監査担当者が『聞き出し上手』に勝手になっていく仕組みとは?
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、経営理念浸透型人事評価、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
会計事務所の所長や幹部の方へ提案です。
「もし、監査担当者の経営者へのヒアリングレベルが勝手に上がっていく仕組みがあったらいいと思いませんか?」
これまで、いろいろな研修やセミナーを受講しても、亀の歩みの如くなかなか「監査担当者の経営者面談力が高まらない」と困っている会計事務所は多いもの。
実際に私が支援している会計事務所でも、いろいろな訓練をすれば半数程度の監査担当者はレベルアップしますが、なかなかレベルが上がらない職員もいます。
それは技術云々の前に、メンタルブロックが大きいのですけど。
そこで、今取り組み中の「監査担当者が聞き出し上手に勝手になっていく仕組み」を紹介します。
1.理論学習だけでは腰が重い監査担当者
SWOT分析であれ、KPI監査であれ、事業承継「見える化」であれ、「根拠ある経営計画書」であれ、すべては経営者への「聴きだし」から始まります。
集合研修や講義なので、「聴きだしの仕方」「質問・ヒアリング技術」「コーチングメソッド」の考え方や技術についてこれまで延数百時間は話してきたでしょう。
しかし、講義を聞いただけで自ら気付き、行動に移す監査担当者はごく一部。
多くの職員はメンタルブロックに邪魔されなかなか行動までいきません。
講義や研修を聞いている時は「なるほど、なんかできそう」と思うそうです。
ところがいざ実践となると
●面倒くさい
●思ったようなシチュエーションにならないから上手く切り出せない
●先方の反応がイマイチ
など、実践段階でやる気が急にしぼむのです。
そしてせっかく、経営者と面談の機会を得ても、経営者から「そんなのは良いから、この宿題を早くしてよ」と出鼻をくじかれると二度と提案したくなくなる職員もいます。
2.顧問先に依頼されるとやらざる得ない仕組み
そんなメンタルブロックの働く監査担当者でも、顧問先から直接依頼されれば否応なしにやらざる得ません。
どうやって顧問先経営者から
「○○さん、SWOT分析をしてよ」
「○○さん、事業承継10か年カレンダーを一緒に作ろうよ」
「○○さん、うちのKPI経営を手伝ってよ」
「○○さん、ちゃんとした経営計画書を指導してよ」
と言われるように持っていくか?
それが「経営塾」なんです。
簡単に言うと、会計事務所の企画で複数回コースの経営塾を行い、その塾の中でSWOT分析やKPIなどを途中まで作成します。
残りを監査担当者と経営者が一緒に作り上げていく流れです。
経営者もこの塾で途中まで作成しているので、カタチにしたいはず。
しかも監査担当者もその経営塾に参加し、顧問先社長と一緒に議論しているから途中経過も分かっています。
何故複数回の経営塾が良いかと言うと、経営者の理解度がどんどん進んでいくからです。
単発セミナーでは一瞬の気分の盛り上がりはあっても、なかなか継続しません。
複数回の経営塾だからこそ、徐々に経営者の思いが積み上がっていくのです。
下記が私がメイン講師をして、会計事務所が主宰する経営塾に事例です。
3.顧問先年間業務カレンダーで予定に組む仕組み
毎月監査訪問、巡回監査をして毎月同じような作業をして、決算が近づくとそれに沿った監査を行う。
ある意味、監査担当者は同じルーチンの繰り返しをしている訳です。
だから、前向きな提案もよほど思い切って行動しない限り、「いつものルーチン」にプラスαすることは結構難しいと聞きます。
そこで、これも複数の会計事務所で成果が出た仕組みです。
それは決算報告会で、新年度の会計事務所の業務カレンダーを提示し説明する事です。
MAS業務であれ、監査効率化であれ、株式評価の提案であれ、決算報告会で今年の監査予定として予め提案しておけば、「いきなり感」は減らせます。
その季節がきて、提案しても「あ、決算報告会で言っていた件ですね」と受入れ易くなるのです。
この業務スケジュールは下記のようなイメージで事前に作成し、決算報告会で説明提出します。
この業務スケジュールのお陰で、有料提案も増えています。
4.ロープレ訓練で技術に自身を持たせる仕組み
メンタルブロックが働く理由は
●失敗したらどうしよう
●上手く聴きだせない気がする
●相手の社長が嫌な顔したら、やばいな
●そんな事しなくても ちゃんと監査業務をしてればクレームは来ないし・・・
こんな思いがあるからです。
だから模擬訓練が大事になります。
模擬訓練とは「ロープレ」です。
練習でできない事が本番で出来るはずはありません。
私の顧問先の会計事務所でも定期的にロープレ訓練をしています。
以前に比べれば、練習を何回もしている監査担当者はこのメンタルブロックが低くなっているようです。
このロープレで「聴きだし」が上手くなったと感じるとすかさず「○○さん、だいぶ質問に深堀が上手くなったね」と褒めるようにしています。
すると本人も喜び、自信を持ちます。自信さえつけばOKです。
このように会計事務所の所長が「MASをやれ」「経営者の話を聴け」とギャーギャー言わずとも、『仕組み』を入れればそれなりに育つものです。
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