嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

「教えない会話」「聴く質問」が経営者と会話が続く秘訣

これまで何十回と、クライアントの営業向けにトークマニュアル、応酬話法マニュアルを作成したきたことか。数回の営業幹部会議や研修形式で。では実際に、トークマニュアル通りに現場営業は実行して効果があったのか?一般的な商品紹介やデモ、特定PRなどでは「トークマニュアル」は有効です。また、接客時のパターン化のトークマニュアもそれなりに有効です。

しかし、その相手が中小企業の経営者に対して、しかもソリューション(課題解決型)型や提案型の場合、トークマニュアルは絶対有効だとは言えないですね。それは何故か?

1、トークマニュアル通りの会話にならない

商品紹介や特定PRなら、ある段階からトークマニュアル通りに話法を展開すれば、相手もその商品に興味を持った訳だから、トークマニュアルは機能するでしょう。しかし、経営課題解決型のトークや提案型は、トークマニュアル通りのシチュエーションになることはほぼないと言っていいでしょう。特に経営者は、形式ばった答えや誰でも思いつく答えでは納得しないケースが多い。何故なら経営の課題は複雑な要素が絡み合っているので、最初からありきたりの一般論での情報提供や「教えるスタンス」を敬遠する傾向があります。また、経営者との会話はあっちこっちに飛んで、収拾がつかないこともあります。しかし、そのほとんどは、「こちらのサイドの会話に無理やり引き込もう」とした結果なんです。そして、無理やり会話を引き込む手引きが「トークマニュアル」です。

2、経営者との会話が続かない人の特徴

コンサルタントや会計事務所職員、保険営業、銀行担当者でもそうです。経営者と話が続かない人は「何か答えを即言わなければならない」という衝動に駆られ、十分なラポール(融和状態)になる前に、ピント外れな意見を言っているケースが多いですね。「教えるな、聴け」と何回も指導しても、「教える習慣」から抜け出せない人は多い。特にコンサルタントや会計事務所職員には。

逆に、「教えない」けど経営者との会話が続かない会計事務所職員、保険営業や銀行担当者は、「深堀して聴く」ということができない人が多い。「深掘りして聴く」とは、今経営者が言ったことを更に質問を掘り下げることです。

「〇〇があったんですね」(復唱)

「なぜ、そうなんですか」(理由)

「何があったんですか」(出来事)

「それはしんどいですね」(感情)

と、今、経営者が言った言葉を再確認する事で、更に経営者はどんどん話しやすくなります。しかし、そういう深掘りをせず、今、経営者が眼の前で話している事柄に神経を集中せずに「次に自分が聞きたい言葉を探している」人が多いんです。トークマニュアルには、そういう「深掘り質問」を書いても、なかなかピンとこないので、ほぼ簡略化されています。

3、経営者との会話が続く5大質問ワード

簡単に言うと「相手の話に乗る」ということです。決して、小難しい質問はしません。またどんな経営者に対しても、どんなシチュエーションでも共通して使えるワードです。

それは、

  1. ほおー、それでどうなりましたか?(続きを誘導)
  2. それはすごいですね、なぜそうなったんですか?(背景、原因、理由)
  3. 相手の方は何故、そうしたんですか。相手はどうおもったんでしょうか?(視点を変える・リフレイン)
  4. それをやるには、最初に何から手を付けるんですか?(アクションへ誘導)
  5. 他のやり方ではなく、その方法を選んだ理由は何ですか(選択理由)

この5つくらいをケースバイケースで使えば、経営者との会話はどんどん深まります。答えを言うのは相手であり、こちらは質問するだけと言っても過言ではありません。

4、経営者がもっと話したくなる褒め方

誘導質問をいろいろ駆使しても、一番大事な眼の前の「聴き方」の基本がずれていれば、経営者は話す気力を失います。多くの人が誤解している「聴き方」は「経営者を持ち上げる・褒めることで、経営者のご機嫌を取ろうとする」今でもかなり多いパターンです。

褒めることは重要ですが、問題はどこを褒めるかです。いろいろ業者から、経営者は褒められ慣れしています。もう太鼓持ちの褒め方はうんざりです。しかし、あることを褒められると、経営者としてはうれしくなります。それは、「価値観・経営方針の判断の良さとその理由」を褒めることです。もっと分かりやすく言えば、「その行動をした経営者の判断が素晴らしい。なぜなら・・・」と褒めることです。

多くの経営者は金銭的な事・物理的な事を褒められてもなんとも思いません(いいクルマ、良い事務所、良い業績、良いゴルフスコア等々)その眼に見える結果に対してではなく、その結果を導いた判断基準、価値観、方針に対してその理由とともにフィードバックするのです。後は、真剣なまなざしで「あいづち」「うなずき」「復唱」を忘れない事です。

 あなたは今日、「教えない会話」「聴く質問」をどれくらいしたでしょうか?

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