建設業のSWOT分析コンサルタント例

今回はある建設会社でのSWOT分析の指導実例をご紹介します。

B 建設会社は、民間のマンションや商業施設の受注施工が中心の年商数十億円規模の中堅建設会社です。経営者が「SWOT 分析をしたい」と思い立った理由は、以下のとおりです。

  1. まだ収益が出ている今のうちに次の戦略を構築したい
  2. これまでは主に新規受注を追いかけていたが、価格競争が激しく、また物件数もかげりが出ている
  3. 後継者(役員)に自発的に経営戦略を決めるチャンスにしたい
  4. 今後の会社を背負う幹部の教育としても活用したい

ストックを活かした新収益源

B 社は、もともと特定の商業施設での実績件数が多く、その業界のノウハウも持っており、これまで地域トップクラスの物件数を獲得してきました。また、歴史もあり、これまでの利益の積み上げてきたことによる財務内容もよく、資金調達力があることも大きなアドバンテージでした。しかし、新受注での価格競争が激しく、物件数も減少してきています。そこで、SWOT 分析を活用して、今後の戦略を検討したわけです。

 「積極戦略」でのもっとも大きな戦略は、メンテナンス事業部の設置による「ストック・ビジネスで収益を上げる」というビジネスモデルを決定したことです。自主施工の「強み」やデータを活かして、「メンテナンス・パッケージ」を開発し、建物の耐久性の向上や外観の維持管理を行い、顧客利益を高めようという戦略です。特定の商業施設での受注比率が高いことから、その分野の特化が可能と判断しました。また、「耐震構造の見直し」が事業として世間に認知されてきていることから、学校関係の公共施設やRC 構造の施設、耐震診断から補修パッケージの開発を行うサービス・システムを開発して、新規受注と既存物件のストック・ビジネスにも活かす戦略を決めました。

 建設業界における「機会」はこの企業に限ったことではなく、どこでも同じような方向性かもしれません。SWOT 分析が行われたのは、まだ東日本大震災前であり、不況が続いていたときで、今のような人手不足で悩む状況ではありませんでした。可能性として、今後、介護関連、耐震補強、既存インフラの環境面での再活用やメンテナンス需要は成長するという「読み」がありました。一般に「メンテナンスでは儲からない」という風潮を逆手にとって、蓄積された技術を新規顧客先にも転用できるようにパッケージ化し、成果とコストパフォーマンスが合うような形にしようということになりました。

クロス分析:意を決した撤退戦略

 「致命傷回避・撤退縮小戦略」では、「撤退戦略」が確定しました。これまで、RC構造集合住宅の特殊な工法のFC に加盟していたのですが、受注実績も少なく、工事担当者の技能不足も影響して、低収益にあえいでいました。今までそれなりに大きな投資もしてきましたが、「今後はこの分野の受注はしない」という撤退戦略の決断に至りました。この部門の撤退によって、人材を他部門に振り分けることができ、全社的な利益率も高まることになります。したがって、FC からも撤退することを決めました。現在施工中の物件を最後に、FC の解約ではなく、休眠状態にすることで定期的なロイヤリティは減額要請を行いました。

 「撤退」にあたって、多くの経営者は、これまでの投資がムダになることや、もう少し頑張れば明るさが見えるのではないか、と考えがちです。しかし、自社の強みも活かされず、競合が激しいレッドオーシャン(血みどろの戦いを行う市場)で「勝てる理由」が見い出せないなら、「撤退」は重要な決断になります。そういう意味では、この事例は経営者の決断に大きく貢献したSWOT 分析だったようです。SWOT 分析後、「メンテナンス事業部」を営業部内に設置し、最初は担当を兼務させながら、プロジェクトでパッケージ構築に入いりました。このパッケージでは、耐震補強と絡めて行い、公共施設への営業もしやすいように、外注業者とシステムを検討し、最初にパンフやWeb を刷新していきました。

★本ケーススタディにおけるSWOT 分析のポイント

  1. 今後の新築市場の競合激化に対して、過去の実績の「強み」を活かしストック・ビジネスにシフトした
  2. これまで相応の資金投下をしてきた低収益事業の撤退を決断した
  3. 管理者クラスが事業の将来性を客観的に分析したことで、有効な管理者教育につながった

今回はチョットリアルなSWOT分析のアウトプットの紹介でした。でもこんなSWOT分析をしないと、表面的な事では効果はないです。

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