このコンテンツは私が以前執筆した「医療法人・社会福祉法人の経営改革・組織改革実例マニュアル」から抜粋したものです。組織力が発揮できてない事業所はすべからく、ルールの曖昧さが際立っています。そこで、「内務規定」を作成することをお勧めしています。
内規の必要性の2回目のコンテンツです。
③ 悪い事、問題を起こした事は明確にケジメをつける
我々日本人はその民族の歴史において、「村社会」の中で互いを尊重しながら共に生きてきた。
言いたい事もオブラードに包んで話し、問題だと思っても、「村八分」にされる事を嫌がり、多勢に追従したり、見てみぬふりをする事で組織バランスを取る事は多々あった。
外国でも大なり小なりある事だが、我々はそれが諸外国に比べれば多いように感じられる。
特に組織の管理では、誰でも「信賞」を与えるのは好きであり、予算と内容の許す限り積極的に行いたいものである。
だが「必罰」はどうか?
多くの責任者クラスは、その必要性を分かっていても、その個人に与える影響やチームワークを考えて遅疑逡巡するケースは多い。
組織の大義名分よりも、必罰を下した責任者が嫌われたり、指示を聞かなくなるのではと言う不安から、思い切って「必罰」を出せない場合が多いのである。
しかし、これからはそういう曖昧な態度で組織の維持ができるだろうか?
問題に蓋をして曖昧な解決策で、事故やミスを防ぎ、スピード経営、低コスト経営に対処できるだろうか? 必罰を明確にできないと言う事は、ケジメをつける事ができないのだから、極言すれば職場での緊張感もなくなり、お互いの傷をなめあう仲良し集団と化してしまう事を意味する。
そういう病院や施設が「減収対応経営」を推進して、品質向上による利用者患者満足度の上昇とコスト削減と言う相反する取り組みの成果を出すとは到底思えない。
恐らく、そういう病院や施設は、「必罰」ができないのだから、「信賞」も曖昧になっているのだろう。良くも悪くも曖昧な管理や評価では人材育成や技術品質のレベルアップにはならないのは明らかである。
ここで言うケジメとは「罰則を強化し厳正に運用せよ。問題のある職員は躊躇せず、ケジメをつけさせろ」と言う一方的な解釈を言っている訳ではない。
むしろ緊張感と責任感を各自に持たせる為にも、必要なことだと考えているのである。
それはそういうケジメ策がはっきりしている方が、職場にメリハリが生まれ、適度な緊張感を作るということを意味しているのである。
緊張感がケアレスミスを防ぐのは明らかな事である。
話は飛ぶが、このケジメの重要性を示す逸話が中国の兵法書にある。
春秋戦国時代の中国の兵法書である「孫子」を書いたとされる孫武は、ある国の皇帝から、兵法指南の役を頂いた。
丁度他国と一戦構えねばならない時代であり、宮中の女性と言えども、槍を持ち、いざと言う時は戦う必要があると皇帝も判断した。
そこで、孫武に「宮中の女官に槍を訓練してくれ」と依頼した。 孫武は槍の使い方を丁寧に教えて、訓練するが、女官はクスクス笑いながら、真剣に取り組もうとしない。
再度、号令を掛けてもやはり、笑いながら適当にしている。
そこで、孫武は「今までは私の指導方法が良くなかったのであろう」と言い、また再度号令をかけたが、相変わらず女官は笑うだけである。 孫武はここでこう言った。
「今度号令をかけて真剣に取り組まねば、責任者である皇帝の側室に責任を取ってもらい、斬る。良いな」と言って、再び号令をかけた。
するとまたしても笑いながら槍を真剣に訓練しない。
すると孫武は「先ほど、側室に責任を取ってもらうと言ったはずだ。なのに、諸君らは言うことを聞かない。それでは責任を取ってもらう」と言って、皇帝が止めるのも間に合わず、彼女を斬ってしまった。
しかし、その後の槍の訓練では全員が真剣に行われるようになった。と言う故事である。
歴史的には極端な例だが、ケジメを予め伝えるとは、そういう意味合いではなかろうか。
④ 起こりうるリスクに対して予め、伏線を出しておく
病院や施設にはさまざまなリスクが内在している。事故やミスと言うリスク以外に労務管理上も多くのリスクがある。
例えば、昨年の冬の事だが、インフルエンザが流行し、多くの施設職員が感染した事があった。
業務上、少しでも感染の疑わしい職員は、施設入居者や利用者に感染させてはならないため、休養を取り、完治してから業務に就くように指示していた。
これは当然の事であり、その対処には問題ないのだが、多くの職員が欠勤すれば、当然手が回らなくなり業務に支障を来たす事になる。
その場合は大至急に部門間協力で人員配置を行い対応しなければならない。
しかし、施設介護もデイサービス双方とも余裕のあるシフトを組めない状態では協力すると言っても、自部門の業務を犠牲にしてまでは行いたくないと言う思想があった。
そこで、人員調整がうまくいかず、施設介護の特定職員は不眠不休の業務をこなし、何とか凌いだ。
だが後日になって、その協力姿勢のなさに怒りを感じた施設介護職員は、送迎なのでデイサービスへ協力するのが通常なのに、いろいろ理由をつけて拒否してしまった。
この場合、困るのは利用者であり、法人全体のイメージダウンである。
普段からデイサービスと施設介護の要員の乗り入れは簡単ではないのだが、先の件を通じてちょっと険悪なムードとなり、セクショナリズムが更に進行する雲行きであった。
幸い、経営者を交えて、今後はそういう事が起こらないように話がついたが、何故、このような状況になったのだろうか?
