嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

同族社員に甘い会社

中小企業のサラリーマンの不満の上位にあがるのが経営者の身内・同族社員と他人社員が差別をうけることです。

今回は、そんな事が如実にでた、ある企業でのコンサルティング経験をお話ししましょう。

 私達が日頃お付き合いさせて頂いている中小企業は90%が同族会社です。同族会社とは、経営者やその一族が大株主だったり、取締役を占めている場合を指します。元々経営者が裸一貫から創業した会社には、『金ない』『物ない』『信用ない』『人ない』のナイナイづくしからのスタートです。そんな知名度も信用もない家業に入社してくれる他人社員はそうそういません。そこで、家族や親戚を頼って、何とか急場をしのぐのです。また創業時には、同族社員に対して相応の苦労も掛けます。給与が極端に低かったり、休日もなかったり、サービス残業も当たり前、普通の社員なら とうの昔に根を上げる所を、我慢して付いてくれるのが同族社員でもあります。

 またそれだけでなく、経営を続ける事は「資金との戦い」でもあり、その資金を親戚や同族から借りたり、保証人になってもらったり等、有形無形の『借り』が経営者にはあります。

 そういう事から、多少儲けるようになったら、同族社員を厚遇したり、恩に報いようとして、社員から見ると、大して貢献度もないのに「甘い汁を吸わせている」と思われる事が起こるのです。ただ一般社員から見て やる気をなくすのは、社員と同族の扱いがあまりに理不尽に不公平で、同族が会社を食い物にしていると感じることです。それが、よく表れるのは、業績が厳しい局面と評価の低い同族社員がいる時です。売上はダウンし、利益も出ない、会社の存続も厳しいと言う理由で、賞与も減額されているのに、同族社員の厚遇が変わらず、何か、社員ばかり不当に厳しくされていると感じる事があります。また、同族と言うだけで、大した仕事もせず貢献度も低い、クレームやトラブルがあるのに、高い役職のままや、賞与や給与が減額されたと言う事を聞いた事がない、等も一般社員から見れば、まったく面白くありません。

 この感覚は不信感につながり、会社への忠誠心やヤル気は、かなり下火になって行きます。ある企業で、こんな事がありました。

 大幅な業績ダウンで、賞与カットや手当カットを余儀なくされ、社長や役員も役員報酬を減額すると発表しました。これは良くある事です。ところが、時悪く、ある同族役員は、そんな折なのに、新しいクルマに買い換えたのです。業績悪化の原因はその同族役員の担当部門です。その役員は今まで、800万円位のドイツ車に乗っていたのですが、それを1000万円を超えると思われる1ランクの上のクルマにしました。別に社用車でないから、その事をとやかく言うつもりはありませんが、皆の給与が下げられているような状況で、社員がどのような目で見るかの配慮がまったく足らないと感じられました。その同族役員に聞いたところ、『丁度、車検で前々から買い替えようと思っていたところだったし、既に予約していたから変更できなかった』と言ってましたが、会社の業績悪化は既に1年前から始まっており、昇給停止や賞与の減額も半年前から起こっていました。恐らく、そのクルマがどうしても欲しかったのでしょう。個人で使用するだけでなら、構いませんが、それで出勤するのですから、当然社員の目にも、取引先の目にも留まります。こういう配慮が足りない人は結構多いものです。後から知ったのですが、その同族役員だけ役員報酬の減額幅が小さかったと言う事です。

 そういう同族社員への甘い対応がまかり通る企業に、社員がヤル気を持つ事は本当に難しいでしょう。経営者に求められる姿勢の中で、自身を律することは最低条件ですが、同族に対して社員以上に厳しく対処する事も、重要な要件だと言えます。もし、同族に対して「理屈に合わないような甘い汁を吸わせている」という事が分かれば、社員のモチベーションは確実に下がると言うことです。経営者の中には、経理も身内で固め、そういう金にまつわる事を、社員に漏らさないようにしている会社もありますが、必ずばれるものです。隠すような小手先な手段を使うよりは、堂々と社員にも胸を張って、是々非々を言って欲しいものです。

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