京都大学経営管理大学院(EMBA)で税理士向けに伝えたかった事

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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8月13日に京都大学経営管理大学院(EMBA)にて税理士、弁護士に向けてMAS業務に関する講義をしてきました。

これは学生向けではなく社会人向けの寄付講座です。

一緒に「シンプルBSC(バランススコアカード)」を進めている日本大学経済学部の藤野教授と、青森で会計事務所を経営している若山先生のご紹介で、この機会を頂きました。

この講義で私が伝えたかった事は、「会計事務所≦コンサルタントのMAS業務」の必要性でした。

講義内容はこんな感じでした。

1、今、会計事務所に求められる付加価値・差別化とは?

2、付加価値・差別化のポイント1 根拠ある経営計画書作成支援

3、付加価値・差別化のポイント2 SWOT分析を活用した商材具体策の立て方

4、付加価値・差別化のポイント3 業績直結型支援 KPI監査

5、SWOT分析コーチングメソッドで、経営者から戦略の答えを引き出すノウハウ

では各内容のダイジェストをご紹介します。

1、今、会計事務所に求められる付加価値・差別化とは?

インボイスの施行は会計事務所の付加価値に大きな影響を与えます。

導入期こそ大変ですが、流れに乗れば顧問先での作業円滑化で、監査時間の短縮にもつながります。

すると「これまで5万円の顧問料で4時間してくれたのに、今は1時間で終わるのに5万円は高いよね」

みたいなことが起こります。

せっかくインボイスや自動化を使って効率化したのに、です。

この時もっと経営的な業務へ舵を切らないと、顧問料の意義を見つけてくれない顧問先が出てきます。

そのためにも「付加価値につながるMAS業務」が必要です。

ここで話したことは

●おカネが取れない、長続きしないMAS業務とは

●出た結果だけの予実チェックだけでは経営者は不満

でした。

2、付加価値・差別化のポイント1 根拠ある経営計画書作成支援

最初の具体的なMAS業務として「根拠ある経営計画書作成」の作り方を話しました。

多くの会計事務所が「経営計画書作成」を売りにしていますが、「根拠性」「具体性」「行動プロセス」まで踏み込んだ事務所はそう多くありません。

「根拠性」とは、クロスSWOT分析を使った裏付けのある経営計画書作成です。

固有の戦略や具体策、商材対策だけでなく、行動までつなげるロードマップ・アクションプランも支援することです。

ここまで作成支援すれば金融機関への交渉でも優位に働きます。

そんな中身のある「根拠ある経営計画書」こそ、これから差別化の大きな要素だと思います。

 

3、付加価値・差別化のポイント2 SWOT分析を活用した商材具体策の立て方

これからの会計事務所の汎用ツールとして「クロスSWOT分析」は不可欠です。

先ほどの「根拠ある経営計画書作成」をするための、具体的商材はこのSWOT分析から生まれます。

クロスSWOT分析が求められる背景には、

⑴金融機関から提出を要望される経営改善計画書

⑵事業再構築補助金 事業計画書

⑶中期ビジョン・中期経営計画の立案時

⑷商品開発時のコンセプトづくり

⑸新規開拓・アイテムアップ時のキャンペーン内容

⑹経営承継期の後継者時代の「稼ぐ戦略づくり」

⑺M&A後の「シナジーSWOT分析」で共同キャンペーン

⑻社員採用面接時の「パーソナルSWOT分析」

⑼役員幹部の戦略思考研修のツール

などがあります。

これらを解説しました。

 

4、付加価値・差別化のポイント3 業績直結型支援 KPI監査

KPI監査とは「売上・利益」という結果の監査ではなく、行動プロセスを数値化したKPI(重要業績評価指標)をモニタリングしていく監査です。

プロセスをチェックすることで、よりアクションプランのモニタリングまで入っていけます。

当然、これは時間がかかるので通常の経営会議とは別に「業績検討会議」でPDCAを回していきます。

これは工数も増えるので有料で行います。

KPI監査こそ、会計事務所らしいモニタリングサービスです。

しかし、KPIを決めるにはKSF(重要成功要因)を確定する必要があります。

またKSFを決めるには「クロスSWOT分析」で固有具体策を決めなければなりません。

このようにKPI監査も「クロスSWOT分析」とつながっているのです。

 

5、SWOT分析コーチングメソッドで、経営者から戦略の答えを引き出すノウハウ

ここで話したのは

「教えたがり」「アドバイス癖」に強い税理士はMAS業務が難しい、ということでした。

今の時代、まともな経営者なら「答えの決まっていない事象」に対して、自分なりの意見や考えを持っています。

それなのに、相手の話やその背景を十分に聞かず、「こうしたらいいですよ」と表面的なアドバイスをする方がいます。

特に年配の税理士や職員に多い傾向です。

それより「コーチングメソッド」で、聞き出す会話、相手が答えを出すように誘導する会話が大事な時代です。

税務知識が求められる場面では、積極的にティーチングをすれば良いのですが、答えが決まっていない「オープンクエスチョン」ではコーチングが必須です。

 

午前中90分の講義でしたが、その日の午後と翌日の終日、藤野教授と若山先生の講義やワークにより、より深く受講生は理解したと思います。

今回このような機会を頂き、貴重な経験をさせて頂きました。

両先生には本当に感謝です。

とにかくこれまでも「税理士の付加価値の必要性」が幾度となく叫ばれてきました。

しかし、今回の大きなうねりは、否が応でも税理士がMAS業務を避けては通れない流れになると思います。

 

 

 

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