嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

総勢、100人での社内SWOT分析研修会の結果

ある企業の90周年記念行事の一環で、全社員(現場職以外)で、「これから未来戦略を考える」為の研修という事でした。総勢100人の『集合型SWOT分析研修』です。SWOT分析研修は、実際に導入する経営戦略を議論する場合以外に、この企業のように、「社員に考えて貰い、参考になるいろいろな意見のボトムアップ」を狙う研修の場合があります。実は、このスタイルのSWOT分析研修は今後、増えていくと考えています。

というのも、経営陣や幹部が考える「事業戦略」は、「現実の壁」「常識の壁」「過去のトラウマ」など、制約条件が多く、革新的な戦略がなかなか出にくい状況です。

しかし、現場社員やミドルのプレイングマネージャーは、実際に顧客の生の声や、同業者の動きを知っており、過去にトラウマなどの制約経験があまりありません。だから、突拍子もない意見が出る可能性もあります。では、こういう「集合型SWOT分析研修」はどのように進めていくべきでしょうか。私がこの企業でも行い、また他の集合型SWOT分析研修で実施しているノウハウをご紹介します。

1、班編成

一事業部の営業、製造、設計、管理などのメンバーで混成します。年齢や経験もバランスを取る班構成の「バランス型」の場合と、敢えて「経験豊富な班」「若手ばかりの班」」などの「偏り型」にする場合もあります。教育目的なら、「バランス型」、戦略アイデアを参考にしたいなら「偏り型」をします。「若手ばかりの班」は既成概念がないから、荒唐無稽なアイデアもあるし、「ベテランでは気づかない新たな眼の付け所」を見つける場合もあります。「経験豊富なベテランばかりの班」は、こじんまりと革新的ではないが、即実行可能な案が出やすいです。目的に応じて、班編成をします。

2、研修構成(カリキュラム構成)

SWOT分析研修の進め方の基本は、下記の事項をベースにすすめます。

  1. SWOT分析の目的と狙い、要素(機会・脅威・強み・弱みの説明)、クロス分析の4つ戦略の内容とポイント、他社事例解説、SWOT分析議論の進め方「ファシリテーション技術」などの「動機づけ講義」
  2. 「機会分析」個人作業…講師が機会ヒント(タラレバヒント30など)を言いながら、その都度記載させていく
  3. 「機会分析」の班別討議…個人が出した機会意見を、ファシリテーション技術を使って、絞り込み作業をして班の意見として整理してもらう
  4. 「強み分析」個人作業…これも講師が強みポイントを説明しながら、その都度記載させていく
  5. 「強み分析」の班別討議…個人の強み意見を、ファシリテーション技術を使って、絞り込み作業をして整理してもらう
  6. その後、「積極戦略」を個人で検討…「機会」の何番と「強み」の何番を掛け合わせて、可能な「積極戦略」を書き出す
  7. 積極戦略」の班別討議…個人が書いた「積極戦略案」を班全員で議論。複数の「積極戦略」を徐々に1つか2つに絞り込み作業をしてもらう

このように、研修は講義、個人作業、討議のサイクルで、SWOT分析のアウトプットを創り出していきます。

3、ファシリテーション技術

SWOT分析研修や班別討議において、5名であろうが、10名であろうが、最終的に意見集約ができるのは、「ファシリテーション技術」を使うからです。もし、ファシリテーション技術を使わなければ、一部の人しか意見を言わないし、まとめる作業が難しく、その班のリーダーが一方的に落としどころを決めるような形になります。SWOT分析研修における「ファシリテーション技術」とは、原則、下記の3段階をベースにします。

  1. 個人で考えさせる。フレームに記入させる
  2. 班のメンバーをペア・3人組に小分けし、個人で考えたモノを披露し、ペア・3人組で議論する。そしてペア・3人組の意見として集約(ペア・3人組なら皆活発に意見を言い合う)
  3. ペア・3人組ごとに発表(その意見をホワイトボードやPCへ入力し、プロジェクター投影)
  4. そこで、全体討議し、リーダーが意見を集約化する

この一連の流れをファシリテーション技術と言っています。だから、動機づけ講義の時に、「議論の仕方としてファシリテーション技術」の講義を必ずします。

4、検討時の設備、ツール

参加者が参加しやすく、議論の「見える化」ができ、即アウトプットができる状態にするには、議論の環境設定も大事です。集合型SWOT分析研修では、班ごとに下記の準備をお願いしています。

  1. ホワイトボード1台、色違いマーカー3本(しっかり付くもの)
  2. PC1台(入力者を決める)
  3. PCにつなげ、全員が見る「「モニター」1台(できれば40型以上)
  4. メモ書き用A4コピー用紙、1人2枚
  5. 議論円滑化の為に、菓子類
  6. 講師用のPCとプロジェクター投影
  7. SWOT分析研修テキスト 冊子
  8. SWOT分析記入用フレーム(データで)  等々

こういうものをしっかり準備し、ファシリテーション技術と相まって、議論をスムーズに進めます。

『集合型SWOT分析研修』は、普通の研修とは違い、一般社員や中堅幹部まで「企業の戦略議論」を促す研修です。だから、新鮮だし、社員の新たな可能性に気づく機会にもなります。今、当社も「SWOT分析スキル検定」などの力を入れていますが、その延長線上に「集合型SWOT分析研修」のオファーが増えると予想しています。

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