
SWOT分析、とりわけクロスSWOT分析を本物のアクションプランへ昇華させるために、**「潜在的な強み(まだおもて化されていない、隠れた強み)」**を掘り起こす技術は、支援者にとって最も磨くべきコアスキルです。
なぜなら、経営者や幹部がすでに自覚している「顕在的な強み」は、すでに日々の業務で使い古されており、それだけでは新しい独自の戦略(USP)を生み出す爆発力に欠けるからです。
嶋田塾のノウハウおよび現場のコンサルティング実践マニュアルに基づき、経営者自身すら「当たり前すぎて忘れている」潜在的な強みをごっそり引き出すための具体的なコツと質問技法を体系的に解説します。
1. 潜在的な強みが眠っている「5つの隠れ場所」
潜在的な強みは、会社の公式なパンフレットやアピールポイントには書かれていません。それは、以下のような**「社内の細部」や「過去の記憶の冷蔵庫」**に眠っています。
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① 自社にとっては「当たり前」だが、同業他社から見れば「あり得ない」こと 「なぜそれをやっているのか」と経営者に聞くと、「昔からの慣例だから」「なんとなくずっと続けているから」と返ってくるような、惰性で行っているサービスやこだわりです。他社が面倒くさがって絶対に真似しないことの中に、顧客が密かに評価している真の強みが隠れています。
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② 「ある特定の社員」が特定の顧客から個人的に評価されている行動 組織全体や営業部全体の強みではなく、「Aさんという社員の、こういうきめ細かな対応が特定の顧客にウケている」といった個人レベルの事実です。会社としては「再現性がない」「業績全体への貢献が小さい」とスルーしがちですが、これを仕組み化して組織全体に横展開すれば、強力な新規獲得武器になります。
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③ 眠っている「特定の社員の技能や知識」 特定のニッチな顧客からのみ、たまに指名が入るようなマニアックな技術や、一見仕事とは関係なさそうな「社員の前職のスキルや趣味・特技」などです。これらは、狙うべきニッチな市場(機会)と掛け合わせることで、驚くような差別化商品へとバリューアップします。
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④ 「過去の成功体験」とその時の背景・手法 「昔、あのプロジェクトがうまくいった時はどうだったか?」を詳細に思い出してもらいます。時代背景や市場環境は変わっていても、その時に取った「顧客へのアプローチ姿勢」や「組織の一体感の作り方」には、今でも十分に通用する自社固有の強みのエッセンス(温故知新)が詰まっています。
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⑤ 顧客から受けた「過去のコンプレイン(不平・不満・クレーム)」の裏側 過去に顧客から「ここが使いにくい」「こういうサービスをしてほしい」と叱られた事実を掘り起こします。その不満に対して自社が(当時は弥縫策だと思って)必死に対応したプロセスそのものが、他社には真似できない独自の対応力(強み)へと昇華しているケースが多々あります。
2. 「広く浅く」ではなく「狭く深く」聞くための「なぜなぜ再質問リスト」
強み分析における最大のコツは、**「広く質問するな、深く質問せよ」**です。 「御社の強みは何ですか?」と大雑把に聞くのをやめ、経営者が口にした「1つの具体的な出来事(ファクト)」に対し、根掘り葉掘りひっきりなしに質問を重ねることで、記憶の冷蔵庫の奥底にしまい込まれていたファクトが引き出されます。
現場で極めて高い効果を発揮する**「深掘りなぜなぜ質問」の鉄板フレーズ**は以下の通りです。
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「なぜ、そのお客様は他社ではなく、わざわざ御社から購入してくださったのですか?」
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「そのサービスは他社でもやっているはずですが、何が違って御社に依頼が来たのですか?」
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「そのお客様が特に喜んでくれた瞬間、自社の誰が、どんな具体的な行動をしていましたか?」
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「その出来事を言った(喜んでくれた)お客様は、他にどの地域に、どんな属性で存在しますか?共通する困りごとは何でしょう?」
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「その強みの原因となっている社内の仕組みや、特定の個人のこだわりは何ですか?」
このように5W2Hで何度も切り返し、「超具体的な固有名詞(商品、顧客、売り方)」が出るまで問い続けることで、経営者自身に「そう言われてみれば、あの時…」という強みの再認識(アハ体験)が生まれます。
3. 「5つの経営資源(各種資産)」の着眼点から引き出す
漠然と強みを考えるのではなく、嶋田式の**「5つの各種資産」**のフレームワークを用いて、経営者の脳に揺さぶりをかける質問を行います。
資産カテゴリー
潜在的な強みを引き出すための具体的な「揺さぶり質問」
① 顧客資産
・今、口座を持っている「Aランクの主要顧客」は、なぜ自社と深い取引を続けてくれているのか?<br>・相見積もりになっても、最終的に自社を選んでくれる「決定的な取引条件(買う理由)」は何だと思うか?
② 商材資産
・今ある既存商品や販売権を、別の業界や、異なる販売チャネル(業務用を個人用へなど)にスライドさせたら、どこが喜ぶか?<br>・自社の商品パッケージに、どんな「とんがった工夫」を1つプラスすれば、他社が真似できなくなるか?
③ 人材・技術資産
・「金属加工業だけど、内勤事務の女性たちが顧客のちょっとした変化を察知してフォローする力がすごい」といった、他社が真似できない組織や個人の行動習慣はないか?<br>・社長自身が「この実務や作業なら、社内で完璧なマニュアルを作って誰でも指導できる」と自負している職能は何か?
④ 設備・機能資産
・自社が保有する生産設備、車両、立地、あるいは「休日でも稼働できる体制」など、顧客にとって安心感(買う理由)に直結している物理的なアセットは何か?<br>・これまで「高コスト要因」としてお荷物扱いされていた機能(例:自社の手厚い修理部門)を、視点を変えて差別化サービスに転換できないか?
⑤ コラボ資産
・もし他社から「御社とM&Aをしたい」「事業提携をしたい」と持ちかけられた場合、買い手や提携先は自社のどの部分(顧客リスト、固有技術、一貫体制など)に最も魅力を感じると思うか?
まとめ
潜在的な強みを引き出す最大のコツは、経営者の言ったことをそのままスルーせず、徹底的な「ファクトファインディング(事実のあぶり出し)」を行うことです。
「わが社には何の特徴もない」と諦めている経営者であっても、上記のような具体的な切り口と執拗な深掘り質問を受けることで、**「自社はこんな風に顧客から愛され、評価されていたのか!これならまだまだやれる!」**と自信を取り戻し、目の色を変えて「強み特化型経営」へと舵を切り始めます。







