嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

SWOT分析で鍛えられるヒアリング力

先日、長年コンサルティングしている会計事務所の7月度研修を行いました。何せ、もう21年やっていますから、結構出尽くしの感がない訳ではありません。しかし、何回研修しても、何回ロープレしても、全員が期待レベルに行かないのが「ヒアリング力」です。ある意味、会計事務所職員にとって、永遠のテーマなのかもしれません。

1、ヒント質問ができない職員

テーマは監査後面談で、経営者の課題を聴き出し、そこから経営者の行動対策を導くというものです。一般の職員の傾向として

  1. 経営者の愚痴をただ聞くだけ
  2. 経営者からの質問に、自分の答えをすぐアドバイスする
  3. 一般論や常識論で受け答えするだけ
  4. 経営者の課題や悩みは聴いているが、その先がない

いずれにしても、話しがなかなか前向きに展開しない訳です。その最たる原因が「ヒント質問」ができないからだと、思われます。「ヒント質問」とは、先方がもっと掘り下げた話をし易くする為の誘導質問です。これができないと、表面的な会話や世間話が続くので、「監査後面談」に経営者が価値観を持ちません。その結果、経営者と「差し」で話す機会を作れない職員が生まれるのです。

2、ヒント質問の種類

ヒント質問には、いくつかのパターンがあります。経営者の課題をもっと掘り下げて、議論を深めるには、自分なりに「ヒント質問」にフレームを用意しましょう。

例えば、

  1. 地域同業、地域ライバルはどんな事をしているか
  2. 過去に似たような事をした経験はあるか
  3. 同業大手、同業先進企業はどんな事をしているか
  4. もし、〇〇をするとしたら、どうすれば可能か
  5. 現状の経営資源では実行不可能だけど、もしやれるなら何をやりたいか
  6. 新たな市場や顧客を開拓挑戦しようとすると、どこを狙いたいか
  7. その課題を少しでも改善する為に、一番手を付けやすい箇所はどこか
  8. 今の人材、資金、施設、環境でも、できる対策はなにか

 このように、相手が「さらに言いたくなるような質問」、それが「ヒント質問」です。

3、SWOT分析は「ヒント質問」の宝庫

少し経営者面談力を学ぶと、最初にできる事は、「何故」が聴けるようになります。そして、次に「どうしたいか」を聴けるようになります。ただ、こればかりを連続質問しても、相手から「難しいねえ」と考え込まれたり、いつもの堂々巡りの話だと、次に進めません。ところが、SWOT分析スキルを学び、何回もロープレ経験を踏むと、経営者がより具体的な答えが出るような「ヒント質問力」がつきます。

それはなぜか?

SWOT分析の外部環境分析である「機会分析」は、主にニッチ市場やニッチニーズを聴きだし、小さなブルーオーシャンを見つけるものです。しかも、私たちが提供している「機会分析」30の具体的ヒントを使う事で、「質問」の切り口がだんだん分かってきます。

4、「機会分析」で、経営者がどんどんニッチ市場・ニッチニーズを言う理由

経営者からアイデアや出来事を聴きだせないダメな「機会の質問」とは

  1. 「社長、今後何か儲かりそうなビジネスって何だと思うか」
  2. 「今、伸びている市場はどこか」
  3. 「今後、どういう分野が伸びそうか」

これらの質問で、経営者がどんどん意見を言う事は、あまりありません。もし、これらの質問でも、経営者が答えるとしたら、もともと考えがあり、既に実行しているのかも知れません。しかし、業績が厳しく、競合との差別化がなく、価格競争しかない、さらに経営資源もない企業の経営者が、どんどんアイデアを言うケースは少ないはずです。ニッチ市場・ニッチニーズを聴きだすには、こちらから「具体的なヒント」を言わない相手も具体的に返してくれない本質があります。

例えば

  1. 「C客や店頭引き取り客など、メイン顧客でない方は、決して安くないのに、何故わざわざ当社に買いに来るのか」
  2. 「思い切って高単価商品を作るとしたら、どんなコンセプトで、どういう顧客にウケると思うか」
  3. 「今ある商品や在庫を、無料にするとしたら、何を無料にして、それを次に活かすか」
  4. 「WebやSNSで売ろうとしたら、何をどう売るか、同業者は何をしているか」

こんな具体的な「ヒント質問」を」すれば、「それはできない、無理だ」というのか、「やろうとするなら、〇〇なら考えられる」という意見を言うのか、いずれにしても何らかの反応が出る訳です。

 このように「SWOT分析」を使いこなすプロは、「ヒント質問」が多彩になり、「相手から聴きだす能力」が高まるのです。

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