SWOT分析の限界点

これまで120超のSWOT分析コンサルティングをしていますが、このメソッドが中小企業に有効な事は言うまでもありません。このSWOT分析の結果、大きな戦略の意思決定やビジョンが確立した事業所をたくさん見てきました。しかし、すべてのSWOT分析をした事業所が100%上手く行ったかと言えば、当然そうではありません。どんな手法にも死角もあり、限界もあります。それは、単純事ですが、最終的には生身の人間が判断する事ですから「絶対」と言うことはあり得ません。

それでも、SWOT分析の途中過程で、「この企業では上手く行かないと感じる」ことは多々あります。SWOT分析ノウハウの良し悪しではなく、検討参加者の姿勢、思い込み過去の成功経験などから、出てくる『固まった考え』が、SWOT分析を阻害しているのです。

ある企業でのSWOT分析検討会での事です。経営者以下、役員、幹部と5名でSWOTをした企業です。事前にSWOT分析とはどういう事か、私のDVDで学習もして貰い他社のSWOT分析事例が導き出された背景を説明しました。そして当日、検討会が始まりました。最初に「機会分析」を始めましたが、いきなりここから、混乱が始まりました。

「うちの業界は違う」

「同業者もやってないのに、そんな可能性はあり合えない」

等々

 

「可能性を探る機会分析」であるにも関わらず、少しの可能性も否定する意見が強くでたのです。「強み分析」もそうでした。今とこれからの顧客が求める「買う理由」が「強み」なのですが、なかなかマーケットに影響する強みが出てきません。

過去顧客から言われた良い点ばかり発言され、買う理由につながる潜在的な強みを、考えようとしないのです。もしかしたら考えても、答えがでなかったかもしれません。私もいろいろな角度から強みの出し方のヒントを出しますが、噛み合わない事が続きました。結果、クロス分析の積極戦略では、戦略的な具体策ではなく、戦術的な対策ばかりが出てきました。別にわざわざSWOT分析検討会をしなくても、普通の研修や会議でも出そうな内容です。だから、斬新さもなく、日ごろから言われている事ばかりでした。

後日、経営者から反省の弁がありました。「先生、人選を失敗しました。幹部連中は長年この業界にドップリつかり新たな発想はないですね。中堅の若手を中心にすべきでした。再度、中堅若手中心にやってくれませんか」と。私はお受けして、中堅若手中心のSWOT分析検討会を再度行いました。すると、意見が出るわ出るわ。前回のSWOT分析で古参幹部が言っていた『できない理由』を言うと、若手からは、「それは部長たちは、経験がないから怖いだけですよ。現実の顧客の声は随分変化しているけど、対応してないから見えないんです」と一蹴する始末。

ここでの学習は、固定観念が強い人だけで行うSWOT分析は正直、限界があると言うことです。だからでしょうか。大手企業でも「ビジョンづくり」は課長等の中堅を中心に進めるケースが多いですよね。若手の意見がすべて正しいという訳ではありませんが、発想の柔軟性がなくなるとSWOT分析は難しいかも知れません。

 

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