嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

「強み」と「機会」から「積極戦略」へ導く誘導質問

SWOT分析、KPI監査、事業承継の見える化コンサルタントの嶋田です。

 強みと機会から積極戦略へ導く誘導質問.jpg

SWOT分析を実際の経営計画書や経営戦略の取り入れる時、多くのコンサルタントや会計事務所が困るネック個所があります。

それはヒアリングして記入してきた複数の「強み」と「機会」をどうやって「積極戦略」に誘導するかです。

これがうまくいかないとせっかく聞き出した「強み」も「機会」も活かされず仕舞いになりかねません。

では実際に現場ではどのように誘導しているのか?

解説します。

1,相手任せにしても時間のロス

一番ダメなパターンは、記入した「機会」と「強み」を見せて、先方に

「社長、ではどの機会と強みを掛け合わせましょうか?どの組み合わせがいいですか?」

と丸投げ質問することです。

相手もまだ議論の途中で構成要素は複数あり、その掛け合わせも数十パターンあるものを、いきなり選択はできません。

ただ考えるだけで時間のロスです。

先方経営者が頭の切れる方やイメージができている方なら、それなりに回答するでしょうが、多くの場合経営者も後継者も幹部も考え込みます。

そして

「何か優先順位を決めるツールやフレームはないのか?それがないのに選択できないよ」

と頭を抱えます。

だから、「相手任せにしない」ことが大事です。

 

2,無理やりコンサルが誘導する愚策

かと言って、黙っている相手にコンサルタントや会計事務所が

「私は、機会の〇番と強みの〇番を組み合わせがいいと思います」

といきなり確定的な誘導をすると、経営者や後継者幹部が腑に落ちてない状態での「積極戦略」の議論なので、腹の中では「そうじゃないような気がする」と疑問に思いつつ、コンサルタントに誘導に乗ります。

もし、コンサルタントや会計事務所がそこまで確定的に誘導するなら、それらを選択した根拠を説明しなけれなりません。

しかし、実態を知らない第3者が思いつきやイメージ、私見だけで行うことはやはり控えるべきでしょう。

SWOT分析の基本はどこまでも相手が答えを自ら発するように誘導質問やヒントを行うスタイルを守るべきです。

 

3,取り組みやすい「機会」から掛け合わせる

ではどうするか?

もともとSWOT分析は市場マーケティング戦略立案を目的に生まれたツールです。

そこで原点に戻って、複数の「機会」から相手に選択してもらうように誘導します。

例えば

「社長、この5つの機会から、一番取り組みやすい物はどの分野でしょうか?」

「社長、この5つの機会から、時間はかかっても一番将来性があり、収益貢献が高いと思われる機会はどれだと思いますか?」

等と相手に選択してもらう質問をします。

経営者、後継者は機会分析の段階で、自分なりに「これならいけそうな分野かも」とイメージをしているものです。

だから、上記2つの質問をすれば、必ず何らかの返答が来ます。

相手がある「機会」を選択したら、次にこんな質問をします。

「社長、その機会を商材化するには、うちのどの「強み」が活かせそうですか?」

と。

しかし、それでは経営者はまた考え込むことになります。

そこで

「社長、●●の機会を商材化するには、今の顧客の強みのどんな事が活かせそうですか?」

「社長、●●の機会を商材化するには、商品や技術の強みから、どんな事が使えそうですか?」

と「強み」のカテゴリー別に聞き出します。

それで相手が返答したら

「その強みをどう活かせそうだと思いましたか?それは何故ですか?」

と真意を聞き出し、そこの具体性があれば、それを「積極戦略」のフォームに記載します。

下記の「機会分析」シートをどこまで深く聞き出すかがキーとなります。

230525_ヒント付き機会シート.jpg

 

4,「機会」が浅いなら「再機会分析」の「理由分析」にバックトライアゲイン

「機会」から選択してもらうとき、それでも機会分析」の内容は抽象的や概念的だと、相手はなかなか絞り込みができません

その原因は指導するコンサルタントや会計事務所も「機会分析の浅さ」にある事はわかっているはずです。

●ニッチターゲットが曖昧

●購買理由・動機に説得性が薄い

●機会分析の深堀ができていない

等から「浅い機会分析」になっているのです。

その場合は再度「機会分析」をバックトライアゲインしましょう。

特に大事なことは各「機会」の中で「なぜ」の欄です。

この「何故何故分析」で具体的で、新たな気づきにつながることが大事なのです。

 

5,「積極戦略」記述で具体性を追求

再度「機会分析」の何故何故分析をして、「積極戦略シート」へ記入します。

「積極戦略」は内容によって

①既存商品売上・粗利の改善

②既存顧客の売上・粗利の改善

③新商材での売上・粗利の改善

④新規顧客戦略での売上・粗利の改善

の4つに分類されます。

それを相手の話を聞きながら、指定したフレームに記入し、もっと具体的に「積極戦略」を下記のシートのように埋めていきます。

230525_積極戦略シート.jpg

このシートのように、

●組み合わせ(どの機会とどの強みを掛けたか)

●重点商材名(どんな商品でどんな顧客にどう差別化して、の一言集約、KSFとして表現)

●何を(商品名)仮称で可

●どこに(具体的なターゲット顧客や狙うニッチ市場名)

●マーケティングプロセス(どんな段階を踏んで取り組むか)

●どこを差別化(同業者と比較してどの部分をどう差別化)

●どう製造、どう販売するか

●主要プロセスキーワード(このKSFの重要なファクターを列挙)

を記入します。

そして、さらに

右記の「予測売上」「単価と数量」「粗利率予想」「必要経費、償却費」「この商材を実行する為の主要KPI」などを記載します。

※積極戦略シートの商材を数値化するノウハウは後日公開

こうすることでリアリティある「積極戦略シート」ができます。

 

「強み」と「機会」からこのような誘導の仕方で「積極戦略シート」への記入のヒアリングが進みます。

当然、現場が100社100葉です。

このように進まない事も多々あります。

しかし、しっかり相手の真意や何故何故を聞き出すことで、結構な確率で適切なUSPが記載された「積極戦略シート」が埋まっていくものです。

 

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