そこでは、これを教訓に「部門間協力体制」に関する「決め事」を明確にし、経営者決済で優先度を決めるようにした。
その後は似たような欠勤が多数起こる事があっても、粛々と部門間協力を行うようになっている。
このように、リスクは突然起こるものだが、病院内にも施設内にも類似の事例が多数存在しているはすである。それを予め決める事はリスクマネジメント上も重要な事である。
もう一つの事例として、組織内の労務管理上のリスクがある。
ある施設での話しである。 重要な業務を担い、ポジションもそれなりに高いレベルにある職員が、本人の都合で突然退職したいといってきた。
それも1週間後には退職したいと言うのである。 恐らく、もう既にどこかに就職を決めての行動であろう事は容易に想像がついた。
が ポジションと業務から考えるとあまりに唐突で、自分勝手だといわざる得なかった。
引継ぎも、部下の役割分担も事前教育も全くできてないのである。
この職員は多くの傷跡を残して、転職してしまったが、残された職員はたまったものではない。
今までこの施設では「退職意志は1ヶ月前までに伝え、了承してもらい、その後的確な手続きをする事がルールである」と明確にしてなかった。
また、そのような辞め方をしても、退職金は規定通り払われ、何の制裁も与える事ができない。
そこでこの施設では、不文律の「決まり事」として、「退職前のルール」を明確に規定し、ルール通りしない場合は、退職金の支払い延期減額、差し止め、又は懲戒解雇もありうると言うルールを公開した。
普通に正しい辞め方をしようと思う職員にはあまり関係ない事だが、辞め方の卑しい職員には、それなりの牽制機能にはなっているようである。
もし、今後似たような辞め方をする職員がいれば、実際に適用するかどうかは別として、「前にも決めていたように、それは認められない行為だからね」と言えるのである。
それと今後重要になってくるのが、先述のように「減収対応経営」が必要だと言う事は、固定費の削減、合理化、職員給与の減額も視野に入ると言う事である。
その場合にも、この内規は事前の方針と言う事になり、職員にも「ある程度予測はついていた」と思われる事にもなる。
ある施設では給食部門を自前からアウトソーシングに切り替えようと方針を検討していた。
給食部門の職員、パート数名は、その施設からは必要でなくなるのである。
事前に内規では、合理化の一環でそういう事もありうると言う項目があったから、職員は覚悟していたようであった。
しかし、それでは忍びないので、職員には一旦は退職してもらうが、アウトソーシングの会社にそのまま受け入れを依頼した所、快諾してくれた。
給与は下がったが、職場は同じなので、職員は今まで通り勤務できる。
これも、内規に予めうたい、給食部門の職員にもその可能性を言っていたから、大きなトラブルなく移行ができたのである。
誤解があってはいけないが、事前に「内規」に記してさえいれば、問題なく進むかと言うと現実はそう甘くはない。何故なら、先ほどの給食部門のアウトソーシングを可能にした施設は、経営者と職員とのコミュニケーションが日ごろからよく、信頼関係があったからできたのである。
この施設では特に情報公開を進め、相互信頼関係づくりに努めていると言う過程があったからできたが、日ごろの情報公開も無く経営者との信頼関係もなければ、「内規で以前、説明したから、断行する」と言っても簡単には通用しないのではなかろうか。
ほとんどの病院や施設には、就業規則や服務規律があるはずです。ただ、実際に現場で起こる数々の課題に対して、一般論的な規定で十分かと言えば、おそらく疑問符が付くのが実情だと思います。よく言われるのが、「どこかの専門家に依頼したが一般論のひな形で作成されており、その組織固有の内容が網羅されておらず、使えなかった」と言う声です。現実的には、就業規則だけでは、どんなに具体的に書いても限界があるのも事実です。
前号から引き続き、就業規則の補完的意味合いの「内務規定」で掲載して頂きたい箇所をご紹介します。
前回までは
「異動命令への順守義務」
「セクハラ・パワハラへの処分経緯と窓口の明確化」
「マイカー通勤に関する取り決め」
「就業時間に関する基準」
「時間外労働に関する基準」
「出退勤の基準」
「欠勤について」
