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③SWOT分析が生み出す具体的なメリット

SWOT分析を正しい方法で、正しく導き出せば、多くのメリットがあります。その代表的なものが6点あります。

「経営改善計画書」の具体的な根拠となり、金融機関から評価される

 平成25年3月に終了した中小企業金融円滑化法以降、倒産を防止する為に金融機関から返済猶予のリスケジュールを受けている中小零細企業は多い。しかし、当初提出した根拠なき数値計画だけの経営改善計画書が予定通りの結果にならず、再提出を繰り返しているのが実態だ。「実現可能な抜本対策」の経営改善計画書を金融機関は求めているが、帳尻合わせのコスト削減や撤退縮小を中心としたリストラ型計画書が多く、実現可能な抜本対策の戦略や将来生き残る為の具体策がない場合が多い。

 SWOT分析なら、「機会」×「強み」=「積極戦略」の時間を割くため、将来収支改善につながる「未来が語れる計画書」の根拠の対策立案が可能である。金融機関も金融庁の指導のもと、あまりにいい加減な経営改善計画書を出す事業者や、具体性もなくただフォームに書いただけの計画書をだし、再生の見込のない企業には廃業転業を促す措置を取っていく可能性が高い。

客観分析することで「思い付き」や「独善」の戦略ではなく、合理性があるか確認できる

トップダウン型が多い中小零細企業では、経営者の思い付きと思い込みで戦略や投資が決まる事が多い。新戦略導入後のリスク分析やデメリット分析、顧客ニーズ分析、社内の活用できる経営資源の論理的な仮説検証をしていないので、「自社に都合のよい条件」を並べているケースがある。特に業績悪化が続いている企業の経営者の場合、「焦り」が強く、「自社に都合の良い条件」だけで、あたかも市場ニーズと思い込む傾向がある。「都合の良い機会」を並べ立て、「脅威」や「弱み」には目を伏せるのだ。
 SWOT分析なら「脅威分析」と「弱み分析」も行うので、「そんなに自社に都合のよい条件があるはずがない」と言う認識になりやすい。「思い付き」「独善」の防止にSWOT分析は有効なのである。

どの戦略項目に重点的に投資すべきか、逆に抑える投資や費用が分かる

人も資金も制約が厳しい中小零細企業で、複数の戦略や場面に資金投資や人員配置は不可能である。SWOT分析クロス分析から出た複数の「積極戦略」から、優先順位を決める事で「絞り込み」が可能となる。また、「致命傷回避・撤退縮小戦略」を検討することで、経営資源の分散を防ぎ、資金も人員も作業も「引き揚げる項目」が明確になる。

自社の戦略を深く議論することでSWOT分析の検討過程で、最高の後継者教育、幹部教育になる

 SWOT分析検討会では、事業の将来性や将来のリスク、限られた経営資源の分配先など、客観的な分析で、参加者が腹蔵なく議論できる。その議論の過程が、何よりも幹部教育になる姿を、今まで何度も見てきた。「業績が厳しいから、ただ頑張れ」とだけ言われても、なかなか尻に火がつかないものだ。しかし、こういう議論は論理的に考える事で、リアルに腑に落ちる事で、本当の危機感創出につながっていく。

企業の新しい将来像、ビジョンが生まれ、将来へのモチベーションが高まる

 SWOT分析で「積極戦略」が固有名詞で明確になれば、「こういうやり方をすれば、また復活できる」と納得度が高まる。幹部も従業員も、今後良くなる可能性が見えるなら、努力や我慢の甲斐も生まれる。SWOT分析は未来の可能性を見つけ出すツールでもある。

経営者自身の頭が、「何に特化すべきか」「どこから差別化するか」が明確になる

 中小零細企業の場合、前向きな経営者はいつも「あれやこれや、何かいい方法はないか」と頭を悩まし、気を回しているものだ。(だから、いろいろな事に手を出してヤケドをすることにもつながるのだが)SWOT分析で、頭の中を整理し、「重点集中項目」がハッキリすることは、経営者自身のモチベーションアップにも大いに貢献する。



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