次年度の職能評価時にまだ60%以下で人事考課もB-なら「降格もありうる」と本人にいうようにします。
そうしないと、普通に頑張っている職員がバカを見るからです。
ただとは言っても、その結果退職されてしまっては元も子もない場合、「降格」の判断は保留し、人事考課だけの対応もします。
ここは杓子定規に判定しない為に、この「職能等級判定調整会議」があるのです。
我々がそれらのファシリテーションを行いますが、我々が支援するのは3年間。
その後は事務長や看護部長などの責任者がファシリテーションを行うようにしてもらいます。
だからこの3年間の移行期間は、事務長、看護部長などの教育期間に当たるのです。
今はこの人事評価や職能評価結果はヒアリングしながら、クラウドに入力していくので、いつでも連係した情報が見れるようになりました。
この人事考課や職能評価が今後永遠に続くことはありませんが、管理職が自ら判断し、評価ランクや等級を決めて、その結果をフィードバック面談で行う経験は残ります。
このシステムの最大に狙いは「評価結果とランクのブラックボックス化」を防ぐ事で、管理職の人事評価能力を高め、公平性を少しでも良くする風土を構築する事です。
そうすれば、後はどんな制度に変更しても大きな問題ではありません。
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