「出張者の勤務時間」
「有給休暇の取り方」
「休職に関する取り決め」
「退職に関する取り決め」
ご紹介しました。
今回は、後からいろいろ問題になる「懲戒」「解雇」に関するルールについて、内務規定案をご紹介します。
一般的に「就業規則」では、下記のような事由に該当する場合と規定されている施設が多いようです。
- 精神または身体の障害により、業務に耐えられないと認められるとき、または完全な労務の提供ができないとき
- 勤務成績または勤務態度が著しく不良で、改善の見込みがないとき
- 勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の業務能率全般が不良で、改善の見込みがないとき
- 特定の地位、職種または一定の能力の発揮を条件として雇入れられた者で、その能力および適格性が欠けると認められるとき
- 事業の縮小または廃止、その他事業の運営上やむを得ない事情により、従業員の減員が必要になったとき
- 懲戒解雇に該当する事由があるとき
- 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となったとき、あるいは雇用を維持することができなくなったとき
- その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき
ただ、『解雇』は従業員の生活保障権を奪う事になり、労働法上も労働者を擁護する立場に立っています。従って、どういう場合が「解雇」相当の懲戒事由かを明確にしておく必要があります。ある程度、規定が進んだ施設では、懲戒解雇の該当事由の説明として、下記のような表記をしています。
従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とします。ただし、情状により諭旨退職、降格、出勤停止、減給処分とすることがあります。
- 正当な理由がなく無断欠勤をした場合に、その無断欠勤をした日以前6ヶ月間の間に連続・断続を問わず7日以上の無断欠勤があり、その間出勤の督促をしても応じないとき
- 重要な経歴を偽り、採用されたとき
- 刑事事件で有罪の判決を受け、社名を著しく汚し信用を失墜させたとき
- 故意または重大な過失により、災害または営業上の事故を発生させ、法人に重大な損害を与えたとき
- 法人の許可を受けずに在職のまま他の事業の経営に参加したり、または他の法人に雇用されたり、あるいは、自ら事業を営むとき
- 職務上の地位を利用して第三者から報酬を受け、もしくはもてなしを受けるなど、自己の利益を図ったとき
- 就業規則および法人が定める規定に違反した場合で、その事案が重大なとき
- 前条の規定により、譴責、減給、出勤停止、および降格の処分を受けたにもかかわらず、なお改善の見込みがないとき
- 暴行、脅迫その他不法行為をして著しく社内の秩序を乱したとき
- 職務上知り得た法人の秘密事項(顧客データなどを含む)を第三者に漏らし、または漏らそうとしたとき
- 法人のデータを許可なく持ち出し、あるいは持ち出そうとしたとき
- 法人の所有物を私用に供し、または盗んだとき
- 法人のお金を不正に横領したとき、または横領しようとしたとき(それが経費精算などで小額である場合も含む)
- その他前各号に準ずる程度の行為があったとき
今までよりも少し踏み込んだ表現をしています。しかし、私共の経験から言えば、医療福祉の従事者には、こういう一般概念論よりも、具体例を挙げた事例を示した方が、内規には良いかも知れません。 以前にもご紹介しましたが、例えば、下記はある病院で作成したものです。これは今まであったケースを紹介し、それが懲罰行為になる事を明記したものです。
- 業務中、患者及び職員又はサービスの利用者に対して、副業行為であるネットワークビジネスや通信販売の強要と誤解される行為をした場合は該当する
- 業務中 患者及び職員又はサービスの利用者に宗教等の普及と誤解される執拗な案内をし、本人の迷惑をかけたと判断された場合は該当する
- 物品・機材が職員の不注意により損壊・紛失した場合は必ず申告しなければならない(その状況と不注意度、頻度、実被害に応じて一部費用の負担を伴う事がある)
