「根拠ある経営計画書」の根幹は、戦略を「おカネ」に変えること
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
今、複数の専門家の方とバランススコアカード(BSC)を、もっと使いやすく、会計事務所監査担当者でも、MAS支援が出来る「シンプルBSC」というものの構築のお手伝いをしています。
MAS監査と呼ばれる経営支援は、中小零細企業にとって必要なことですが、ある課題を改善すればもっと普及するのではと思っています。
既存のMAS業務の課題を埋めることができれば、会計事務所の付加価値になり、普及するのではないかと思います。
1、理念ミッション→中期計画→単年度経営計画→アクションプランの流れ
昨今の会計事務所が活用する経営計画ソフトには、「理念ミッション→中期計画→単年度経営計画→アクションプラン」という流れがスタンダードになっています。
理想的な落とし込みと言えます。
やはり、理念・ミッションに沿ったビジョン(中期計画)でないと辻褄も合わないし、心の姿勢を無視した「中期収支計画」「中期戦略」では、どこかで行き詰るでしょう。
そのミッションを反映した中期計画を、来年1年間の収支計画や具体策に落とし込む「単年度経営計画書」。
そしてその実行内容や担当、期限が入ったアクションプラン。
これが原則的に必要なものです。
2、多くの会計事務所も中小企業も戸惑う「ミッション→中期計画」
経営計画の流れとしては原則的に良いのですが、ある箇所で作業のしにくさを感じます。
それが「ミッション→中期計画」の時です。
「理念ミッション」から、いきなり「中期経営計画」のビジョン、商材戦略、組織戦略を出さなければならないことです。
恐らく中期計画には「ヒトモノカネカンリ」」とか「経営、営業、商品、顧客」などのカテゴリー欄があって、そこに方向性を書くようになっているのでしょう。
しかし、それが
「書けない」
「具体的に落とし込めない」
「どう聞いていけばいいか分からない」
「先方が分からないというので、どうしたらいいか分からない」
と困っているのが会計事務所監査担当者です。
経験豊富な方なら、いろいろな質問で中身を決めていくことでしょう。
しかし、そういうロジックが苦手な会計事務所監査担当者は、もう苦手意識が出てしまい、そのツールを使おうとしません。
「理念ミッション→中期計画」の間に必要なのは、商材戦略です。
商材とは「商品戦略」「顧客戦略」「価格戦略」です。
ここが固有性や具体性がないと、フワーとした中期計画になるはずです。
そこが苦手だから、先方経営者の言葉だけを鵜呑みして、記載するのが関の山。
3、 「戦略をおカネにする」という考え方
これまでのMAS業務での経営計画書を見ると、中期経営計画ではそれぞれの売上目標、利益改善目標を入れていても、その具体的な内容は相手(企業)任せの場合がほとんど。
それも、先方の経営者が言った言葉を、そのまま記述している感じです。
経営者が言ったある戦略の結果、売上が1億円改善するなら、その数値的根拠(商材根拠)が欲しいところ。
例えば、1億円の売上増を商品戦略、顧客戦略に落とし込み、各具体策ごとに売上目標があって、その総計が1億円のハズです。
しかし、そこまでは関与せずに「中期経営計画」が出来ています。
私達は「戦略をおカネに置き換える」とよく言います。
ミッションなどの概念論の後、いきなり中期売上目標を書くのではなく、「根拠性」の戦略的な商材対策を書き込んでほしい。
これがないから、行動計画(アクションプラン)を見ると、商材戦略の深堀やロードマップ(工程表)がなされていないケースが散見されるのです。
ここで我々のグループでは、シンプルBSC(バランススコアカード)を入れることで、具体的な商材対策も関与して一緒に作り上げるという思想です、
このシンプルBSCについては、どこかで公開されると思いますが、大事なことはKSF(重要成功要因)をあぶりだすこと。
そのKSFあぶり出しの基本ツールが「クロスSWOT分析」です。
弊社が中心に進めているクロスSWOT分析なら、「強み」×「機会」=「積極戦略」として商材対策から計数まで検討できるフレームワークになっています。
MAS業務で監査機能を有料サービスにしていくには、この辺りの「論理性」「根拠性」を意識した方が、よりリアルに経営者に伝わるはずです。
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