SWOT分析指導が上手な人は「答えを言わない人」
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
長年、クロスSWOT分析を企業で実施し、その手法をコンサルタントや会計事務所に指導する為にロープレや公開コンサルティングをしています。
累計すれば実施回数は500回はいうに超えているでしょう。
私自身のクロスSWOT分析だけでなく、公開ロープレやzoomロープレを通じて、200人超のヒアリングを見てきました。
そこで思う事は、SWOT分析であれ、各種のフレームワークでは経営支援の専門家が間違ったスキルを信じているようなのです。
だから現場ヒアリングが上手くいかないのです。
彼らは何を勘違いしているのか?その真意を知らないまま、SWOT分析指導は上達しないのです。
1,どうしても「答えを教える」スタンスから離れられない
コンサルタントや税理士は経営指導をする人と思われがちです。
実際に経営者から質問が来れば、自分の知識や経験をベースに「教える」事も多々あります。
しかし、それが高じていつも「教えるスタンス」になっている人が多い。しかも「説教クセ」っぽい人もいます。
聞きもしないのに直ぐ持論を展開する人などです。
「教えクセ」がついている人は、どうしても「上から目線」の話し方になります。
私も十分意識をしないと、ついつい「上から目線」になっているようです。
実はSWOT分析のヒアリングにおいては、この「教えクセ」が大きな障害になっていきます。
「教えクセ」に強い人は「深堀質問」ができないからです。
「教えクセ」とは、「自分は答えを知っている」という意識の強い方です。
しかし、その企業の実態や経営者の真意を知らずに、「自分の見解が正しい」と持論をとうとうとしゃべる人には、SWOT分析ヒアリングはできないでしょう。
2,質問のポイントはファクトファインディングと背景質問
ではどういう質問の仕方が良いのか?
一言で言えば「ファクトファインディング」とその「背景質問」に注力することです。
例えば、弊社が推進するクロスSWOT分析の「強み分析」で「顧客資産」を聞き出す場面があります。
「顧客資産」とは、今ある顧客の数量的実態や「小口客がどんな経緯で大口客に変わった来たのか」などの「ファクト」を聞き出します。
そして、そのファクトにつながった行動や取り組み、顧客のニーズなどの詳細が「背景質問」として、5W2Hで深く聞き出します。
こういうファクトに意識を持たずに「強みは何ですか?」と連呼しても、概念的な「強み」を経営者はもっぱら言いがちです。
「概念的強み」をいくら聞いたところで、実際にそれを活かす行動展開まで考えると「ターゲティング」「プロモーション」「行動プロセス」が曖昧な状態になります。
「機会分析」もそうです。
「最近のニーズはどんな事がありますか?」と聞けば、「○○みたいな商品のニーズが増えた」と答えたとします。
そこで「その○○の商品を欲しがる顧客はどんな属性がある方で、何故それが欲しいと言ったのですか?どんな具体的なニーズが隠れていますか?」とどんどん深堀ると、固有の実態が見えてきます。
この固有の実態こそ本当の「機会分析」になるわけです。
3,相手の言葉を「見せてない」から、相手の言葉が右往左往
せっかく良いヒアリングをしても、上手くいかない事があります。
それはヒアリングがインタラクティブではないケースです。
コンサルや税理士は「聴く側」、経営者は「答える側」とハッキリした線が引かれているからです。
どういう事か?
コンサル側がどんどん深堀した質問をして、経営者側はそれに答える訳ですが、コンサル側の質問の真意や経営者側の回答に対してどう把握して、どう記載しているか分かりません。
だからコンサル側が欲しい情報とは違う事を言ったり、答えを掘り下げずに、横に拡げていくのです。
だから「ヒアリングしながら、SWOT分析フレームに何をどう文字入力しているか」リアルタイムで見せる必要があります。
質問と回答の経緯や議事録を見る事で、コンサル側が欲しがる情報のイメージが沸けば、もっといろいろなファクトの深堀が可能です。
そうやって経営者側にも参加してもらい、一緒に議論していくのがSWOT分析です。
「コンサル側は聞き役、経営者側は話し役」ではなく、一緒に議論を交錯させながら進めるのがコツと言えます。
4,答えは言わない、相手に答えを言わせるのがコツ
そうやってSWOT分析のヒアリング現場ではコンサル側は自分の見解をなるべく控えていきます。
「答えを言わず、相手が答えを言うように仕向ける」事がポイントになります。
その為には多様な質問が大事になります。
弊社が行う「zoomでのSWOT分析ロープレ」では、社長役とコンサル役になりzoom上でヒアリングしながら、言葉をExcelにリアルに入力していく訓練を行いますが、そこでも「どんなバリエーションのある質問展開」ができるかで、聞かれ役(社長役)の満足度が変わってきます。
代表的な質問は「Why(何故)」です。
全ての経営者の言動、アイデアや行動には理由があります。
その背景を聴くのに簡単な質問が「Why」です。
しかし、何でも「Why」ばかりステレオタイプの質問を繰り返しても、相手は自問自答の深度が増しません。
我々が多用する質問の代表的なものは
⑴その答えの背景として何があったのか
⑵何故、そういう事が起こったのか、その一番の原因は何か
⑶そこで、どういう事をしようとしたのか
⑷その事以外に他の選択肢はなかったのか
⑸他の選択肢があったのに、そのニーズを優先したのは、どんな課題が眼の前にあったのか
等、経営者がその判断や選択につながった背景を質問するだけで、どんどんご自身で自問自答を繰り返し、「そういえば・・・」「言われてみれば・・・」と自ら気づく事が増えていくのです。
だからSWOT分析はコンサルや税理士が誘導するけど、結局答えを出すのは経営者やクライアント自身なのです。
その事を心から理解しないと、クロスSWOT分析はいつまでも上手になっていきません。
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