④カイゼン活動の定義と進め方
親カテゴリ: カイゼン活動支援コンサルティング
カイゼン活動成功ノウハウ
評価
(1)
「カイゼン活動」の定義
- 「カイゼン」とは、方法ややり方を変える事
- 仕事そのものを変える事や、仕事の必要性を根本から検討する事ではない。
- 「カイゼン」をする事で、仕事の目的や目標が少しでも近づく事が大事。
- 「カイゼン」とは、「前向きな建設的な手抜き」である。
- カイゼンの内容は、時々の情勢で変化し、常に固定化されるものではない。
- 「カイゼン」とは、「大きく変える事」ではなく、「小さく変える事」である
- 「大きく変える事」・・・組織改造、設備投資、業務の抜本見直し、事業再構築等
- 「小さく変える事」・・・カンタンに楽に変える事、少し変える、一寸変える、ちょっとカイゼンする事、
- 「その程度のカイゼンなら誰でもできる」と言うカイゼンこそ、真のカイゼンである。
- カイゼンは考えるのではなく、実施する事に意味がある。
- 「カイゼン」とは、現実的制約との戦いであり、「タラ」・「レバ」を考えない事である
- 今の人・物・予算・時間・規制と言う、制約の中でやるのが「カイゼン」である
- 従って、「できない事はしない」のが長続きの秘訣である。
着想 (問題解決の方法の選択)
1) 「着想」とは「問題解決のアイデアだし」
着眼で気づいた問題に対して、どういうカイゼン方法があるか、アイデアを出し、その時点で、最適と思われる手段・方法を決める事
2) 「着想」のキーワード
No | 着想のキーワード | 着想の考え方のヒント |
1 | やめる、減らす (廃止、排除、削減、低減) | 「止める」のは「始める」より簡単な筈。止めても大丈夫なもの、代用代替がきくもの、やってもやらなくても結果に影響がないもの。 |
2 | カエル(変、代、換、替)・・・・・・・順序、位置、材質、場所、道具など | 一寸、場所や順番をカエルだけで、すごく楽になったり、時間が削減されたりする。 |
3 | あらかじめ、前もって、伏線、仕掛け(事前対策、予知予防対策) | 事前にまとめてしておけば、大きなカイゼンになることは結構多い。 |
4 | 同時化、同期化(ついでに、割り込み、後回し、棚上げ) | どうせやるなら、一緒に・ついでに誰かがすれば、他の誰かは、違う作業ができる。 |
5 | 測定しない・読み取らない・・・・判定する(限度マーク、範囲表示等) | コンビニのドアには身長表示マークがある。強盗の身長が計らずに一目で分かる為。 |
6 | 固定にしない・・・・可動させる(拡大⇔縮小/上⇔下/内⇔外) | 固定化せずに可動化する事で、もっと便利になる物もある。 |
7 | 視覚化、眼で見る管理(色分け、目印、表示、標識) | 場所にラインを引いたり、棚に色のラベルを貼ったり、とにかく目立つ色違いなら、見落とさない。 |
8 | 一目で、一発で、一目瞭然、強調、見本(記入見本) | 大きく目立つ事、書き方の見本があらかじめあったり、明らかに分かる事。 |
9 | 目立つ、区別、区切り、差別、対象化、目安、記号、番号 | 似たような表示なら番号記号をつけたり、分類したり、間違わない工夫がある事。 |
10 | 早見表、一覧化、地図化 | どこに何が、誰が等、見やすく準備されている工夫がある事。 |
11 | チャート化、グラフ化、カード化 | 言葉では分かりにくい物を、目で見て分かる工夫の一例。 |
12 | 分散(分ける)⇔集中(まとめる) | 分けたほうが効率的だったり、逆にまとめた方が効率的な事。 |
13 | 共通化、モジュール化、パターン化 | 雛形を作成したり、物事を統一化する事。 |
14 | 平行(同時進行)⇔直列(順次進行) | 同時進行が早いケース、順次進行が早いケースをそれぞれ検討する。 |
15 | 例外管理、例外対応 | 何でもパターン化標準化せず、例外管理の方がやりやすい事。 |
16 | 立体利用、空間利用 | 横置きすれば場所の限界があるが、縦置きすれば、もっと有効活用できる事。 |
着手 (とりあえずやってみる事)
- 着想が決まったら、完璧を求めず「とりあえずやってみる」事が大事
- 完璧や完全を求め過ぎると、なかなか行動に移れない
- ダメで元々の感覚で、いつでも軌道修正できることが肝要
- 着想のキーワード
- とりあえず(分割化、細分化)、さしあたり、当面は、当分は
- 部分なら何とかなる(部分着手)、一部を変える、片方を変える
- やってダメならまたカイゼン、それでもダメならまたカイゼン
- 出来る事から、出来る所から、出来るところまで
- 出来ない事は後回し、難しい事は後回し
- 要するに、とりあえず(目的・手段/戦略・戦術/創意・工夫)
※出展:日本HR協会「カイゼン5Sの徹底」を参考に加工編集
