MAS業務を嫌がる監査担当者が渋々、KPI監査をするようになる「所長の仕掛け」とは?
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
長いこと会計事務所へのコンサルティングをしていて思うのは、「この業界の職員は、新たな付加価値業務をしたがらない」 という事です。
むろん全員ではありませんが、結構な割合で「付加価値業務」 に積極的ではないようです。
現在、当社では会計事務所に対して、
- 「経営承継の可視化」
- 「KPI監査」
- 「SWOT分析を活用した根拠ある経営計画書」
の3点の付加価値を職員教育しています。
そこで、複数の事務所の所長が、ある画策をした結果・・・・
1、付加価値より、ミスをしない事を選択
多くの職員は積極的な付加価値業務は消極的だが、ルーチンの重視やミスやトラ ブルを回避する事には意識が高いようです。
仕事の性質上、仕方ないかも知れません。
しかし、クラウド化やRPAがどんどん進み、「付加価値」以外に 存在価値が見いだせない時代が、もう目の前まで来ているのに、 動こうとしない。
まさにタイタニック号が氷山にぶつかり、徐々に浸水しているのに、パーティーの準備や段取りばかり考えている支配人みたいな 状況かもしれません。
今すべきことは、そんなことではないはずです。
2、何回言っても経営計画書支援をしない、業を煮やした所長の決断
「経営計画書の支援が事務所の生命線」だと、日頃から職員に言っているある会計事務所の所長。
しかし、笛吹けど踊らずの職員。
私もコンサルタントとして、あの手この手の職員研修を繰り返しています。
でも、やっぱり日常業務優先で、3つの付加価値業務(経営承継可視化、 KPI監査、SWOT分析を活用した根拠ある経営計画書)がなかなか進みま せん。
何も、3つすべてをしてほしいとは言っていません。
どれか一つを選択してやって欲しいと指導しているんですが。
ある日、所長と話していると、所長からこんな相談がありました。
「先生、待っていてもうちの職員は動きません。こうなったら、強制的で させるしかありません。どうしたら良いでしょうか?」と。
そこで、私が答えました。
「所長が言おうが、私が言おうがやらない。仮にインセンティブをぶら下げても やらない。最後の手段は、関与先社長から『依頼される』ようにもっていくことかもしれませんね」」と。
即ち、経営承継可視化も経営計画書も、KPI監査も、関与先経営者から「〇〇を具体的に指導して欲しい」と言ってもらうのです。
まさか、顧客からの要望に対して無視する事はクレームになるので、否が応でも 監査担当者が動かざるを得ないというわけです。
3、ある意図を持った関与先向けのセミナーを実施
ある意図とは、関与先経営者にとってプラスになるセミナーをする目的だけではなく、 「当事務所の監査担当者は、今日学習した〇〇を具体的に支援するので、遠慮なく 相談してください。」と告知する事です。
講義の中に
「この進め方は職員に既に教育しているので、聴いてください」
「これは、職員が聴きながら、パソコンに入力します」
「具体的なモニタリングは職員が聴きながら、次月の対策を文書化します」
等を伝えました。
簡単に言うなら
「職員がやりますから、ちゃんと依頼してください」と参加経営者 にセミナーで何回も伝えた訳です。
セミナーアンケートでは、早速
「KPI経営の件をアドバイスして欲しい」
「経営承継10か年カレンダーを作って欲しい」
「職務権限移譲計画を協力して欲しい」
「役員の職務責任の明文化を手伝って欲しい」
などに記述がありました。
監査担当者には、次回の監査を待たず、即アクションを起こすように指示 しました。
4、顧問先の要望なら、職員もやらざるを得ない
顧客に対してセミナーで知識を与え、顧客から職員に要望を言ってもらう。
その流れを作ることで「職員のやらざるを得ない仕組み」を作ったのが、そのセミナーです。
このセミナーは大量に集める必要はありません。
10社未満の関与先経営者を集めて、1回3~4時間程度のセミナーにします。
私の関与先会計事務所や検定受講の事務所なら、私が講師をする事も可能ですが 所長や幹部が講師をしても良いと思います。
職員はプレッシャーが大きいでしょうが、経験を積ませることが大事です。
所長がいくら「MASをやれ」「決算月に経営計画書を支援せよ」「KPI監査を導入せよ」「事業承継10か年カレンダーを提案せよ」と言い続けても、なかなか監査担当者は動きません。
それではと、MAS業務を賞与評価に厳しく入れると、だったら辞めますという職員が出るかもしれない。
取り敢えず。顧問先社長を巻き込んで行うのがスマートな手法のようです。
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