④就業規則を補完する「内務規定」の内容(8~12)
前号から引き続き、就業規則の補完的意味合いの「内務規定」で掲載して頂きたい箇所をご紹介します。この内規は、施設独自のハウスルールが主体になるので、労働法規上の課題を社労士を入れて、作成する事をお勧めします。
前回は
「異動命令への順守義務」
「セクハラ・パワハラへの処分経緯と窓口の明確化」
「マイカー通勤に関する取り決め」
「就業時間に関する基準」
「時間外労働に関する基準」
「出退勤の基準」
「欠勤について」
ご紹介しました。
今回は、
8、出張者の勤務時間について
「出張する場合は、勤務時間を正確に把握することが難しいため、通常の勤務時間を勤務したものとみなし、次の日のため休日に出張先に移動する場合、移動するだけで勤務がない場合は、勤務時間とは扱わない」旨を明記します。
また、「出張先での業務が明らかに所定労働時間を超える場合は、上司に申し出て、時間外勤務時間の取り扱いを受ける事と、直行・直帰については、上司に報告し、許可を得る事」も注意書きにします。
9、有給休暇の取り方について
「年次有給休暇を申請する場合は、所定の書式を使って、1週間前に届出」と言う事前の申請をベースにする事を明記します。
また、「有給は、できるだけ本人の請求があった日に与えるようにするが、業務の都合によりどうしてもその従業員がいなければ業務に支障が出るような場合は、会社は別の日に年次有給休暇を取るように命令することがある」旨をしっかり伝えます。
「休暇の取得により、お客様や職場の仲間に迷惑をかけないように、業務を前倒ししたり、休暇中にお客様からの問い合わせに対応できるように、上司や同僚に引き継ぎ」等も基本姿勢と記述します。
「3日以上連続して年次有給休暇を取得するときは、職場の上司や同僚の協力体制をとる為に、休暇日予定日の2週間以上前に所属長に申し出る事」も社内体制を考慮すれば必要なルールと言えます。
10、休職に関する取り決め
今後増える精神疾患や体調不良の休職には最低限の規制が必要です。
先ず、
「休職期間は無休である事」
「休職は会社が指定する診療機関を使い、1カ月ごとの報告を求める事」
「休職期間は勤続年数に加算されない事」
「同一または類似の事由による休職は1回のみ」
「休職期間が終わるまでに休職事由が消滅しない場合は自然退職」 等を明記します。
11、退職に関する取り決め
退職の定義を決め、その日を退職の日とし、従業員としての身分を失う事を明記します。
(1)死亡したとき
(2)会社に届出のない欠勤が所定の休日も含め連続14日間におよんだとき
(3)自己の都合により退職を願い出て、承認されたとき
(4)定年に達したとき
(5)期間を定めて雇用した者の雇用期間が満了したとき
(6)休職期間が満了しても復職できないとき
(7)会社の役員に就任したとき
(8)会社が行う退職勧奨を受け入れたとき
(9)関連会社に転籍したとき
(10)その他、退職につき労使双方合意したとき 等です。
また
「退職を希望するときは、少なくとも30日前までに、所属長に退職願を提出」(これはローカルルールです)
「退職願を提出してから実際の退職日の間は、誠実に勤務し、業務の引き継ぎを完了する事」
「退職願を提出してから実際の退職日の間に年次有給休暇を取得する場合は、引き継ぎを充分に行う事」
「充分に引き継ぎが行われることなく年次有給休暇を取得した場合は、懲戒処分の対象になる事」
「退職時までに会社から貸与された健康保険証、文房具、制服、備品などを返却」
「業務の都合で、退職後も連絡を取り可能性があるので。退職後の連絡先を伝える事」等を明記します。
12、解雇に関するルール
解雇についての定義を詳細に決めます。
事例としては、
(1) 精神または身体の障害により、業務遂行が難しいと認められるとき、または完全な労務の提供ができないと判断された時
(2) 勤務成績(人事考課結果含む)または勤務態度が著しく不良又は意欲不足で、再三の注意にもかかわらず改善の見込みがないとき
(3) 社員仲間への精神的な危害、又はその人の影響による悪影響(仲間の退職事由)が発覚し、注意指導にも関わらず再発した場合
(4) 特定の地位(年収条件として)、職種または一定の能力の発揮を条件として雇用さられた者で、その能力貢献および適格性が欠けると認められるとき
(5) 事業の縮小または廃止、その他事業の運営上やむを得ない事情(業績悪化)により、従業員の削減減員が必要になったとき
(6) 懲戒解雇に該当する事由があるとき
(7) 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となったとき、あるいは雇用を維持することができなくなったとき (8)その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき 等です。
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