- 業務に関係ない電話で、イチイチ業務に支障を来たす外電(私的理由等)が改善されない場合は該当する(防げない営業電話以外で)
- 業務中(休憩時間以外)に喫煙者が喫煙場所に移動して喫煙する時、業務に支障を来たすほど何回もあった場合や喫煙時間が長い場合で、幾度か注意されても、改善されてないと判断された時は該当する
- 無断遅刻、無断欠勤による業務へ支障を来たすと判断された場合は該当する
- 同じ人の、同じような原因・ケースでの不注意によるミス、トラブルが連続して発生した場合は該当する
- 病院へ報告せず患者・利用者からの金品・供用を勝手に受け隠匿した場合は該当する
- 飲酒運転による免停、取り消し等の処分があった場合、その運転免許が業務上、必要かどうかを問わず、その状況により懲戒解雇もありうる
- 度重なる交通違反により2ヶ月免停以上の罰則で車両運転ができず、業務上他人に迷惑をかける場合は該当する
- 院内・訪問先で理由の如何に関係なく暴力、又は暴力と誤解される行為、言葉の暴力を使用したり、又はそれに相当する行為(虐待)をしたと判断された場合は、その状況により懲戒解雇もありうる
- セクシャルハラスメント・パワーハラスメント及びそれと誤解される行為をした場合(セクハラはセクハラ委員会で処分決定)は該当する
- 重要な報告を遅延したり、虚偽報告したり又は報告がなく、問題になったと判断された場合は該当する
- 業務中の自己の不注意による人身、物損交通事故を起こした場合は該当する
- 当事者が注意していても、法人の車両損傷し、その報告義務を怠った場合は該当する
- 刑事事件につながる法律違反を個人で犯した場合(警察による処理を必要とした場合)、その状況により懲戒解雇もあり得る
- 公平な理由で始末書を要求したにも関わらず提出しない場合、所定の手続きを経て、賞罰委員会で処分が決定される
- 故意に患者、利用者のカルテからの情報持ち出しをした場合は、その状況により懲戒解雇もあり得る(別途 個人情報保護規程に準じる)
- 業務上知りえた患者・利用者情報及び、院内の機密情報に関して「守秘義務」を果たさなかった場合は、該当する
- 幾度となく注意をしたにも関わらず、携帯電話でのマナー違反がなくならない場合は該当する
- 法人内で男女間のトラブルや風紀の乱れと判断される行為があり、組織管理上、支障をきたすと判断された場合は該当する
- 学歴詐称、経歴詐称が発覚した場合は、賞罰委員会より処分が決定される。その状況と影響により、懲戒解雇もあり得る
- 職務上の地位を利用して、私利を図った場合又はそのように誤解された場合は、その状況により、懲戒解雇もありうる
- 業務中に飲酒をした場合は該当する
- 職員の不注意による 訓練中の転倒等で、患者が骨折等で手術が必要になった場合は該当する
- 職員の不注意による データ資料類の紛失で情報漏えいの可能性がある場合は該当する
- 他人を教唆して、違法行為をさせた場合は該当する
- 資格者として、法令にある違反行為をした場合は、該当する
- その他、管理者の進言により賞罰委員会が罰則対象と判断した場合
以上のように従業員から見て「何をすれば懲戒行為なのか」が」ある程度分かる表記は、管理上必要な職員教育かも知れません。この3回シリーズで紹介した「内務規定」は決して万能でもないし、かと言って職員を縛り付けるツールでもありません。この職場で気持ちよく働くために、常識を文書化しただけのものです。しかし、入職時に説明し、管理職にも定期的学習の機会を与える事で、マネジメントは少しはしやすくなるようです。
前号から引き続き、就業規則の補完的意味合いの「内務規定」で掲載して頂きたい箇所をご紹介します。この内規は、施設独自のハウスルールが主体になるので、労働法規上の課題を社労士を入れて、作成する事をお勧めします。
前回は
「異動命令への順守義務」
「セクハラ・パワハラへの処分経緯と窓口の明確化」
「マイカー通勤に関する取り決め」
「就業時間に関する基準」
「時間外労働に関する基準」
「出退勤の基準」
「欠勤について」
ご紹介しました。
今回は、
8、出張者の勤務時間について
「出張する場合は、勤務時間を正確に把握することが難しいため、通常の勤務時間を勤務したものとみなし、次の日のため休日に出張先に移動する場合、移動するだけで勤務がない場合は、勤務時間とは扱わない」旨を明記します。