カイゼンのアウトプットと組織的なカイゼン推進
毎月1回の「カイゼン報告書」提出
(1) カイゼン推進委員による、カイゼン報告書のとりまとめから提出までの流れ
毎月1回の「カイゼン推進委員」を集めた「カイゼン報告会」と「カイゼン勉強会」実施
- 「カイゼン報告書」のデータ提出と管理の仕方
- 「カイゼン報告書」のデータは各委員が各部門でUSBメモリー等に保存し、提出後はサーバーに保存(法人の情報管理規定に合わせる)
- 各部署から出されたカイゼンを、全法人の部門が見られる状態にする(イントラネット又は、カイゼン報告書を部署数の冊子にして配布)
- 定例カイゼン報告会(会議)での発表のさせ方と質疑応答の仕方
- カイゼン報告会は指導員(コンサルタントや会計事務所社員等の外部スタッフ)や事務部の事務局が司会をして、議事を進行する。
- 毎月の「定例カイゼン報告会」は、カイゼン委員のみが参加し、今月のカイゼン報告書をプロジェクターに映しながら説明する(その時のパソコンは事務局のものを使用)
- 説明はフォームに沿って、次の順番で発表してもらう。
- 提案名、提案者、実行者氏名
- カイゼン前コメントと写真の説明
- カイゼン後のコメントと写真の説明
- カイゼン後の効果
- 今後のテーマ
- 1つの説明が終われば、他の参加者に「このカイゼンについて何か質問やアドバイスはないか」を事務局又は指導員(外部スタッフ)が問い尋ねる。
- 次に事務局または指導員(外部スタッフ)は、1つ1つのカイゼン報告書の発表後、「このカイゼンを自部門で活かそうしたら、どんな事が考えられか」と皆に一様に聞く。(返答がなければ、それ以上の時間は使わない)
- カイゼン勉強会の内容(カイゼン標語の説明と、テーマ別推進の仕方)
- カイゼン報告会ばかりを毎月実施しても、正直飽きられるので、カイゼン推進委員の参考になるような学習時間も、入れるようにする。
- 勉強会の内容は別紙に参照。
半期に1回、優秀カイゼンのセレクトと経営陣からの評価
- 部門別に自信のあるカイゼン報告書をピックアップする基準
- 手間がかからない割には、時間削減とコスト削減効果が大きかったかどうか
- ヒヤリハット対策から医療・介護品質の向上に役立ったかどうか
- 多少のコストは掛けたが、それ以上に大きなコストダウンになったかどうか
- 社員負担の軽減が時間的にも精神的にも楽になったかどうか
- 発想を転換し、「止めて・減らして」結果がでたかどうか
- 経営陣が評価する「チェックリスト」
- そのカイゼンはチームとして継続的に取り組んでいるか?
- そのカイゼンは大きなコスト効果があったか?
- そのカイゼンの結果、社員負担軽減が顕著だったか?
- 評価と平均値のつけ方
- 各部門から、「自部門が選ぶBEST5」を提出させる。
- それを、経営陣、幹部層が3点、2点、2点で判定する。
- その際、評価のバランスを保つ為に、「3点をつけるのは総カイゼン数の15%」「2点は30%」「1点は55%」と相対比率で判定する。
- その平均点から、最終BEST5を決定する。
- 下記は実際の判定一覧表の事例
半期に1回のカイゼン発表会の実施
- 社員による「カイゼン発表会」の目的
- 上記のように、経営陣による一方的な評価による表彰以外に、社員参加型による「公開評価」を行うケースがある。
- 公開評価は、各社員にそれぞれの価値観に任せて、公正明大な評価になる。
- 但し、事前に評価ポイントは説明し、評価し易いようにメモを配布しておく必要がある。
- 社員を集めた「カイゼン発表会」の開催段取り
- カイゼン発表会は、各部門から自信のあるカイゼン事例を2~3点を、プロジェクターに投影しながら、各部門のカイゼン推進委員が発表する。
- 発表時間は1カイゼン5分前後で、「カイゼン結果」がいかに良かったかをPRさせる場にする。
- 「カイゼン発表会」はお祭り気分で運営する
- 各部門の発表は各部門の個性に任せ、発表方法や個性的なPRを行い、「プレゼン大会」の様相で行うと、定例化しやすい。
優秀カイゼン発表チームへの表彰の仕方
- 表彰は面白おかしく、希望が持てるモノにする
- 表彰の種類は、各法人で面白おかしく、豊富なバリエーションを準備するとよい。
- 特に、カイゼン効果だけでなく、プレゼンのインパクトや、チームワーク、エコ等、カイゼン効果は大きくないが、狙える表彰を用意する事で、チームのお祭り気分を演出できる。
- 表彰と報酬との関係
- 報奨金は基本的にチームに配分させる。
- チームとして、そこそこ使える金額だと、1人当たり1000円以上が妥当。
- 多人数部門が優勝する場合もあるので、上限は5万円程度が妥当。
- 表彰と進め方の事例
平成○○年度の表彰バリエーション
