【SWOT分析と事業再構築】最近、社労士の事業再構築補助金参入が加速
「強み」を引き出すSWOT分析コンサルタントの嶋田です。
ある社労士さんから、こんなメッセージをもらいました。
「これまで労務関係の補助金を中心にしていたが、関与先の業績が厳しくなる中、畑違いと知りつつ事業再構築補助金にも対応できるようSWOT分析を学びたい」
と。
こういうメッセージが1人2人ではなく、10人以上から来ています。
今回も事業再構築補助金は、認定支援機関である会計事務所、中小企業診断士、そして融資元でもある金融機関だけでなく、多くの士業が熱い視線を送っているようです。
1,会計事務所や社労士や士業に共通する課題
これまで業務上会計事務所関係者に対してSWOT分析や「根拠ある経営計画書」の指導をしてきました。
また当社の「SWOT分析スキル検定」の受講者の会計事務所の方が圧倒的に多いのも事実です。
しかし、会計事務所の職員には職務上構造的な特性を持った監査担当者が多いのです。
それは「聴くことが上手くなく、ついつい教える」事が多いため、経営者の真意や固有戦略へのヒアリングが弱いという事です。
「聞かれたら教える」というスタンスを長年取ってきているので、「聞き込みが浅い」という自覚が乏しい。
しかも、相手への深掘り質問をする前に、ついつい「自分の意見」を言ってしまう傾向があります。
これは士業全体にいえる事です。
2,SWOT分析は教える事ではなく、聞き出す事
私の本や研修や動画を見た方は「SWOT分析は聞き出すノウハウ」だと頭では分かっています。
しかし、毎月開催している「zoomでSWOT分析ロープレ」で模擬訓練をしていると、やはり「聞き出すことより、教える事、誘導する事」が多くなっている場合が圧倒的です。
何故「聞き出せないのか?」
単純な事です。
相手の会話に乗らないからです。
SWOT分析では相手(経営者)が言った「機会」や「強み」の言葉一つ一つに、
●誰が言ったんですか
●何故、そんな事を言ったんですか?
●他にもそういう課題を持った顧客はいますか?
●どんなシチュエーションでそういう事を言うのでしょうか?等々
「一つの質問から離れない」事が大事です。
しかし、ついつい欲張りなのか、深掘りが分からないのか、「多くの質問」をしてしまう傾向があるのです。
3,社労士・士業がSWOT分析巧者になる秘訣
社労士や士業の方がSWOT分析巧者になるには、どうしたらいいでしょう。
会計事務所は「おカネ」を通じてその顧問先のいろいろな課題や問題点を知っています。
固有の事情は分からなくても、伝票や経理の流れを見る事で概要はつかんでいるのです。
だから、自分なりに「他社ではこうしているから、この会社もこうしたらいいのでは」と頭が回転しやすいのでしょう。
だから、ついつい「自分の意見を優先して、アドバイス」をしようとするのです。
しかし、社労士や士業の方はある特定分野の専門家です。
その企業の全体像を把握している方はそう多くないはずです。
という事は純粋な素人感覚で取り組む事が可能だという事です。
実は「SWOT分析」巧者は、「知らない」という前提で単純な疑問をぶつけるだけで、相手からいろいろな意見や考え方・可能性を引き出すものです。
だから社労士なら、「社会保険や年金、雇用、労働の法律には詳しいが、自分は御社の中枢の経営内容は知らない。だから率直な質問を素人のようにぶつける」事に徹する訳です。
実は、我々コンサルタントも似たようなものです。
初めての業種に対して、何も知識がありません。
だから素人質問をバンバンぶつけます。
しかし、侮ることなかれ。
この素人諮問に対して、経営者や役員から
「改めてそう聞かれたら、確かに〇〇は可能性がありますね」
と、「気づき」が出たことが過去数百回はあったでしょう。
だから「前提条件や下知識なしに素人質問」をする事が大事な訳です。
4,社労士がぶつかるSWOT分析から事業計画に落とし込むノウハウ
ただそうは言っても、SWOT分析で出た積極戦略を事業計画などの収支計画に落とし込むには、それなりの知識が必要です。
会計事務所の場合、それが職務ですから固有戦略で商品名、顧客名、数量、単価さえ聞き出せば、収支計画表には持っていきやすい。
しかし、日ごろからそういう収支計画表を扱いなれていない社労士が行う場合、いくつかの知識は必要です。
先ず収支計画表とはどういうものか。
売上も既存事業売上と新戦略売上の科目をどう分けるか?
原価も新戦略が導入された場合、数値に反映させるか?
販管費も新戦略を導入した場合、どの経費が増え、どの経費が減るか?
など、小さく見ていく必要があります。
これは何回か訓練をすれば、誰でもできるようになります。
誰でもできないのが「固有名詞の具体的な戦略で、商品名、顧客ターゲット、マーケティング戦略、必要投資、数量、単価」を文字化する事です。
今回の事業再構築補助金での事業計画には、このあたりが不可欠です。
今回は多くの経営者が事業再構築補助金を期待しています。
しかし、適用要件は意外に厳しく、どの企業の新戦略も該当する訳ではないようです。
それでも、社労士や士業の方が支援する事で、経営者に前向きな判断ができるとしたら、それは良い事だと思います。
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