嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

戦略質問ができないと、経営者は満足しない

SWOT分析も今の主流は、「教える事ではなく、ヒントを与えクライアント自らが答えを出すように仕向ける」事です。以前書いた「SWOT分析コーチングメソッド」とは、まさにそういう意味合いで出版しました。実際に会計事務所などでロープレ研修をしていると、最初のコーチングの原則的な質問まではできますが、それ以降の広がりを出せない職員を多く見かけます。彼らは、「普通の質問」と「戦略質問」の違いが分かっていないようです。

これからは「戦略質問」ができないと、SWOT分析であれ、ロカベンであれ、経営承継であれ、経営計画であれ、すべてに共通して、経営者から隠れた真意、事実を聴き出せないことでしょう。

1、「何故」までは聴けるが、その後が続かない

経営計画の中身を聴き出すとき、「来期はどこに重点を置きますか?」と質問したとします。

それに、先方が何らかの回答をします。すると、質問の最初はほとんど「何故(Why)」を聴くことになります。先方が話した事の背景や原因を聞くことから、会話は始まります。「何故」を聞くと、先方が何らかの話を続けます。その後も、「何故」ばかり聞くとどうなるか?

相手が嫌な思いをしますよね。また、「何故」以外の、「誰が」「どこで」「何を」「いくら」で「どうした」と立て続けに聞いていくと、それは事情聴取面談みたいになります。特に会計事務所職員は、先方が話した言葉に、即答っぽい事を言おうとしがちです。これを「アドバイス病」と呼んでいますが、税務面なら答えがある程度決まっているが、経営面には、これが正しいという答えがありません。

会社の状況により千差万別です。なのに、自分の知っている知識や価値観から、「こうすべきですね」と平気で言う職員は結構多いものです。最初の「何故」の後に、どうトークや再質問を展開するか、そこから「戦略質問」が必要になっていきます。

2、「再質問」から、相手に気づきを与えるヒント質問に

大事な事は「再質問」に何を選択するかです。再質問の基本は、こちらの質問で先方が答えた事の、さらに深掘りが大事になります。イメージとしては、再質問からヒント質問や判断の選択などの質問に展開されます。単にオウム返しや、あいづち、うなずきだけでなく、少しずつ核心に入っていく感じです。核心とは、固有名詞で語られ、それに対して先方がどう感じたか、どうあるべきと思ったかが分かる事です。

3、「戦略質問」で、常に意識する「4つ」の対策

戦略質問とは、質問、再質問、ヒント質問、などを繰り返し、徐々に固有名詞を明らかにしていきます。その時、こちら側が常に意識する事は、最終的に

「商品戦略」

「顧客戦略」

「価格戦略」

「組織人事戦略」

に集約する事を意識します。例えば、

「商品戦略」では、どんな商品を開発するか、または重点化するか、そしてそれを計画通り売るには、どうすべきかを聞きます。

「顧客戦略」では、どの顧客やチャネルに売るか、開拓するか、どう管理するか、育成するかを聞きます。

「価格戦略」では、どの商品をどんな顧客属性に、いくらくらいで売るか、その為の準備は何か等。

「組織人事戦略」では、各種の戦略を実行する為に、どの部門が、どの担当が、具体的にどうするか・・

これを聞きだすまで、面談は続きます。

4、経営者に選択と意思決定を追い込む「戦略質問」

抽象的な質問で、抽象的な答えをいくら聴きだしても、アクションプランには書きにくいはずです。「戦略質問」は、固有名詞になるので、経営者に選択と判断、意思決定を誘導する質問という事になります。もし、優柔不断な経営者で、決め切らない場合も、「ではこの3つが全て重要だという事ですね」と複数選択でもOKにします。

そして、「では、この3つうち、一番やりやすい、手を付けやすいのはどれですか」と、優先順位を選択してもらいます。すると何らかの答えを言うでしょうから、そこから行動プロセスやアクションプランにもっていくのです。

「戦略質問」は、経営者に行動するために選択と判断、意思決定につながる質問の事です。経営戦略や経営具体策の時、あなたはこういう質問を意識していますか?

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