嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

経営改善計画書用 フルスペックのクロスSWOT分析⑴ 実抜計画のキーポイント

SWOT分析、KPI監査、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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欧米の大手金融機関の破綻や救済支援もニュースが増えてきました。

2008年のリーマンショックのような事が起こらない事を願うばかりです。

しかも国内では中小零細企業の「コロナ融資の返済据置期間の終了」に伴い返済開始や、借換が夏以降どんどん増えてきます。

昨年来からの急激な原材料値上げや賃上げで利益が出しにくくなっている最中での返済開始です。

保証協会の借換には何とか対応できても、リスケや真水の新規融資は厳しい状況です。

すると金融機関から「本当に収益改善ができる経営改善計画書を出してくれ」と言われます。

 

この「本当に収益改善ができる経営改善計画書」とはどういう意味か?

 

今まで出した多くの経営計画書が「根拠なき収益計画」で作成されており、その結果未達、未達の連続で、はっきり言って信用されていないからです。

「本気で行う実現可能な抜本対策」が入った経営改善計画書には、相当の覚悟と戦略的な取り組みが必要です。

しかし、今の経営改善計画書のフレームやロカールベンチマークのフォーマットには、具体的な根拠や論理的な検討背景を書く書式になっていません

そこで「フルスペックのクロスSWOT分析シート」を作成すれば、収益改善のキーポイントが固有名詞で分かるものになります。

これまでいろいろな企業の経営改善計画書作成支援を、得意技である「クロスSWOT分析」を使って行ってきました。

今回から数回に渡って、クロスSWOT分析の最新版のフルスペックVer.の書き方、検討の仕方を紹介していきたいと思います。

1,実現可能な抜本対策という矛盾するWordのとらえ方

この実現可能な抜本対策の入った経営改善計画書」とはリーマンショック以降の「貸付条件の緩和措置」の時、「実抜計画」という略称で言われたものです。

この言葉の難しいところは「実現可能なのに、抜本的に変えろ」ということ。

普通は「実現可能な事とは取り組みやすく、大きく変える革新(レボリューション)ではなく、改革・改善(プチイノベーション)」のようなイメージ」です。

だから実現可能だと思います。

しかし、そこに「抜本対策」がつくことで、今のビジネスモデルを大きく変えるイノベーションを要求しています。

そんな抜本対策を実現可能な対策でリンクさせることなど、どうすべき悩むところです。

しかし、そこに可能性があるヒントがあります。

それは「強みを深堀し、拡大横展開」することで、実はビジネスモデル改革に近くなるということです。

「強み」を拡大成長戦略をとる事、

そして赤字商品・赤字顧客を断捨離する事、

そしてそれに沿って原価構造や経費構造を変える事

こそ、「実抜計画」の主旨と言えるのです。

その為には「フルスペックのクロスSWOT分析」が必須です。

 

2,フルスペッククロスSWOT分析とは

もともとクロスSWOT分析は

●強み×機会=積極戦略

●弱み×脅威=致命傷回避撤退縮小戦略

●弱み×機会=改善戦略

●強み×脅威=差別化戦略

の4つの現状と4つの掛け算から成り立っています。

経営改善計画書の書式にある「実態把握」「現状課題」を記入する欄には、この4つの現状を詳細に書くだけで十分です。

知りたいのはファクトですから。ダラダラした文字を見たい訳ではありません。

最近は成長戦略として「強み×機会=積極戦略」ばかりが多いのですが、経営改善計画書となると、そこではフルスペックで行うべきです。

フルスペッククロスSWOT分析の詳細は後日紹介しましょう。

 

3,事業再生・経営改善の基本⑴収益事業・商品・顧客の強化と拡大

事業再生・経営改善計画書の基本の⑴はまず、今、売上があり、収益に貢献している商品・顧客の強化と拡大です。

これはクロスSWOT分析の「強み×機会=積極戦略」を徹底して深堀します。

今の商品構成での強み、

今の顧客構成での強み、

今の技術や設備での強み、

今の提携先、関係先での強み、

等、

その「強み」が何故強いのか、

どうして「強み」にまで昇華したのか、

その過程でどんな「隠れた機能を評価してもらったのか」

などをロジックツリーを使いながらヒアリングと分析を行います。

すると、「せっかくの経営資源があるのに、使わず、活かさず、ブラッシュアップせず放置している事項」に出くわします。

そこを徹底強化する事で既存の強みが少しでも残っている商品・顧客の拡大、横展開が可能になります。

 

4,事業再生・経営改善の基本⑵赤字商品・顧客の断捨離

このゾーンでは「弱み×脅威=致命傷回避撤退縮小戦略」になります。

字商品、赤字顧客のあぶり出しと、撤退縮小時に「被害を最小限にする為にリスク確認と事前対策」などを決めます。

赤字商品・赤字顧客の縮減は一気に売上ダウンの可能性が出てきます。

また売上は一気に下がるのに、固定費はなかなか下がらないという矛盾も出てきます。

それらの事実を金融機関にも説明しますが、3年後には「減収増益基調」の収支計画になればいいのです。

結局、儲けない商品・赤字の顧客をいつまでも持っている事で、新たな事が出来ず今に至った訳です。

これを放置すれば最悪の結果になります。

クロスSWOT分析の「致命傷回避撤退縮小戦略」で明らかになった断捨離は確実に実行しなければなりません。

 

5,事業再生・経営改善の基本⑶原価・固定費支出構造改革

「強み商品と強み顧客を伸ばし、赤字商品・赤字顧客を縮減する」

そうすると当然原価の構造も変わってくるかもしれません。

外注費が減って、内製化率が増えたり

逆に一気に購入品に変え、固定費を減らしたり、

社内でしていたものをアウトソーシングして、固定費を下げたり、

販管費の中である経費はなくすが、新たに新しい経費が大幅増額したり、

商品構成や顧客構成と濃淡を決める事は当然、支出の構造が変わる事です。

そこでは場合によっては「リストラ」という断腸の思いの決断を必要になります。

 

これらの経営判断を行うロジックとして「フルスペッククロスSWOT分析」があります。

但し、上っ面のクロスSWOT分析では、この中身にまではいきませんのであしからず。

 

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