嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

連続60回幹部勉強会の内容とは?

経営顧問として10年、20年続ける事はもしかしたら、そう珍しいことではないかもしれません。しかし、2時間に幹部研修(勉強会)を毎月1回、5年間続けるとなると、そう簡単ではない事は予想がつくと思います。何故なら、「勉強会」というのは一方的に話す訳で、講師も受講者も途中で飽きていきます。ましてや、勉強会だけで幹部の意識が変わり、リーダーシップが発揮される事は、ありえないですよね。

しかし、過去10社で5~7年間、毎月1回2時間の幹部勉強会を継続してきました。5年間×12か月=60回です。現在でも2社継続しています。スポットではなく、毎月です。しかもそれ専用の報酬も頂いた上で。仲間のコンサルタントから「よくそんなにネタがありますね。というより、受講者が飽きませんか?」で、私の回答は「そりゃ、お互い飽きるさ。ただ飽きさせない工夫はしてるよ。講義だけでは絶対飽きるから」です。では、どういう工夫をしているか、ちょっとだけテクニックをご紹介しましょう。

1、まず、講義ジャンルを決める

幹部勉強会はリーダーシップ勉強会が中心ですが、リーダーシップといってもいくつかのジャンルに分かれます。60回を前提にした場合、先に下記の6カテゴリーに分けて、講義タイトルを決めます。

  1. リーダーシップマインドセット
  2. 「見える化」
  3. 部下が動く仕組みづくり
  4. カイゼン活動
  5. コーチング
  6. ファシリテーション技術

講義ジャンルを決めないと、途中でテーマやタイトルがぐちゃぐちゃになる、内容が重なる危険性があります。各テーマごとに、タイトルを決めて、年間スケジュールを決めます。

2、各テーマごとの講義タイトルを3~5つアップ

各テーマごとに、講義を3つ位の「幹部が興味を持ちそうなタイトル」=キャッチコピーを考えます。例えば

  1. リーダーシップマインドセット
    • 年上の部下が自発的になる勘所
    • 理想的な上司は目指すな。ここだけ押さえれば部下はついてくる
    • 何回注意しても、治らない問題部下の対処法
  2. 「見える化」
    • 重点課題や喫緊課題の情報共有できる「ホワイトボード」活用方法
    • 部下の個人能力の目標管理が円滑になる「スキルマップ」の書き方、チェック方法
    • 会議での決定事項を「見える化」して、チェック漏れを防ぐ
  3. 部下が動く仕組みづくり
    • いちいち言わなくても、誰かがチェックする「管理の自動化」の仕方
    • 部下の報告漏れ、期限忘れをなくす「やらざる得ない仕組み」とは
    • 部下が自発的になる目標面談と日頃の声かけ
  4. カイゼン活動
    • 小さなカイゼン意見が部下からどんどん上がる「12のヒント」
    • コスト削減、ムダ削減、時間短縮のカイゼンポイント
    • 部門間連携が円滑にいき、他部門が協力してくれる「小さなカイゼン」
  5. コーチング
    • 部下に答えを教えない。考えさせるコーチング理論
    • 部下が意見や考えを言いやすい「質問のバリエーション」
    • 部下の考えを行動に移させるコーチング
  6. ファシリテーション技術
    • 会議の問題点、会議診断
    • 合意形成のファシリテーション技術
    • 会議ミーティングで抑えるポイント

これらのような具体的な講義タイトル(大目次)を決めて、それぞれに内容(中目次)を決めれば最低でも12か月、普通は24カ月分位の講義タイトルになります。

3、2時間勉強会は「聴く」「書く」「討議する」で飽きさせない

一方的に話すばかりでは、どんなに良い内容でも飽きてしまい、居眠りをする受講生が出てきます。飽きさせない為には、2時間の中で変化をつける必要があります。最低でも、2時間の枠の中で「聴く」「話す」「討議する」を入れています。

「聴く」講義を聴く事です。しかし途中で指名して、受講生に質問し答えさせる事で、講義時間の中でも変化をつけます。

「書く」これはワーク(自己作業)です。何らかのテーマに対して、記述するフレームやチェックリストを用意し、考えさせる時間をとります。

「討議する」これは3~4名程度のグループに分け、講義内容、自分が記述した事の内容をシェアし、他人からの意見をもらう場にします。この「討議」は他部門の実情をお互いが知り合う絶好のチャンスになります。「講義内容は覚えてないが、他部門の事が理解できた」と講師としては笑うに笑えない感想文も出てきます。

4、感想文を書いてもらう

研修終了間際に感想文を書いてもらう。時間がなければ後日でもよいので必ず出してもらいます。この感想文の内容が次にの講義の修正案になるし、各幹部がどう思っているかを知る機会になります。感想文は、総論でもらってもあまり意味がありません。知りたいのは具体的な意見と課題です。そこで、感想文のフレームには下記のような質問を設け、その枠内に書いてもらいます。

  1. 感想と学んだ点
  2. 今日のテーマに直結した現状の具体的な課題は何(業務上起こっている課題)
  3. その課題に対して、今までやってきたこと(あまり効果を実感してない事)
  4. 今日の研修で学んだ事をどう実行に移すか(いつ、だれが、どこで、どのように)
  5. 今日のテーマ以外にあなたが負担に思っているマネジメントの問題、困りごとは何

こんなことを書いてもらいます。研修のたびに、感想文の書き方を指導しないと、いつまでも役に立たない感想文になるので、書き方指導は大事です。提出はExcelにしています。これを継続する事でPCへの入力スキルがつくので一石二鳥です。

5、感想文の添削サービス

この感想文を総務にまとめてもらい、コンサルタントにデータ(エクセル)で提出してもらいます。この感想文の最後に「コンサルタントからのアドバイス」という欄を設け、赤文字でアドバイスをします。それが「感想文の添削サービス」というものです。あるクライアントでは毎月40名以上の感想文が提出されます。その一つ一つに目を通し、アドバイスのコメント書きます。1名に付、10分前後かかり、所要時間も300~400分かかることもあります。

しかし、幹部個人の課題もわかり、それに沿って研修計画や経営会議でのテーマアップもできるので、数年もずーっと続けています。しかもこれは無料ではなく、毎月1名添削に付き、顧問料や研修費用とは別途にもらっているので、収支はあっています。

6、感想文の添削結果を経営者へ報告

感想文の添削では「固有名詞を書いてください。経営者にも固有名詞は言わないから」と念を押して、リアルな悩みや課題を出してもらっています。だから経営者にも固有名詞で報告はしません。ただ、添削結果によって、傾向としての出来事や今やるべき具体策を提案します。経営者も「自分が把握していない幹部の悩み」を知りたいと思っています。だからこの添削サービスを心待ちにしている社長もいます。

この添削サービスをする事で、仮にある幹部から「もうこんな効果のない、負担のある時間外での幹部研修は止めて欲しい」と提案があっても、添削サービスの有効性を知っている経営者は、この幹部勉強会をを継続する意思決定をしてくれます。

幹部勉強会は中小企業では、外部研修の機会もなく、できるなら顧問コンサルタントや会計士事務所が行うのがベターです。しかし、ただ講義するだけなら、おカネももらえないし、効果も出ません。何より幹部から経営者へ「もう、あの先生の勉強会は意味がないですよ。止めてもらって他の事をした方がいい」と提案され、経営者も「そうだな」と思われたら、即終了です。収入も減ります。あなたは「勉強会を数十カ月続ける工夫」をしていますか?

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