SWOT分析検討会での限界を感じた時

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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これまで400超のSWOT分析コンサルティングをしていますが、このメソッドが中小企業に有効な事は言うまでもありません。

このSWOT分析の結果、大きな戦略の意思決定やビジョンが確立した事業所をたくさん見てきました。

しかし、すべてのSWOT分析をした事業所が100%上手く行ったかと言えば、当然そうではありません。

どんな手法にも死角もあり、限界もあります。

それは、当たり前ですが、最終的には生身の人間が判断する事ですから「絶対」と言うことはあり得ません。

それでも、SWOT分析の途中過程で「この企業では上手く行かないと感じる」ことは多々あります。

SWOT分析ノウハウの良し悪しではなく、検討参加者の姿勢、思い込み、過去の成功経験などから出てくる『固まった考え』が、SWOT分析を阻害しているのです。

固定概念のSWOT分析での失敗例をご紹介します。

 

1,受け身受注の御用聞きセールスの業界

2015年ごろ、ある企業でのSWOT分析検討会での事です。

経営者以下、役員、幹部と5名でSWOTをした企業です。

この業界は毎日大手企業の工場に訪問して、工具や消耗品の注文を頂き当日中に配送を行うセールス配送。

取引相手が大手メーカーの工場だから調達購買も線引きがしっかりされています。

幹部たちは長年、訪問配送営業を行い、先方の注文に応えるのが仕事だと思っています。

今話題のキーエンスのように積極的に他部門への情報聞き出しやソリューションを行う企業ではありません。

何故なら部品工具問屋という位置づけで、メーカー品を仕入れて口座のある顧客先に売るのが仕事。

この大手工場がフル生産や拡大をしている時、何もしなくて、言われた通りの配送をするだけで受注が増えていました。

しかし昨今の競争環境や材料コストも高騰で、この大手工場もコスト削減に動き始めました。

すると、売上だけでなく粗利もどんどん減少。

結構利益率の良かった小部品や消耗品は「モノタロウ」などの工場用専門通販で調達するようになり。利益率の良くない商材の配送が残っているのです。

そういう状況下で経営者から「何とか打開策を出したいから、SWOT分析をしたい」と依頼があったのです。

 

 

2,否定から始まる幹部たち

最初、「SWOT分析とは何か?」を説明しSWOT分析研修会当日までの宿題を講義しました。

機会分析、強み分析の出し方を説明。記入用のプリントも渡しました。

そして当日、検討会が始まりました。

最初に「機会分析」を始めましたが、いきなりここから混乱が始まりました。

宿題で考えてくれた強み」は、どれも「良い点」や姿勢や精神的な事ばかり。

「人間関係ができている」「痒いところに手が届く」「嫌な顔をせずに何でも受ける」等、自分たちの営業の強みは「まごころだ」という始末。

確かにそうだろうけれど、それではファクトが分かりにくい。

それで私が「強み分析」で、いろいろな角度のヒントを出した時、

「うちの業界はそんな事は強みにならない」

「顧客はそんな事を求めていない」

「間違いなくするのが問屋の仕事だ」

等々

深堀質問をしても、

「そんなの昔からそうだったから」

「強みと言っても購買担当者が変わると強みでなくなるから・・」等、

「強み」を深く議論するよう仕向けてもかわされる始末。

 

「機会分析」もそうでした。

ニッチニーズとか、新たなニーズを質問しても

「依頼された事は仕入れも考えるが、今はそんな依頼も相談もない」

「取引商品を拡げると、価格競争になるしロットも小さいと仕入単価も高いから売れない」

「変わった商品でないと新たな取引は増えないが、我々の立ち位置では今の商品が限界」などなど

 

「自分たちも一生懸命やっているが、商売の位置づけから拡大が難しい」と言うばかり。

「工場のレイアウト変更で工具や施設の見積をする事が数年に1回ある」というので、「生産効率の「ソリューション提案もあるのではないか?」と振ると、

「そういう事は顧客の生産技術が細かくやるので、我々は言われた事をするまで」とけんもほろろ。

 

もしかしたら「いくら考えても、答えがでなかった」のかもしれません。

固定概念と発想の枠内でしか考えない習慣が強いのでしょう。

私もいろいろな角度からのヒントを出しますが、噛み合わない事が続きました。

結果、クロス分析の積極戦略では、戦略的な具体策ではなく、戦術的な対策ばかりが出てきました。

別にわざわざSWOT分析検討会をしなくても、普通の研修や会議でも出そうな内容です。

だから、斬新さもなく、日ごろから言われている事ばかりのクロスSWOT分析でした。

 

3,若手で実施したSWOT分析は全く違う結果に

後日、経営者から反省の弁がありました。

「先生、人選を失敗しました。

幹部連中は長年この業界にドップリつかり、新たな発想はないですね。

中堅の若手を中心にすべきでした。

再度、中堅若手中心にやってくれませんか」と。

私はお受けして、中堅若手中心のSWOT分析検討会を再度行いました。

すると、意見が出るわ出るわ。

前回のSWOT分析で古参幹部が言っていた『できない理由』を言うと、

若手からは、「それは部長たちは、経験がないから怖いだけですよ。現実の顧客の声は随分変化しているけれど、対応していないから見えないんです」と一蹴する始末。

部長たちと行った最初のSWOT分析では「戦術的な効果性の薄い積極戦略」でしたが、若手から生まれた意見は将来につながるソフト戦略や大手工場以外での拡大策が出てきました。

 

ここで学習したことは、固定観念が強い人だけで行うSWOT分析は正直、限界があると言うことです。

だからでしょうか。大手企業でも「ビジョンづくり」は課長等の中堅を中心に進めるケースが多いですよね。

若手の意見がすべて正しいという訳ではありませんが、発想の柔軟性がなくなるとSWOT分析は難しいかも知れません。

 

 

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