差別化した新MAS業務「KPI監査士」という仕事
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
最近、KPI経営とか、KPIマネジメントなど、KPIという言葉が人気です。
KPIとはKey Performance Indicatorの頭文字で、「重要業績指標」と訳されます。
管理会計の分野でも、KPIを取り入れる専門家も増えています。
何故、今、KPIなのでしょうか?
一番のポイントは、売上・利益という結果だけを追いかけても、目標達成が難しい時代だということです。
それより、その結果に直結する重要なプロセスを指標化し追いかける事で、結果的に売上・利益がついてくると考えるからです。
大事な事は、プロセス目標を達成する事という事でしょう。
正しいプロセスをすれば、自ずと正しい結果につながるという考え方です。
1、出てきた結果(売上・利益・経費)を指摘しても経営者は不満?
売上・利益は経営活動の総合的な結果です。
前月の売上・利益の実績から振り返り、反省し、次月以降に行動していくなら問題ありません。
しかし、多くの監査担当者は、出てきた結果だけを見て「ああだ、こうだ」と指摘するだけです。
結果が悪いこと位、改めて指摘されなくても、多くの経営者は分かっています。
だから、得意顔で「売上が前年比15%ダウンですね」「粗利率が5ポイント減少してますね」と指摘されても、ありがたくもなんともないのです。
経営者の本音は「分かっている事を指摘してもらう為に、顧問料を払っている訳ではない」と。
「もっと売上・利益結果につながる中身に対して、深入りして欲しい」と思っているのです。
でも、その部分をほとんどやってないのが、多くの会計事務所の実態です。
監査担当者は「そこまで深入りするのは自分たちのジャンルではない」と割り切っているのかもしれません。
だから「今後の生き残りに黄色信号」が灯っているのです。
2、会計事務所は「通常監査業務以上、コンサルタント未満」の指導が最適
会計事務所が付加価値を上げる為、ミニコンサルティングを勉強したり、人事コンサルティング分野に足を延ばしたり、いろいろ努力をされている事務所も増えてきました。
当社のSWOT分析スキル検定や経営承継戦略アドバイザー検定も会計事務所の方が多くいます。
しかし、現実的に「コンサルティング」見たいな事を、職員皆ができるか?と言えば、それはほとんど不可能です。
できたとしても、一部の幹部やスキルの高い職員だけでしょう。
でも、それでは数ある関与先の付加価値ニーズに事務所全体として答えられません。
そこで、「KPI監査」という手法を提案しているのです。
何故なら「KPI監査」は「通常監査以上コンサルタント未満」という、会計事務所らしい「数字を中心とした付加価値指導」だからです。
3、KPI監査士の仕事とは?
「KPI監査士」は、当社の商標登録の名称です。
「KPI監査士」は2022年以降の資格検定の中で、合格者に授与する民間資格です。
この資格認定を受ける検定を受講すれば、こんなスキルが手に入ります。
- SWOTクロス分析からKFS(重要成功要因)を導き出せる
- KFS(重要成功要因)から、KPIを導き出せる
- SWOT分析、KFS、KPIを導く、ヒアリング技術、文字化技術が習得できる
- 経営計画書の中身や是非の監査ができる
- 継続的な経営会議でKPIのモニタリングができる
- KPIにつながる行動具体策の(アクションプラン)の監査ができる
これらの能力こそ、会計事務所に必須の能力です.
現在この検定に向けて、マニュアル化と動画教材を鋭意製作中です。
4、KPIを出す為のKSFの出し方 ①SWOT分析から割り出す
KPI(重要業績指標)を関与先と一緒に作りだし、その進捗状況を月次でモニタリングしていきます。
KSF(重要成功要因)は、いくつかのアプローチがあります。
先ずは、SWOTクロス分析により、「可能性のある機会」と「現在使える強み・細かい経営資源の一部」を掛け合わせた「固有の積極戦略」がそのままKSFになるケースです。
だから「SWOT分析」を学んだ会計事務所はKSFを出しやすくなるのです。
SWOT分析の詳細はここでは、省略しますが、一般に出回っている表面的なSWOT分析ではありません。
弊社が主催している「SWOT分析スキル検定」や「zoomオンラインセミナー」「zoomでSWOT分析ロープレ」で実践している深堀した内容にしないと意味がありません。
KSFにはリアリティが求められるからです。
5、KPIを出す為のKSFの出し方②「業績の公式」から割り出す
小売業の売上は一般に「来店客数×顧客単価」と呼ばれます。
「来店客数」は、新規客+既存客のリピート来店、
「新規客数」は、紹介件数+広告のレスポンス件数+DM+SNSなどの公式になります。
どの企業にも「売上に直結する公式」があります。
その公式で一番成果を出しやすいもので具体策を出し、それを数値目標化すれば、KPIになります。
利益に対しても同じです。
粗利額、粗利率を上げる公式が、各社なりにあるはずです。
●外注費と売上のバランスとか、
●主要作業の生産効率(リードタイムやロス、手直し率等)等、
これもその業態に沿って、特定項目(KSF)を追いかければ、その結果として、粗利率や粗利額が改善します。
それを見つけて、モニタリングしていくのです。
経費に関しても分かりやすいのが「広告費と見込み客リストとの関係」や「営業の販促費と売上との関係」などもあげられます。
「広告費と見込み客リストとの関係」では、1件当たりの見込み客リストを収集するために、いくらのSNS広告費が妥当か、それに対してどんな広告や中身を作り変えるかなどもKSFから来たKPIと言えるのです。
「営業の販促費と売上との関係」では、かけた販促費に対して、ここ3か月の売上基準を決める事で、効果がある対策を深く議論することができます。
6、KPI監査なら、アクションプラン監査が容易になる
売上・利益を何回も指摘したとしても、経営者から出てくる具体策は、場当たりやその時々の出来事や感覚によってバラバラです。
毎回、違う具体策はモニタリングしにくいものです。
しかし、KPI監査の場合、安定して「毎回チェックする行動プロセス指標」が決まっているので、その場でコロコロ変わらないチェックが可能です。
もし、毎回変わるアクションプランや具体策をいくら聞いても、いくらチェックしても継続的な行動ではないので、成果につながりにくいですね。
だから当初決めたKPIを愚直にチェックし、そのKPI目標につなげる為に行動計画を逐次確認していけば、ある程度の時間の経過とともに「業績改善」が進んでいくのです。
7、KPI監査は会計事務所の「新MAS業務」
このように「KPI監査」は、中小企業の業績改善に直結したMAS業務です。
これまでの総花的なMAS業務やKGI一辺倒のMAS業務では「経営者は満足しないし、おカネを払わない」ということは嫌というほど分かっているはずです。
今後は「KPI監査士検定」又は「KPI監査セミナー」などを開催して、KPI監査やKPIコンサルティングの普及に努めていこうかなと思っています。
これは会計事務所にとって圧倒的な差別化になるばかりか、監査担当者のリスキリングやキャリアアップにも直結するものになります。
会計事務所の付加価値提案の在り方の一つとして取り組んだ方がよさそうです。
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