嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

「全社員・全幹部に今後の戦略を考えさせたい」だったら、集合型SWOT分析研修

SWOT分析を数多く手がけてきました。一般的な進め方は、経営者を中心に少人数で「SWOT分析」を行い、各種戦略を立案する方式です。しかし、中には、全社員又は全幹部が一堂に会して、「集合型SWOT分析研修」をした事も数社あります。

1、社員に「今後の戦略」を考えさせ、イメージさせたい、教育目的のSWOT分析

ある会社では、社員全員(新卒も含めて)80人でSWOT分析をしました。この企業の経営者は目的をこう言っていました。

「SWOT分析メソッドを使うと、自社の現状や課題が見えてくる。現場の社員などは自分の業務しか見ていないが、SWOTを通じて全体像が分かれば、違った視野が入るから」眼の前の自分の仕事しか考えていない社員には、SWOT分析での経験は、相当なインパクトがあります。参加社員の感想文でも

  • 顧客にそういうニーズがあるのを初めて知った。
  • 営業は現場にいつもムリばかり言ってくると思っていたが、ある意味仕方ないと分かった。今後はいかに協力すべきかが分かった
  • うちの製造技術で、いろいろな技法や可能性がある事が分かり、顧客への提案の幅が広がると思った
  • 各部署の課題や現状、可能性を知った事で、今後部門間連携が図りやすくなると感じた  等々

非常に前向きな意見が多数出ました。これは、単なる「ガンバレ」的な研修ではなく、自社の実情を知る事で、組織に新たな風を生み出す効果があったという事です

2、集合型SWOT分析研修は、小集団に分けて議論

この企業のように80名で、一つの「SWOT分析」をする訳にはいきません。それぞれ、営業部門、製造部門、設計部門、管理部門から、1班7名前後で編成してもらいました。先ず、事前に「SWOT分析」とはどういうものか、講義しますが、1回位の講義を聞いて、直ぐ「機会」「強み」を若手も意見が言えるほど、甘くありません。そこで、事前に「SWOT分析研修用動機づけDVD」を渡し、全員に1回は視聴してもらいました。そして、「機会」「強み」の宿題を出しました。DVDを聞いたおかげで、宿題も進んだようです。そして、再度当日、SWOT分析の講義をすると2回目なので、皆も理解が進みました。そして、講義では更に「SWOT分析研修の進め方」も講義しました。

大事な事は議論するだけでなく、議論しやすい進め方、いろいろな意見を集約するスキルが重要です。そこで、SWOT分析研修用ファシリテーション技術も講義し、特に各グループの班長には、そのことをとくと説明しました。そういう、根回しや準備が「集合型SWOT分析研修」には欠かせない訳です。

3、全事業部係長以上が出席して「事業部別戦略立案SWOT分析研修会」

これは、ある上場企業の製造子会社で行った「集合型SWOT分析研修」です。その企業には、事業部門が6部門あります。全社としての統一的な経営戦略があるのですが、事業部ごとに顧客もエリアも異なり、ビジョンも各事業単位で作成している状況です。私のSWOT分析の本を読んだ取締役の方が、その経営者に提言し、「集合型SWOT分析研修」をする事になりました。

このSWOT分析研修の目的は、各事業部の将来戦略を決める研修です。経営者のニーズとして、「ミドル中心に戦略を整理したい。彼らが何をやりたいのか知りたい。最終的には役員会で決めるが、斬新な発想が欲しいから、部長や役員に邪魔させたくない」という事でした。従って、班構成は各事業部門の係長課長を中心とした編成にしました。部長も参加しましたが、あくまでもオブザーバー参加で、口をはさむことを禁止しました。そうしないと、ミドルの意見が出ないからです。

各グループごとにホワイトボードや模造紙、PCとプロジェクター投影を用意し、かなり大きい部屋で一斉議論を始めました。当然、進行や時々のポイント解説を私が行い、最終的に「我が事業部の推奨戦略」を1つ、発表してもらいました。

 私も長年経営コンサルタントをしていて、いろいろ企業内研修をしてきました。例えば、リーダシップ研修、クレーム対策づくり研修、営業強化研修、企業PR、USPマーケティング戦略研修、層別研修、営業トークマニュアル作成研修、経営理念再構築研修  等々数え上げればきりがない位です。その中でも、このSWOT分析研修は、本当に自社の現状分析や課題整理に有効な教育だと思います。何故なら、「機会」「脅威」という外部環境分析と、「強み」「弱み」という内部要因分析をするからです。課題解決研修など、「弱み」改善に絞った研修では、「やらされ感」がありますが、SWOT分析研修は、自分たちで環境分析した後に、使える「強み」を整理しぶつけるので、意味が違うのです。

集合型SWOT分析研修は今後も、広がるように思います。

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