嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

熱意と感動がない取締役の教育方法

以前にも「中小企業の取締役の在り方」について、ここで紹介しました。いろいろな企業の取締役を見ていて、

「何故、取締役の熱意はないのか」

「何故、自ら動こうとしないのか」

「何故、社内政治ばかり気にするのか」

そういう事を考える事があります。ある経営者と話している時、

「古参の取締役は一体何をしているか、分からない」

「彼らの目指す所と思いが、自分に伝わらない」

「部課長からも、取締役への不満が出ている」

と課題を言われました。

そして、「なぜ、高い地位で、高給をもらっている役員が、こうなってしまったんだろう。できれば、即解任して、やる気のある部課長から、役員登用をしたいけど、そうもいかない」と悩んでいるのです。

1、取締役が輝きをなくす理由

それは一言で言えば、「評価がない」からです。部課長や社員のように、評価の結果賞与が変動したり、給与に影響がありません。社員には厳しい評価を出しても、自身は安寧なのです。確かに大きなトラブルや業績不振になると、減給幅は大きいでしょうが、それでも部課長よりも高い年俸が約束されています。

2つ目は、「部課長などの、部下に任せようとする」からです。人材育成の観点から言えば、間違っていませんが、そのうち自分自身の出番までなくなっても、「それが人材育成だ。自分が出張って解決しない方が、部課長は育つ」と、間違った感覚を持っている人もいます。

3つ目は、「あまり無理はしたくない。変に頑張ってチャレンジして失敗して降格にでもなったら、退職金に影響する」という自己保身です。年齢的にも、無理がきかない人も多いでしょう。60歳を超えて、馬力がなくなった方もいます。しかし、自ら「取締役を下ろしてほしい」という人はいません。やはり、経営者や幹部から何と言われようと、居心地が良いポストなのでしょう。

2、マンネリ取締役に“喝”を入れる方法

では、どうすれば「取締役は活性化」するのでしょうか?彼らには、強い自尊心があります。社長からガミガミ言われるのは、受け入れますが、部課長から指摘されると、刃を向けます。取締役も自身が最近、エネルギッシュではない事、言葉を濁している事、以前ほど献身的な貢献がない事は分かっています。しかし、それを部課長から言われたくないのです。それは当然です。部課長もそれは分かっているから、表立って取締役を批判する事はありません。そこはお互いが忖度し合うという、日本の組織独特の習慣なのでしょう。

では、どうすべきか?まず、中小企業があまりやっていない「取締役研修」を実施する事です。

この取締役研修で行う事は、

「現状の課題分析」

「中期ビジョン策定」

「取締役評価基準の学習」

「個人のコミットメント作成」

等です。知識研修ではなく、「目標設定型研修」です。しかも、部下にさせるような部門目標ではなく、「取締役個人が直接、手を下すコミットメント」を具体的な行動プロセスまで落とし込んで、作成してもらいます。そして、そのコミットメントは、再任前に「社長面談」で進捗状況を確認するモニタリングを行います。実は、その再任前の「社長面談」には、私も参加します。私の方から、取締役研修で作成した個人コミットメントの結果をヒアリングし、その成果を確認します。その時に使うのが、KPI(重要業績指標)です。

すべてのコミットメントには「数値で結果が表れる」ものでなければなりません。しかも、直接取り組んだ事、創り上げた事、などのアウトプット項目も要求します。このKPIとアウトプットが「取締役再任前の評価面談」です。

3、取締役研修の進め方

取締役研修の前に、経営者から「各取締役への期待行動」をヒアリングします。なるべく具体的な表現になるように、深掘りヒアリングします。そして、それをフォームに記載します。更に、各役員から、他の部門への要望や提案もアンケート調査します。その経営者の要望と他役員からの要望をフレームに整理して取締役研修に臨みます。

取締役研修では、営業部、製造部、管理部、または子会社役員なども参加し、一役員毎に事前の経営者要望、他役員からの要望を読み上げ、その一人に対して、フリーディスカッションをします。そして、ひとりごと「コミットメント」を整理します。それを全員行います。だいたい、終日か2日間に分けて行います。2日間の場合でも、1日目の夜は宴会はしないようにしています。そうしないと、翌日のコミットメントづくりでの指摘が甘くなってはいけないので。こういう個人の「コミットメント」まで落とし込む取締役研修がないので、マンネリになってしまうと考えます。

 

「取締役研修」の進め方は各社各様ですが、弊社ではこのような進め方で、取締役研修のコーディネーターをしています。但し、このコーディネーターも単なる部課長レベルのコンサルタントや会計事務所には荷が重いでしょう。やはり、最低でも取締役経験があるコンサルタントや、経営者であるコンサルタントがしないと、熟練の取締役を納得させることは難しいようです。

もし、「取締役研修」をご要望される方は、本ホームページの問い合わせ欄から、問い合わせてください。取締役研修のコーディネーターは、直接私しかしていない為、日程や内容、予算も双方が理解しないと進められませんので。

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