理事長賞 | 理事長が、各賞の中から、特に優秀なカイゼンと判断した部門(年度方針との整合性と投票結果を参考にして)に対して表彰と賞金 | 5万円 |
特別賞 | 品質を落とさずに大きなコスト削減が出来た | 2万円 |
効率化を行い、時間削減が進んだ | ||
顧客が満足したで賞 | 顧客が喜び、感謝される提案であった | 1万円 |
顧客の事故防止と安心・安全につながった | ||
仲間が楽になったで賞 | カイゼンに知恵で、皆が時間的にも精神的にも負担が減った | 1万円 |
職場内の4S(整理・整頓・清潔・清掃)が進み環境カイゼンになった | ||
地球に優しかったで賞 | 環境配慮に具体的に貢献出来た | 1万円 |
省エネに具体的に貢献出来た | ||
プレゼンが上手 かったで賞 |
カイゼン発表の内容や写真、表現などが上手かった | 1万円 |
発表内容に工夫があり、インパクトがあった(エンターテイメント性があった) |
★ 表彰結果は、その年度の忘年会で表彰と賞金授与。
★ 今期より、毎年11月にカイゼン発表会を行い、忘年会で表彰するので、H22年だけは11月に上記表彰を目指して再度発表会を行う。
★ カイゼン発表会は、管理職は必ず参加し、一般社員も希望者は出席させて投票権を平等に与える。
★ カイゼン発表会では、そのカイゼンの発案や携わった社員が発表してもよい。
★ 投票は、自部門以外の部門に対して、該当表彰を記入する。
★ カイゼン発表会で発表するカイゼン内容は、自部門が狙いたい表彰に沿った項目を選んでもよい。
★ 理事長賞とその他の賞の2重表彰はない。(次点が繰り上がって部門賞になる)
カイゼン活動を円滑に進めるノウハウ
500円/件のカイゼン報奨金の効果と進め方
- 各部門の予算上限として5万円(100件/年)を持たせ、どんなカイゼンでも予算を使い切るまで1件につき、500円を支払う(所得にしないように注意する)
- 具体的に500円を求めて動く社員は、どの施設にもいる。しかし、「500円貰うから」と必要以上にカイゼンを出す社員はあまりいない。
- 500円を出す事で、写真撮りから、エクセルへの掲載等の「カイゼン報告書」作成業務は、カイゼン提案者にゆだねて、カイゼン推進委員はその業務はしないようにする。
- 500円を出す理由は、自分で一から十まで行う事を条件とする。
- 従って、そう増えないケースもある。
- ただ、デジカメ撮影やエクセル入力が苦手な人はペアを組んでカイゼンを出させるように指導し、500円を折半するようなことも許容すべきだろう。
毎月の「カイゼン推進委員」を支援する「カイゼン勉強会」の内容
- 毎月、カイゼン推進委員が集まって、先月のカイゼン事例を報告するだけなら、飽きてしまい、「イントラネットで掲載するだけで良いのでは?」と言う意見も出てくる。
- 実は、毎月、カイゼン推進委員が集まる事で、啓発を促し、継続するのがノウハウなのだが、イントラネットに掲載するだけだと、カイゼン報告書もカイゼン発表も表彰も2年と持たない場合が多い。
- そこで、毎月集まるカイゼン推進委員に対して、カイゼン事例報告の情報共有以外に、カイゼンに関する学習をしてもらう事で、推進委員が現場に学習結果をフィードバックさせることにする。
- カイゼン勉強会では、カイゼンの意識向上につながるようなものを選択する。
- 第1回目…カイゼン推進委員の紹介と、業務内容、チェックポイントの説明
- 第2回目…カイゼン意見を出させるコーチングのポイント
- 第3回目…カイゼンの考え方とチームづくり
- 第4回目…カイゼンにつながるWhyロジックツリーとHowロジックツリーの理解
- 第5回目…カイゼンの勘所、疑い3か条
- 第6回目…ムダな事をやめる・減らすポイント
- 第7回目…カイゼン効果の数値化・見える化
- 第8回目…作業時間短縮のポイント
- 第9回目…カイゼン意見の拾い上げ方
- 第10回目…カイゼンの基本と定石一覧
- 第11回目…カイゼンの本質(見える化・書類削減・時間削減・コスト削減)
カイゼン報告書のフォームの書き方を説明する
エクセルフォームの書き方を説明
- 写真データの添付方法説明(ウインドウズの場合)
- デジカメや携帯電話で撮影したデータをSDカードやUSBメモリーに保存する。
- それを、PC保存し、「カイゼン報告書」のエクセルデータを開いた後、PC画面の上部のツールバーの「挿入」を開いて、「図」を開く。
- 「図」から、一度保存した「画像ファイル」をクリックし、「開く」をクリックすると、エクセルに移るので、後は、大きさを調整して貼りつけする。
- カイゼン活動の基本パターン別 問題個所発見 【PDF】
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