また、「出張先での業務が明らかに所定労働時間を超える場合は、上司に申し出て、時間外勤務時間の取り扱いを受ける事と、直行・直帰については、上司に報告し、許可を得る事」も注意書きにします。
9、有給休暇の取り方について
「年次有給休暇を申請する場合は、所定の書式を使って、1週間前に届出」と言う事前の申請をベースにする事を明記します。
また、「有給は、できるだけ本人の請求があった日に与えるようにするが、業務の都合によりどうしてもその従業員がいなければ業務に支障が出るような場合は、会社は別の日に年次有給休暇を取るように命令することがある」旨をしっかり伝えます。
「休暇の取得により、お客様や職場の仲間に迷惑をかけないように、業務を前倒ししたり、休暇中にお客様からの問い合わせに対応できるように、上司や同僚に引き継ぎ」等も基本姿勢と記述します。
「3日以上連続して年次有給休暇を取得するときは、職場の上司や同僚の協力体制をとる為に、休暇日予定日の2週間以上前に所属長に申し出る事」も社内体制を考慮すれば必要なルールと言えます。
10、休職に関する取り決め
今後増える精神疾患や体調不良の休職には最低限の規制が必要です。
先ず、
「休職期間は無休である事」
「休職は会社が指定する診療機関を使い、1カ月ごとの報告を求める事」
「休職期間は勤続年数に加算されない事」
「同一または類似の事由による休職は1回のみ」
「休職期間が終わるまでに休職事由が消滅しない場合は自然退職」 等を明記します。
11、退職に関する取り決め
退職の定義を決め、その日を退職の日とし、従業員としての身分を失う事を明記します。
(1)死亡したとき
(2)会社に届出のない欠勤が所定の休日も含め連続14日間におよんだとき
(3)自己の都合により退職を願い出て、承認されたとき
(4)定年に達したとき
(5)期間を定めて雇用した者の雇用期間が満了したとき
(6)休職期間が満了しても復職できないとき
(7)会社の役員に就任したとき
(8)会社が行う退職勧奨を受け入れたとき
(9)関連会社に転籍したとき
(10)その他、退職につき労使双方合意したとき 等です。
また
「退職を希望するときは、少なくとも30日前までに、所属長に退職願を提出」(これはローカルルールです)
「退職願を提出してから実際の退職日の間は、誠実に勤務し、業務の引き継ぎを完了する事」
「退職願を提出してから実際の退職日の間に年次有給休暇を取得する場合は、引き継ぎを充分に行う事」
「充分に引き継ぎが行われることなく年次有給休暇を取得した場合は、懲戒処分の対象になる事」
「退職時までに会社から貸与された健康保険証、文房具、制服、備品などを返却」
「業務の都合で、退職後も連絡を取り可能性があるので。退職後の連絡先を伝える事」等を明記します。
12、解雇に関するルール
解雇についての定義を詳細に決めます。
事例としては、
(1) 精神または身体の障害により、業務遂行が難しいと認められるとき、または完全な労務の提供ができないと判断された時
(2) 勤務成績(人事考課結果含む)または勤務態度が著しく不良又は意欲不足で、再三の注意にもかかわらず改善の見込みがないとき
(3) 社員仲間への精神的な危害、又はその人の影響による悪影響(仲間の退職事由)が発覚し、注意指導にも関わらず再発した場合
(4) 特定の地位(年収条件として)、職種または一定の能力の発揮を条件として雇用さられた者で、その能力貢献および適格性が欠けると認められるとき
(5) 事業の縮小または廃止、その他事業の運営上やむを得ない事情(業績悪化)により、従業員の削減減員が必要になったとき
(6) 懲戒解雇に該当する事由があるとき
(7) 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となったとき、あるいは雇用を維持することができなくなったとき (8)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき 等です。
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